我が家に来た、デイジーちゃん
――どうやら村の皆は、避難してた所から戻ってきたみたい。一度は避難したのかな…、所々に逃げた形跡があるし。
仕事道具がそのまま外に頬りっぱなしに成っている所や、草刈が途中の場所もある…。
家に付いた私は、震える手で、恐る恐る玄関の扉を開ける。
「た…ただいま…」
「あら、お帰りなさいキララ、ずいぶん遅かったわね。ライトもお帰りなさい」
「た、ただいま」
「お…お母さん、えっとね…この子、デイジーちゃんって言うんだけど、お母さんと弟君が入院してて、1人で家に置いておくのも心配だから、お母さんと弟君が退院するまで、私達の家に泊めてあげられないかな…」
「あら、そうなの。もちろん良いわよ。えっと、デイジーちゃんだったかしらね、初めましてキララとライトの母です。何にも無い家だけど、ゆっくりしていってね」
「あ、ありがとうございます」
――なんだろう、お母さん怒ってないのかな…。
「お父さん…、シャイン…ライト…。3人で、デイジーちゃんに村を案内して上げなさない。お母さんはキララとちょっと話したい事があるのよ…」
――ヒィ…す…凄いオーラだ…どうしよう、ホントにどうしよう…。髪が重力に逆らって、うねってる…。
「わ…分かったよ。そ…それじゃあ行こうかデイジーちゃん、ライトとシャインも行くぞ…」
「は…はい…」×2
――え!お父さん、ライト、シャインちょっと待って!ちょっと待ってよ!
私は、減刑の助けを、お願いしたく…お父さんに、涙が溢れんばかりの瞳で訴えかけるが…。
お父さんは、私の肩をポンッと叩き…その場を去って行った。
「ちょっと待って!お父さ…、は!」
恐る、恐る後ろを振り返る…。
私の後ろには、今まで見てきた…どんな生き物より、沸き上がるオーラを放つお母さんの姿が。
お母さんの顔は、人間の顔をとどめていない…。いや人間の顔何だろうけど、私には…人間の顔に見えない!
「キララ…」
「わわわ…、ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!」
日本の古き良き風習…土下座を繰り出し、何度も頭を下げる。
お母さんは私の頭に手を置くと…。
――ぎゃ~!頭蓋骨…割られる…!
「無事でよかった…、すっごく心配したのよ。ほんとよく…無事に帰ってきてくれたわ」
「お…お母さん…!」
「だけど…」
「え…」
「しっかり、叱らないとお母さんの気が収まらないわ!!!」
「ヒ…ヒェー―――」
その日の説教は、朝から晩まで続いた。
次の日…
「う…うう…もう朝か」
――昨日の1日は、お母さんの説教で潰れちゃったからな…。今日こそは、ちゃんと約束を守るぞ!
私は、硬いベッドから飛び出し、食卓へと向かう。
「おはようございます、キララさん!」
「デイジーちゃんおはよう。こんな朝早くから偉いね」
「いえ、シャインさんと一緒に寝てたら…。シャインさんが起きた時に、私も起きちゃったんですよ」
「あ…シャインと一緒に寝たんだ。確かに、あの子は随分と朝早いからね…。それで一緒に起きたシャインは、どこに行ったの?」
「えっと…確か、『外を走ってくる』って言ってました」
「そう、シャインはいつも通りだね…。デイジーちゃん、ライトも起こしてきてくれる。ライトが、この時間に起きてこないなんて珍しいけど」
「分かりました!」
デイジーちゃんはライトが寝ているベッドまで走っていく。
「ライト君、起きてください。朝ですよ!」
「ん…ん…」
「早く起きないと、朝ごはん無くなっちゃいますよ!」
デイジーは、ライトを強めにゆするが、全く起きる気がしない。
「も!ライト君!早く起きないと………」
「はい!!起きます!!て…え…あ、おはようございます、デイジーさん」
「おはよう、ライト君!早く朝ごはん食べてね!」
「は…はい」
――なんだろう…何か、すごい事を言われた気がしたんだけど…気のせいかな…。
「デイジーちゃん、お疲れさま。家のことはもう良いから。2人と一緒に朝食を食べちゃってね」
「はい!いただきます!」
今日の朝食は、『ファイア』で焼いた黒パンに、ビーの子が入ったスープ、それと温めた牛乳だ。
いつのも定番なのだが…多分この世界では、あまり食べられていない、朝食だろう。
――デイジーちゃん…家の朝食、普通に食べてるな…。黒パンにスープはいたって普通だけど…。ビーの子と牛乳は、食べた事が無いと思うんだけど…。
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