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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
試験本番 ~賢者と聖女も現れたけど、気にせず受験する編~

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特待生になれる

「私、次の実技試験があるのでなるべく手短にお願いしますね」


「おっと、そうだった。いやあ、最近物忘れが激しくてねー」


「老化ですか……?」


「ち、違うぞ。これは知識を詰め込み過ぎてどうでも良いことが頭からすっぽ抜けてしまう現象だ。決して私が老けているからではない!」


 フリジア学園長は耳の先を持ち、グイグイと引っ張りながら血を脳に巡らせていた。


「んんっ、では次の質問だ。キララちゃんはいくつの属性魔法を扱える?」


「えっと……得意なのは火属性魔法です。苦手なのは闇属性魔法です……」


「ん? 私の質問が聞こえなかったのかな? キララちゃんはいくつの属性魔法を扱えるんだい?」


「えっとえっと……、二番目に得意なのは風属性魔法です。二番目に苦手なのが水属性魔法です……」


「んんんんっ? んんんんっ? じゃあ、三番目に得意と苦手な属性魔法は?」


「ひ、光属性魔法と雷属性魔法です……」


「じゃあじゃあじゃあじゃあじゃあじゃあ、さすがに四番目に得意と苦手な属性魔法は?」


「土属性魔法ですかね」


「えっと、確認しようか。火属性魔法と闇属性魔法、風属性魔法、水属性魔法、光属性魔法、雷属性魔法、土属性魔法。一、二、三、四、五、六、七……。あれあれ、おかしいな。どういうことだ?」


 フリジア学園長は指先を曲げ伸ばししながら、数を数えていた。小学生かな?


「えっと、キララちゃん、属性魔法と言うのはだね、一人一種類に絞るのが普通だ。一人二種類から三種類扱えたらもう、子供なら天才と言っていいよ。えっと、七種類は嘘としか思えない」


 私は指先に小さな火、水滴、竜巻、石、光玉、闇玉、静電気を発生させた。こんなの、ライトからしたらちょっとしたお遊び程度だ。私も彼に教えられて出来るようになったわけだが、フリジア学園長は満面の笑み、絶対おかしいのは私もわかっていた。でも、私が悪い訳じゃない。元凶はライトだ。


「はは……。はははっ! はははははっ! なるほどなるほどなーるほど!」


 フリジア学園長は壊れた。部屋の中を縦横無尽に動き回り、大口を開けて笑っている。


「うん、キララちゃん、この学園に入りたまえ! 私が君を魔術師の高みへと連れて行こう!」


 フリジア学園長は私の目の前にやってきて両手を握りながらブンブンと振ってくる。


「あ、えっとその……。まだ決めてなくて……。と言うか、実技試験もまだなのに……」


「七属性を扱えるだけで普通に規格外だ。伝説の八つ目、無属性魔法まで使えるかもしれない!」


 フリジア学園長は滅茶苦茶興奮していた。子供が興奮すると手が付けられない。


「フリジア学園長、私はまだこの学園に入るとは決めていません。最後のドラグニティ魔法学園も受験します。ただ特待生くらいの評価をしてもらえたら喜んで入りたいと思います」


「なるほど、キララちゃんは特待生狙いわけか。だが、七属性はあまりにも規格外だからな。使えたらどこの学園でも普通に特待生になれると思うが……」


「…………」


 ――私の血のにじむような努力はライトの遊びに負けるんですか!


「はははははっ! キララちゃん、君は自分の実力がわかっていないようだね。だが、その努力はきっと無駄じゃないさ」


 フリジア学園長は耳を光らせながら言う。心を読まれた。


「もう、心をかってに読むのはやめてください」


「うむ、そうしたいが、キララちゃんの心情は知っておきたいわけだよ。これから仲良くしたいじゃないか! 長年生きてきたが、友達と呼べる者があまりいなくてね……」


 フリジア学園長は遠い空を見つめるように目を細め、緑色の瞳を輝かせた。


 ――おしゃべりな性格と、相手の心情を読むせいなんじゃ……。


「おしゃべりなのは仕方がないだろう。やることが無いと暇なんだよ。喋っていないと一生がつまらない」


 フリジア学園長はぺらぺらぺらぺら喋りながら学園長室を歩き回る。ときおり、高い台に上ったり、椅子の上に座ったり、無駄な動きがあまりにも多いが。おしゃべりが大好きで私をここまで困らせるのだから、もう彼女は老害……。


「むむむむっ! 老害とは失敬な。この若々しいぺったんこな体から見ても……、ぐはっ!」


 フリジア学園長は両膝と両手を付き、大粒の涙を流していた。


「フリジア学園長。わかります、その気持ち」


 私は跪いてフリジア学園長に手を差し伸ばす。


「キララちゃん……。わかってくれるのか……。この気持ちを……」


「当たり前じゃないですか」


 私は自分のまな板を見る。まるで、何もついていないようなぺったんこな胸……。はてさて、これを胸と呼んでいいものか……。


「ああ、友よ!」


 フリジア学園長は私にぎゅっと抱き着き、長い耳をぴこぴこと動かす。


「まあ、友達くらいにならなってあげても良いですけど、私はいずれ成長しますからね」


「ぐぬぬ……。キララちゃんが成長しそうになったら、私が止めてしまおう!」


「きゃー、たすけてー」


 私は子供と遊ぶかの如く、学園長室を駆けまわった。


「はははははっ! まてまてっ!」


 面接の時間はいつの間にか、鬼ごっこにかわかり、話し合い、その他諸々……。


 三〇分ほど経った頃、学園長室の扉が開いた。


「学園長、そろそろお時間です」


 扉の前にいたのは、私をこの場に連れてきた試験監督の女性だった。


「ああ……。心地ええのぉ……。キララちゃんの膝……。近くにいるだけで魔力がしみ込んでくるような癒しになるとは……」


 フリジア学園長は遊び疲れて私の膝の腕寝ころんでいた。子供すぎん?


「が、学園長……」


 試験監督の女性も引き気味になり、苦笑いを浮かべている。さすがに長い年月を生きている著名な方がこのような子供になってしまったら驚くのも無理はない。


「もう、時間か。ほんと、人の時間の流れは速いなぁ……。だが、キララちゃんは私と同じか、それ以上の……もご」


 私はフリジア学園長の口を両手で塞ぎ、黙らせる。

 実際、私も老けることが無い。永遠の美貌を手にしているわけだが、そのことを他人に漏らしたらどこで広まるかわかったものではない。広まるなら、フリジア学園長が赤ちゃん化していたことだけにしてほしい。


「じゃあ、フリジア学園長、またの機会にお茶でもしましょう。私の情報は絶対の秘密ですからね」


「うむ! それは確実に守ろう! あと、お茶会を楽しみにしているぞ! 絶対、絶対お茶会するからな!」


 フリジア学園長は両手を振り、ピョンピョン飛び跳ねながら笑っていた。その姿が、可愛らしく、目が癒される。あの人が齢一〇〇〇歳だと言われても信じるが、見た目からは想像もできない。


 私は学園長室から出る。


「えっと、大丈夫でしたか?」


 試験監督の女性は私を心配して訊いてくれた。


「はい、大丈夫です。ちょっと、疲れましたけど、良い印象は与えれたと思います」


「そうですか。では、教室に戻り、最後の試験に行きましょう」


「はい」


 私は試験監督の女性の後ろに付き、もといた教室に戻る。


 ☆☆☆☆


「では、皆さん。この後、実技試験を行います。それぞれの学科ごとに分かれ、試験監督の指示に従い、実技試験を行ってください。最後の実技試験が終わった者から、帰宅していただいて構いません。では、移動しますからそれぞれの持ち物を持って付いて来てください」


 教室で待っていた私達は椅子から立ち上がり、試験監督の後ろに付く。

 現在の時刻は午後四時三〇分ごろ。エルツ工魔学園のような戦いではないと言うことだけど、実際はどうなのか見てみないとわからない。


 私達は広大な体育館っぽい場所に集められた。大量の受験者にもまれ、息苦しい。

 多くの者が女の子だからいいものの、男が混じっていたら痴漢し放題だ。


 整列の声が掛けられると少しばかり周りの空間が開いた。そのおかげで息がしやすくなる。

 飛び跳ねながら前方の舞台を見ると学科ごとに分かれるよう指示が出されていた。プラカードのような板に学科が書かれている。

 私は魔術学科なので一番右端だ。他に錬金術学科、薬術学科など頭が良さそうな学科ばかり。分かれていくとだいたいどこも同じくらいの人数になり、息苦しさが無くなった。事前にちゃんと考えられているんだなと感心する。


 四時四五分ごろ、トテトテと言う効果音がお似合いの歩き方をしているフリジア学園長が舞台に上がり、話し始めた。

 声が大きく聞こえ、何かしらの魔法か魔道具を使っていると思われる。


「皆さん! こんにちわっ! 初めましての方が多いでしょう。フリジア学園長だよー!」


 フリジア学園長は両手を振り、飛び跳ねていた。誰一人として無反応。誰もいない遊園地に吹くそよ風のごとく、あまりにもしらけている。


「んんっ、あー。ここまでお疲れ様。今から、学科ごとに実技試験を行う。学科の前にいる試験監督の指示に従い、移動を開始してくれ。自分の力を最大限発揮し、学園入学の資格を掴み取るように! 以上!」

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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