久々の仕事
「すっごく美味しですよ!このスープ!このブヨブヨしたのは何ですか!すっごいクリーミーで初めて食べました!それにこの白い液体も美味し~!」
――す…凄い食欲…グロテスクな見た目のスープを全く軽蔑せずに完食するなんて。
「そ…それじゃあ。この後ちょっと手伝ってもらおうかな…」
「はい!」
私達は、牧場に向かって歩いている。
「それで今からいったい何をするんですか?」
「ん?それはね…着いてからのお楽しみ。そんな、難しい事はしないから。デイジーちゃんでも簡単にできるはずだよ」
少し歩くと、私が働いている牧場が見えてきた。
「お…キララ、大丈夫だったか?驚いたぞ、いきなりお前んとこの母さんと妹が逃げてくださいって言うもんだから」
「おじいちゃんこそ無事でよかったよ。他の皆は、大丈夫だった?…動物たちも」
「ああ、無事だ…結局はここまで瘴気が来ることは無かったからな。だが、大変だったのは、事実だ。これだけの数を、一気に逃がせるわけじゃないからな…」
「迷惑かけてごめんなさい…」
「いや、良いんだ。もし瘴気が来てたらそれこそ、逃げてなかったら大変だったからな。それにしても、レクーは相当頑張ったようだな、今も厩舎で寝ているぞ、いつもなら走っている時間なんだがな。相当疲れているようだ」
「うん、私…レクーが居なかったら絶対に、こんな事できなかったもん。レクーのお陰だよ本当に…」
「何か、良い物でも食わせてやらないとな」
「うん!」
お爺ちゃんは一通り喋った後、私よりも目線を下げ、デイジーちゃんの方を見た。
「それで、この子は…どちらさんだ?」
「えっとね、少しだけ家で預かることになったの。ここの牧場で少し…働いてもらおうと思って」
「は、初めまして、デイジーと言います。よろしくお願いします!」
デイジーちゃんは、しっかりと挨拶を行い、深く頭を下げる。
「そうか…まぁ良いだろう。やらなければいけないことは山ほどある、キララが居なかった分相当な量の仕事が残っているぞ。モークルたちもキララが居ないと寂しそうだしな」
「分かった。出来るだけ早く仕事を片付ける。それに…もう一度街へ行かないといけないんだ。今度こそすぐに戻ってくるから」
「そうか…分かった。ならまず厩舎の掃除からだ、デイジーもキララを見て同じことをしてくれ」
「はい」
「は、はい!頑張ります」
私は、朝から厩舎の掃除…、餌やり…、ブラッシング、等々を颯爽と終わらせ。他の仕事へ向かう…
勿論、1つも手を抜いていない、完璧を目指して、情熱をこめて行っている。
一通り終わらせた後、牧場に居る皆と少し会話していた。
皆どうやら心細かったみたい、私だけしか言葉が通じないから、中々分かって貰えなかったらしい…。
一通り皆の声を聴いた後、ベスパにある物を頼んでみた。実際作れるかどうか、分からなかったけど…。
どうしても、牛乳を運ぶには必要な物だった。
「ベスパ、あのね。ちょっとお願いしたい物があるんだけど」
「はい、何なりとお申し付けください」
「えっとね、厩舎の隣に大きな倉庫があるでしょ。あれのスッゴク縮小版みたいな物を作ってほしいんだけど。できる?大きさは牛乳パックが10本くらい入る大きさで、後氷も入れるから、それを考慮して…。簡単に中身が取り出せるよう、上蓋も付けて欲しいんだ」
「倉庫の縮小版と言う事は…。つまり…外界からの温度を中に入れず…内側の温度を外に出さない箱と言う事ですね。その箱を、キララ様の指定通りにお作りすれば…良いのですか?」
「まぁ、簡単に言えばそんな感じ、出来るかな?」
「結局は、あの倉庫と同じような構造です。持ち運びできるよう、出来るだけ軽量化しましょう。そして衝撃で壊れにくいように出来ないか検討してみます」
「そこまでできたら完璧だよ。出来るだけ早くお願いね」
「お任せください!茶々っと作ってもらいますよ!」
――こういう時は、本当、頼りになるんだよな…。まぁ瘴気を食い止める時も、ブラックベアーに襲われる時も…。私…なんだかんだ言って、ベスパに結構頼ってるし…。…それよりも早く残りの仕事を終わらせないと。
「き、キララさん。こ、この干し草は何処に?」
「えっと、メークルたちの餌箱に入れてきてくれる」
「はい!」
――それにしても…よく働く人達ばっかりだよな。シャイン、ライト、お父さん、お母さん、お爺ちゃん、デイジーちゃんまで…皆、目まぐるしく仕事を頑張っていて凄い。私は、ちょっと休みが欲しいけど…。
私が自身の仕事を一通り終えた頃…、丁度お昼時になっていた。
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