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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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Sランク冒険者か疑わしい

「おい、フェニル。いきなり神獣を呼びつけるとはどういうことだ。説明しろ」


「あ、あははー。いやぁー、ちょっと気分が良くなっちゃって……。すみません」


「いきなり神獣が現れたら多くの者が驚くだろうが。全く……」


 ドラグニティ学園長はフェニル先生の頭をデシデシと叩き、しっかりと叱る。

 どこか、先生と生徒のように見えて微笑ましい。

 きっとフェニル先生もドラグニティ魔法学園の出身者なのだろう。


「ドラグニティ学園長が言っていたフェニクスを操る冒険者ってフェニル先生だったのか……」


「ふわぁ……。なんでぇぃ、フェニクスが現れたと思ったらキララがいやがる……」


 私に報告なしに背後に現れたのはフェニクスと同じく神獣のフェンリルだった。銀色の毛並みを軽く逆立てており、警戒していたようだが状況を知ると毛がなだらかに戻る。


「フェンリル、来るときは……」


「急いできたから連絡するの忘れた。すまない。緊急事態だと思ったからな」


「まあ、今は誰もいないからいいけど……。あの赤い鳥と知り合い?」


「そうだな。昔から知っている仲だ。あいつは近年、スキルを持っている者に出会えたらしい。運が良いやつだ」


 フェンリルは少々寂しそうにつぶやいていた。


「別にスキルが無くても友達になれるでしょ」


 私は大きめのフェンリルに抱き着いてモフモフの毛並みを堪能した後、目を丸くしている彼の頭を撫でる。


「ま、まあ、そうだな……」


 フェンリルは尻尾を振り、私に頬擦りしてくる。その後、危険が無いとわかるや否や、姿をふっと消した。


「昔っから性格が全く変わっとらん。教師になっても問題ばかり起こしおって! 何度叱られれば気が済むんだ!」


「うぅ……。キララちゃん、助けてぇ……」


 フェニル先生はドラグニティ学園長に襟首を持たれ、窓から戻って来た。

 あまりに情けない。彼女が一人でSランク冒険者だと本当に認められている人なのか疑わしく思えてくる。


「キララちゃん、わしはこのバカを叱ってくる。少し待っていてくれ」


「ああー、た、助けてぇー! フェニクス、私を助けろ!」


 フェニル先生はドラグニティ学園長と共に教室の外に向かう。


「すみません、フェニル様。私はドラグニティ学園長殿に手も足も出せず、絶対に勝てませんので」


 フェニクスは窓の外で軽く羽ばたき、頭を下げていた。


「嘘つけっ! うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


 フェニル先生はドラグニティ学園長に完全に連れていかれた。


 フェニクスは八メートルほどの巨体からさらに縮まり、体長一メートルほどになった。窓枠に足を付け、行儀よく止まっている。まるで真っ赤なインコのようで可愛らしいが、結構大きくて近づきがたい……。


「えっと、こんばんわ。フェニクスさんですか?」


「こんばんわ。フェニクスです。あなたは?」


「キララ・マンダリニアと言います」


「あら、よく思えば言葉が通じるんですね。珍しい」


「はは……。えっと、もう少し小さくなれますか?」


「なれます」


 フェニクスは手乗りインコくらいの大きさになった。だが、見た目の風格はそのままで、メラメラと燃えるような姿がとても美しい。


「あの、触ってもいいですか?」


「構いませんよ」


 フェニクスは私の手もとに飛び、私を止まり木にした。


 私はフェニクスの顎下や頭を撫でる。


「ふわぁ……。撫でるのがお上手ですね……。フェニル様より、優しいです……」


「はは、フェニル先生はがさつそうですもんね」


「そうなんですよ。いきなり呼びつけたり、体に付いた汚れを拭き取らず水をばっしゃっとかけてきたり、ほんと問題児ですよ」


 フェニクスは愚痴を呟き、私の指に頬を擦りつける。


「先ほどの魔力はキララさんの魔力ですか?」


「そうだと思います。気に入ってくれましたか?」


「もちろん! あれほど美味しい魔力は滅多にありませんからね!」


 フェニクスは翼を開き、瞳を焚火のように燃やしながら喋る。相当美味しかったようだ。


「じゃあ、もう少し食べますか? 神獣は魔力を大量に消費するみたいですし、お腹が空いていますよね」


「良いんですか?」


「はい。私、魔力が無駄に多いので、好きなだけ食べてください」


 私はバスケットの中に落ちていたパンのカスに魔力を込めて集める。パン粉に魔力をふんだんに含ませたあと手の平の乗せ、フェニクスの前に差し出した。


「はわわわっ! すごい! 目に見えるほど魔力がふんだんに含まれています! いただきます!」


 フェニクスは私の手の平に乗っているパン粉を嘴で突きながら食し始めた。


「うっまああああああっい!」


 フェニクスは全身を燃やしながら叫ぶ。まるでサウナのロウリュウ(熱した石に水をかけて蒸気を発生させ、発汗作用を促進すること)で、熱すぎて髪が焼けそうだ。

 パン粉がこんがりと焼け、黒炭のようになったがフェニクスは気にすることなく完食した。


「はわぁ……。満腹です……。この感覚はいったい何万年ぶりか……」


 ――神獣たち、お腹空きすぎ。燃費が悪いんだろうな。


「お腹が空いているのは辛いですもんね。少しでも機嫌が直ってくれたのならよかったです」


 私はメラメラと燃えるフェニクスの体を撫でる。熱いが手が燃えるわけではない。何とも不思議な感覚だ。


「キララさん、あなたの魔力はとても美味しかったです。お腹まで満腹にしてくれるなんて、無理やり呼ばれて飛んできたかいがありましたよ」


「喜んでくれてよかったです。フェニル先生は雑かもしれませんけど、フェニクスを愛していると思いますから、末永く仲良しでいてくださいね」


「ま、そのつもりですよ。いずれいなくなりますから、ちょっとした辛抱です」


「はは……。寿命が長すぎると大変ですね……」


 私はフェニクスを撫でながら、フェニル先生が戻ってくるのを待った。


「う、うぅ……。絞られた……」


 大分こっぴどく怒られたと思われるフェニル先生が、げっそりとした表情を浮かべながら教室の中に戻って来た。


「フェニル様。こっぴどく怒られたようですね。いい気味です」


 フェニクスはフェニル先生の肩に飛び、チョコンと座る。


「ん? フェニクス、こんな触り心地が良い毛並みだったか?」


「キララさんの魔力をいただいたら、全身が超綺麗になりました。こんなに良い気分になったのは久しぶりですよ。あなたに多くの精神を削られてきたせいで毛並みがボロボロだったんですからね!」


 フェニクスはフェニル先生の顔を嘴でつつきまくる。


「ご、ごめん、ごめん。許してくれって」


 フェニル先生がフェニクスにつつかれている中、私は懐中時計を開き、時間を確認した。現在の時刻は午後七時三〇分。


「あの、口頭質問の方は……」


「ああ、えっともう終わりで構わない。神獣と仲良くなれる時点で、キララちゃんの心は澄んでいるとわかるからな。あとドラグニティ学園長が明日の実技試験頑張れって言っていた」


「そうですか。ありがとうございます。では、今日は失礼させていただきます」


 私はフェニル先生に頭を下げる。

 鞄とバスケットを持ち、教室を出た。廊下は照明のおかげで明るく、夜遅いのに十分見えた。


「あ、キララさん。口頭質問も終わったのかい」


 後方にガタイの良い騎士を従えている第八王子のレオン王子が光が舞っているのかと思うほど綺麗な笑顔を浮かべながら廊下で待っていた。


 何か用だろうか。私が騎士を眠らせたのがまずかったか。処罰をくらったらどうなるんだろう……。とりあえず謝っておこう。


「す、すみませんでした。教室にいきなり入ったことは謝ります! 騎士に攻撃したのも、すみません! レオン王子に水をさしあげたのもすみません!」


「な、なにをいきなり謝っているんだ。僕は感謝しているんだよ。えっと、キララさん。今日はありがとう。君のおかげで後半は自分の実力が出せた気がする」


「そうですか……。なら、よかったです。じゃあ、明日も頑張りましょうね!」


「あ、ああ。そうだね。頑張ろう」


 私はレオン王子の横を通り、昇降機に乗って一階まで降りる。その過程で何人もの貴族が昇降機に乗ってきておしくらまんじゅう状態になった。香水の匂いがきつかったが、耐えきり、一階に到着。


 多くの者がげっそりとしており、疲労困憊の様子。

 心が強い者はすでに切り替えており、明日の実技試験に向けて全力で挑もうと言う姿勢が見て取れた。


 私は厩舎にさっさと移動し、レクーを出す。


「キララさん、お疲れさまでした」


 レクーは私に擦り寄りながら言う。


「うん。レクーも狭い場所でずっと待っていてくれてありがとう。安全に帰ろうね」


「はい」


 私はレクーを軽く歩かせ、体を解す。その後、手綱をしっかりと握った状態で背中に乗った。


「じゃあ、ベスパ。ルドラさんの屋敷まで、安全に帰るよ」


「了解です。正教会関係の建物を避けながら、屋敷までの最短距離を進みます」


 ベスパは光り、足下を照らしながら飛ぶ。王都は周りが光だらけなので田舎ほど暗くない。でも、さすがに東京よりは暗いので明かりはあった方が安心かな。


 ベスパが前を飛び、レクーが追う。すると一時間も掛からずルドラさんの家に到着した。門番に門を開けてもらい、レクーを厩舎に移動させて干し草と水を与えた後、ブラッシングをすませる。


 屋敷の中に入ったのは午後九時過ぎだ。


「お帰りなさいませ、キララさん」


 メイド長は他のメイドと共に私の帰りを待っていてくれていた。

 ルドラさんやケイオスさん達はすでに帰ってきているはず。ただの村娘を待っていてくれるなんて、大分律儀な方達だ。


「キララさんのお風呂に入らないと一日が終わった気がしないのよね……」

「あのお湯を知ったら、普通のお湯に戻れるわけないわ……」

「あのお湯を飲むともっと効果あるらしいわよ……」

「えええ……。やっちゃおうかしら……、キララさんの汗がしみ込んだお湯を飲むなんて、楽勝だし……」


 メイドたちは私が入った後のお風呂目当てらしい。まあ、女性は美容に大金を掛ける生き物だ。仕方が無いか……。にしても、ちょっとやばい美容方法を知ってしまった者って怖い……。


「えっと、皆さん。私が入った後のお湯を飲むのは汚いのでやめてくださいね。病気になりますから……」


「…………」


 侍女たちは視線をそらしながら、立っていた。


 ――そこまでして綺麗になりたいか。はぁ、衰えていくのは仕方ないって言うのに。


「キララさん、お食事はお部屋で取られますか、食堂で取られますか?」


「もう、皆さん、済ませているでしょうし、後片付けが楽な部屋で食べます」


「招致しました。では、部屋に運ばせていただきます」


 メイド長は頭を下げ、他のメイドたちと共に移動する。

 私は手洗いうがいをすませ、部屋に戻って来た。

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