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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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試験監督が増えている

 試験監督の女性は爆風で吹っ飛び、地面を転がってローブを土砂塗れにした後、身を起こす。眼鏡がずれた状態になっていた。


「ば、爆発した……。だ、大丈夫ですか!」


 試験監督の女性は私の体に何かないか調べる。あなたのほうが豪快に吹っ飛んでいたでしょと言いたくなる。

 私の服装は平民だが、下級貴族の可能性もあると考えたのだろう。念入りに調べられたが、異常は無い。


「この試験で魔法陣が爆発したのは初めて見ました……。それほどの魔力量と言うことですかね……」


 試験監督の女性は眼鏡を掛け直し、ブツブツと独り言を続ける。長引きそうだったので、二枚目の魔法陣を摘まみながら魔力を流した。


「すみません。これで良いですか」


 私の手に持っている魔法陣からロウソクの火程度が浮き上がり、風に揺られていた。


「は、はい。合格です」


 二枚目も見せ、中々の評価を貰い、次に向かう。


 インクで描いた魔法陣と魔力で描いた魔法陣が別であると気づかれたら面倒なので証拠隠滅のため、紙を燃やしておいた。合格を貰えたら別に構わないだろう。

 私は記録用紙を受け取り、服に付いた燃えカスを叩きながら移動する。


「『ファイア』ですわ!」


「おおっ! 二五の位置から的に命中です!」


「おおおおっ!」


 どうやら的当ての方でなかなか良い記録を出している受験者がいるらしい。

 よく見れば金色ロール髪を靡かせハイブランド物だと一目でわかるいいドレスを着ているお嬢様じゃないか。試験問題を悠々と解いていたのか、はたまた寝ていたのか知らないが実力はあるようだ。


 私は気にせず、最後の実技試験に向かう。


「では、魔法で何かしてください」


「は、はい!」


 私より前にこの場に来ていた受験者が大きな声で試験監督に返事していた。


 ――魔法で何かしてくださいって……。大喜利じゃないんだから。


「おおーい、おおーい、キララちゃん、キララちゃん。こっちこっち」


 聞き覚えのある声がして、嫌々声がする方に顔を向けると人気が全く無いフリジア学園長が立っていた。

 いつの間にか試験監督の中に紛れている……。

 どうやら他の学科を回って最終的に魔術学科の試験会場に来たらしい。まあ、学園長なのだからそれくらいするか。最後に訪れたのがこの魔術学科と言う訳か。


 八名の試験監督とフリジア学園長が加わり、九名での実技試験が行われ、先ほどよりも滞りが無くなる。それぞれの姿が見えるため、周りのしていることがわかり。しょぼいことをすれば普通に笑われる。

 何とも言えない緊張感と出来ることが上手く出来ない悔しさが混沌とした空間になっていた。

 

 フリジア学園長の前には誰も並んでおらず、自分の情けない姿を見せたくないと思っている受験者に問題があるのか、はたまた、フリジア学園長にそもそも人気が無いのか。厳しい採点をしてくるとかあるのかもしれない。


 私は無視しようとするも、フリジア学園長はしつこく名前を呼んでくる。あまり名前は知られたくないので、彼女の前に渋々移動した。


「いやぁー。さっきの爆発、キララちゃんでしょ。すごい威力だったね。机が粉々になっていたじゃないか。なのに、キララちゃんの方はほぼ無傷。どういうことかな?」


 フリジア学園長は先ほどの一部始終を見ていたらしく、椅子に座り、脚を組みながら訊いてきた。子供に説教されている気分になる。


「普通に魔法陣が暴走して破裂しただけです。下方向に魔力を向けていたので爆発の方向も下向きだったと言うだけのことですよ。火の粉が飛んで少し焼けちゃったくらいなので、気にしないでください」


「そうかい、まあ、そう言うことにしておこうか。で、で、キララちゃんは魔法で何を見せてくれるのかな? まあ、さっきの面接の時に見せてくれたことをすれば、余裕で合格だが、それじゃあ、面白みがないだろう」


 このフリジア学園長は長年生きてきた影響か、面白いことにとことんこだわると言うか、面白いことが好きらしい。そうじゃないと性格が淡泊になって生きているのがつまらなくなるのかな。


「フリジア学園長は何が面白いと感じるんですか?」


「んー、やっぱり驚きだね。長年生きてるとね、驚くことが無くなるんだよ。さっきのキララちゃんの体質と魔力操作は物凄く驚いた。ここ八〇年くらいあれほど驚いたことは無いよ」


 フリジア学園長は長い耳をピコピコ動かしながら笑っていた。滅茶苦茶可愛いが……何歳なのだろうか。


「キララちゃん、女性を見て年齢を気にしちゃ駄目だよ。ちゅっ!」


 フリジア学園長は耳を光らせ、私の心を読んだあと投げキッスをして来た。まあ、可愛いのでいいか。


「驚きですか……。なら、空に炎の花を咲かせましょう」


「おお、興味深い。見せてくれ」


 フリジア学園長は姿勢を正し、エメラルドを思わせる緑色の瞳を輝かせながらお願いしてくる。


 私は記録用紙をフリジア学園長に渡し、定位置に付いた。

 手の平に『ウィンド』の小さな固まりを作り『ファイア』を纏わせる。そのまま上に放り投げた。手もとから離れた『ファイア』は『ウィンド』の影響により広がり、花弁のようになる。


「おおおおっ! 良いね! 面白い!」


 どうやらフリジア学園長はお気に召してくれたようだ。これで実技試験合格……。


「もっとも見せてくれ!」


 フリジア学園長は記録用紙に合格の文字を記載せず、椅子から立ち上がって言った。


「えっと……。もう実技試験は合格なんじゃ……」


「もう、何を言っているんだい。キララちゃんならもっとできるでしょ。私の長年の経験が言っている。君はもっとできる! やればできる! さあ、もっともっと私を楽しませてくれ!」


 フリジア学園長は熱血系だったのか、私にやる気を無理やり出させてくる。


 周りの試験監督たちもあせっており、フリジア学園長を止めようとしているものの、彼女の熱が冷めることは無い。


「えっと、えっと……。どうしようかな……」


「キララ、腹が減った」


「んんー、困った。なんか、白い犬が見える。どうしよう、疲れちゃったのかな」


「キララ、われ、動きすぎたらお腹減っちゃった。魔力ちょーだい」


「んんんー、知らない白い犬が、私に話しかけているように見える……。どうしたものか」


「キララ、キララ。なあ、なあなあなあー」


 白いモフモフの犬は私の足の間を八の字で通り出した。犬の曲芸のようで可愛らしいが大変じゃまだ。

だが、目の前にいるフリジア学園長は目を見開いており、口をあんぐりと開けていた。周りの者はよくわかっていないらしい。


「きーらーらー。わしの言葉が聞こえておらんのかー。魔力をくれー」


 真っ白なわんこが私の体に前足を乗せ、腰をヘコヘコ動かし始めた。自分の方が上だと言う何ともしみったれた神獣さんだ。

 私はわんこの口の中に手を突っ込む。


「われぃ、何でここにおんねん!」


 私はフェンリルの口の中に思いっきり魔力をねじ込んだ。


「おごごごごごごごごごっ!」


 フェンリルのお腹が風船のように膨らみ、破裂しそうなほどだ。

 だが、私は無理やり魔力をねじ込む。手を口から抜くと、真っ白な肉まんになっているフェンリルが舌を出しながらゲップした。尻尾を振り、満足そうな表情だ。


「あ、すみません。何をしたらいいのか、思いつかないのでまた後ろに……」


「ご、合格!」


 フリジア学園長は私の記録用紙に合格の文字を記載した。加えて肉まんのように膨れ上がっているフェンリルに抱き着き、モフモフしていた。


「きゃー、可愛いのぉー。お前、こんな姿になってしまったのか!」


「むむむ……、フリジア……。なぜきさまがここに?」


「ここの学園長なのだから、居るのが当たり前だろう。逆にお前の方がなぜここにいる?」


「キララの魔力が美味すぎていてもたってもいられず、ここに来てしまった。ほんと無自覚だったのだ」


「ほほー、キララちゃんの魔力はお主がそこまでほれ込む美味さとは。珍しい」


 私はフェンリルとフリジア学園長が知り合いっぽかったので、面倒なことになると思い、すぐさま帰ることにした。


「フリジア学園長、その記録用紙を返してもらいます」


 私は記録用紙を試験監督の女性に渡すため、フリジア学園長の手から記録用紙を奪いとる。そのまま、記録用紙を集めている試験監督に提出した。


「では、さようなら。後、白い犬野郎。いきなり現れるな」


 私は言葉を吐き捨て荷物を纏め、学園の厩舎に向かった。レクーを厩舎から出し彼の肉体に頬を付ける。


「はあ、疲れた……」


「お疲れ様でした。キララさん」


 レクーは尻尾を振りながら、私に擦り寄ってくる。厩舎の前でしゃがむ。その上に私は乗り、彼は立ち上がった。


「まったく、ベスパ。フェンリルを止めてよね」


「試験中はスキルの使用が不可能となっていましたので律儀に守り、通しました」


 ベスパはロボットのような方ごとで喋り、自分は悪くないと言う。私が試験に失格にならないよう配慮してくれたようだ。


「はあ……。ため息が出る。えっと、私は上手くやれたかな?」


「多くの者があの白い犬をフェンリルと見抜けていなかったようですので、たいして問題ないかと。まあ、フリジア学園長のみ気づいておられましたね。姿が小さくなってもわかるほど馴染みが深いのでしょう。どちらも長生きですし、昔に接点があったに違いありません」


「だろうね……。じゃあ、もう遅いし、屋敷に帰ろう」


 私は懐中時計を開き、時間を見る。午後六時三〇分。二時間くらい試験をしていた。道が混んでくる前にルドラさんの屋敷に戻ろう。


 私達は最短距離で移動した。正教会の前だけは絶対に通らずにだ。

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