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ネ―ド村にある、レモネの状態

次の日…。


早朝に起きたキララとデイジーは、牧場へ直行していた。


「よし、デイジーちゃん。今日はちょっとネ―ド村まで行ってみよう」


「え、もう大丈夫なんですか?」


デイジーちゃんはネ―ド村が崩壊してしまったのを見ている為、疑問を持つのも仕方が無い。


しかし…私にはネ―ド村へ行かなければならない、理由が有ったのだ。


「うん、リーズさんにネ―ド村の事を聞いたけど『浄化されてるから、安全だよ』って言ってたし。それに…レモネがどうなってるか凄く気になるから…。もし全部枯れてたら、また振出しに戻っちゃうけど」


――そう…、私の目的はレモネただ一つ。せっかくレモンの替わりを見つけたのに、まだ丸齧りしかしてない…。私はなんて勿体無い事をしているのだろうか…。しかも、ただレモンの替わりを探していただけで死にかけるなんて…。デイジーちゃんがレモネを売っている時は、思ってもみなかったよ。どうしよう…この先もこんな事ばっかりだったら…。いや、流石に無いか…。


「私も行きます! 私も村の状況がどうなってるか知りたいので!」


「分かった。それじゃあ一緒に行こう」


私とデイジーちゃんは、疲れの取れたレクーに乗りネ―ド村へ向った。


「キララ様…この柵はもうダメですね…。ボロボロに腐ってます。家もほとんど壊れちゃってますし…」


小さな体のベスパが、腰を掛けるだけで柵は崩れ落ちていく。


「ほんとだ…木で作られていたから仕方ないけど…、元に戻すのは相当大変だね…」


ネ―ド村は崩壊状態になっており、ほぼ全ての家屋が破壊されている。


村を守る柵も無いため、動物や魔物の侵入を防ぐことすら出来ていない状態だ。


――まぁ…ネ―ド村近くの山にいた動物たちは皆、瘴気にやられちゃったと思うけど。


今は冒険者ギルドが作った即席のテント? みたいな場所で寝泊まりしているらしい。


崩壊したネ―ド村ばかり見ていても仕方ないため、私達は川付近に生えていたレモネを確認しに向かう。


「あ! キララさん見てください。レモネの木まだ元気に生えてますよ! それも枝にいっぱい実を付けています!」


「ほんとだ…。ピンピンしてる…。よくあれだけの瘴気が立ち込める中で、腐らなかったね…。こうなると…もうレモネには瘴気が効かないとしか思えないけど…」


レモネの木から実を一個もぎ取り、観察する。


色、形、匂い、…パッと見た所、特に問題はなさそうだった。


「多分…食べても大丈夫だよね…。でも気になるな…ベスパ、ちょっと食べられるかチェックしてみてよ」


「了解です!」


ベスパはお尻の針をレモネの皮に、ブスッと刺しこんだ。


「瘴気らしき魔力は何も感じ取れません。どうやら、瘴気は含まれてないようです」


「そうなんだ。良かった…それじゃあ収穫して帰ろう」


私達はレモネをいっぱい収穫し、家のある村まで戻る。


デイジーちゃんを牧場まで送り届けた後、私は家に直行した。


私は家へ帰る途中でライトとおち合う事になっていた。


「あ! ライト~。こっち、こっち!」


家から出てくるライトに手を振り、急いで駆けつけてもらう。


「姉さん…なにこれ? こんな黄色い実初めて見たんだけど…。美味しいの?」


「ライト、一応『クリア』掛けといてくれる。万が一にも瘴気が混入してたら危ないし」


「瘴気…ってことは、ネ―ド村から取ってきたの! 大丈夫なのこれ…まぁ掛けるけど…」


ライトは何だかんだ言って、結局『クリア』を掛けてくれた。


「よし、これで安心。ライト食べてみる?」


「いいの、なら食べてみようかな…」


まだまだ子供のライトは、好奇心に勝つことが出来ず、レモネを一個手に持つ。


そして、白パンへ齧り付く様に、思いっきり齧り付く。


レモネの果汁が口いっぱいに広がった後、ライトが発狂したことは言うまでもない。


「はぁはぁはぁ…それで、この実をどうするの。もしかして売る気? 絶対に売れないと思うけど…」


「私は売れると思うけど…。まぁ今回はこのレモネを売るんじゃなくて、レモネで私の作りたい物が有るから、とりあえず実験してみようと思って…」


「実験?…また何をする気なのさ…また僕たちの仕事が増えるって事?」


「まぁまぁ…、落ち着いて。レモネがあったら色々と作れるんだから」


私はレモネの入った籠を抱え、家に早足で戻る。


今までほとんど使ってこなかった台所に、私はドサっとレモネの入った籠を置いた。


「やっとだ…、やっとここまでたどり着いたよ…。念願の初チーズを今から私は、作りたいと思います!」


私は、手を合わせ神に祈りを捧げる…。


掌をこすり合わせ何度もお辞儀を繰り返した。


「姉さん…。何やってるの…」


「何って、ライト…。この状況を作り出していただいた神様に祈っているんだよ。こんな何も無い村で、まさかチーズを作ることが出来るようになるなんて…。まぁ…まだ作ってないけど」


「その…チーズって…何?」


「ふっふっふ…まぁ見てなさい」


台所の竈に『ファイア』で火を付ける。


「お姉ちゃん、言われた通り牛乳パック2本持ってきたよ~」


「ありがとうシャイン。じゃあ、シャインもそこで待っててね。今から面白いものを見せるから…。へへへ…やっとパンと牛乳以外の真面な食材が…手に入る…」


(…ねえ、ライト…。お姉ちゃん…、なんであんなに嬉しそうにしてるの…。それにライトの唇、凄く腫れてるけど大丈夫?)


(…姉さんが嬉しそうにしている理由は、僕にも分からないよ…。それと唇が腫れているのは…、あの黄色い実を食べたらこうなっちゃったんだ…。姉さんは僕が発狂する姿を見てゲラゲラ笑ってきたんだよ…、酷いよね。ほら…シャインも食べてみなよ…)


そう言って、ライトは輪切りにしたレモネをシャインに渡す。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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