表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/1148

倒れたオリーザさん

「え!ちょっと、オリーザさん!」


私は、すぐさま駆け寄り、様子を見る。


「Zzz…」


「何だ…眠ってるだけか…。じゃあちょっとお邪魔しますね…」


パンを作っているであろう、パン工房の中に入る。


「えっと…オリーザさんを寝かせられるところは…無いな。…ん?上に繋がる階段…」


その階段を上っていくと部屋があり、しっかりとベッドも備え付けられていた。


「仕方ない。このままお店の床で寝てたら邪魔だもんね。ベスパ、オリーザさんをここのベッドに運んでくれる?私は、見ないようにしてるから」


「了解です!」


ベスパが号令をかけると、オリーザさんのパン屋へ一斉に群がってくる。


――う…この音…いつ聞いても慣れないな。


オリーザさんをベッドまで運び、『ビー』たちは颯爽と姿を消してゆく。


「キララ様、終わりました!」


「よし、それじゃあ。手紙とこの箱を工房において。お店の前に、張り紙でもしておこう」


私は、店に置いてあった鉛筆で、手紙を書く。


いつもながら慣れない手つきで文字を書いていくが…。


――こっちの世界の文字…。なかなか覚えるのが難しいんだよね。5歳の時、覚えていた文字は、殆ど書けるんだけど…。昔の事を思い出してから、日本語とごちゃ混ぜになっちゃって全然覚えられない。


「よし!これでいい」


[オリーザさん、以前約束した牛乳パック10本です。遅れてしまった分、今回の御代はいりませんので、自由に使ってください。一応この箱に氷が入っていれば7日は大丈夫なはずです。しかし、開封したらすぐに使用してください。腐っていた場合すぐさま捨ててください]


「ん~、この箱…私じゃ持てないな。ベスパ…もう一回お願い」


「はい!了解です」


――重い物や大きいものを運ぶときも、凄く役に立つんだよな…このスキル。どれくらいのものまで運べるんだろ。


そんな疑問を抱いていたら、あっという間に運び終えてしまった。


「終了しました!」


「お疲れさま、後はお店の扉に、『本日終了』を書いた、この紙をどうやって貼ろう」


――画鋲もない、ノリもない、テープもない。この紙どうやってこのドアに張り付けたらいいの、挟むにしても分かりにくいし。立てかけるにも木の板が無いし。


「キララ様!私にお任せください」


「え?どうするの?」


「これを使います!」 


ベスパはお尻から針を出した。


「針…」


「はい!物は試しです。キララ様はその紙を壁に押し当てておいてください」


「わ、分かった」


私は、言われた通り紙をドアに押さえつける。


「それでは行きますよ!」


ベスパは、助走をつけて紙へお尻から体当たりする。


お尻の針が紙と壁を突き刺す。


ベスパがその場を離れると、針だけがその場に残った。


「すごい、画鋲みたい…」


ベスパは4つ角に体当たりすると、しっかり紙は固定された。


「どうですか?これでよろしいでしょうか」


「うん、ばっちりだよ。それにしてもそんなに針が抜けて大丈夫なの?まぁベスパは、死んでも大丈夫だって、知ってるけど…」


「勿論大丈夫ですよ!その針も言わばキララ様の魔力ですので。私に、魔力が流れている以上は、何回でも出せます。まぁ本来の『ビー』たちでやると内臓も一緒に出てしまうので、針の取り外しはできませんが…。キララ様が命令してくだされば快く命を捧げてくれますよ」


「え…なんか重いな…」


「大丈夫ですよ、この世界の『ビー』たちは皆キララ様の味方ですから!」


「そ…そう…」


そんなことを言われても、あまり嬉しくないのは、言うまでもない。


「それじゃあ、やる事も終わったし、帰ろうか。早く戻らないと、またお母さんに怒られちゃう」


私は、舎弟君の荷台に乗り、行よりも速度を出して村へと戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ