瘴気の後遺症
デカブツの後処理が終わった後…。
私達は、一応瘴気の後遺症なるものが無いかを調べるため、リーズさんの病院で入院する事になった。
「姉さんと一緒の部屋になるなんて…もしかして、初めての事なんじゃない?家でも別々の部屋だったし」
「確かに…そうかも…。まぁ、姉弟だし色々と都合がいいんじゃないかな」
――このベッドに寝転がるのも3回目…か。
「僕…このベッド好き…家のと全く違うから…。お金たまったら、ベッド買おうかな…」
「私も…、ふかふかで気持ちいよね…って、もうこんな時間。ライト早くリーズさんの診断を受けないと!」
「診断って…、昨日見て貰ったんだから…姉さんだけで十分だよ。多分…」
その後、病室へと移動し…リーズさんの診断を受ける。
「キララちゃん、ライト君共に、瘴気の後遺症は発見されませんでしたので、もう退院してもらって結構ですよ」
リーズさんが私達のカルテを見ながら、…そう言った。
「ありがとうございます。私達も親に心配をかけていると思うので、すぐ帰ろうと思います」
――もう病院のベッドで寝られないのか…。ちょっと残念…。
白色で、よく見る病院のベッドだが、家にあるベッドよりも全然良い物であるため、ちょっと名残惜しい。
「そうしてあげてください。そして…こっ酷く怒られてくださいね」
リーズさんの表情から、いつもの優しい笑顔の裏に、今日は激怒的な何かを感じる。
「は…はい」
「では、退出してもらっても、いいですよ。この後も多くの患者さんが待っていますので」
「ありがとうございました。いつかお礼をさせていただきます」
「はい、しっかりと付けにさせて頂きますね」
――う…ちゃっかりと付けにされてしまった…何とか回避しようと思ったのに。
私は、病室から出るとライトがデイジーちゃんと話している。
「あ、姉さん。もういいって?」
「うん、私達に、何も後遺症は残って無いって」
「よかった~、これでいっぱい遊べるね!」
「そうだね、デイジーちゃんのお母さんも弟君も無事でよかったよ。あと少し入院したら退院できるんでしょ」
「はい、私は何とも無かったんですけど、お母さんと弟にちょっとした気だるさが残っているみたいで。それも瘴気の所為だって言われたんですけど…。でも少しすれば治るらしいので、私だけでも村に戻ろうと思います。病院に泊まるのも、タダじゃないので」
「でも、1人だけだと危なくない。お爺ちゃんは、大丈夫だったの?」
「いえ…お爺ちゃんも、まだ入院しないといけないらしくて…」
「そうなんだ…!」
――そうだ、デイジーちゃんに、いっぱい仕事を手伝ってもらおう…。子供1人増えるだけでも、大分助かるだろうし…。ちゃんと働いてくれた分のお金は払うから…大丈夫…うん…。
「なら、デイジーちゃんのお母さん達が良くなるまで、私の家に寝泊まりするのはどう!丁度やらないといけない事がいっぱいあるし!」
「良いんですか!私、キララさんの村に行ってみたかったんです!」
「それじゃあ決まり、ライトも別にいいよね」
「え!…ま…まあ、僕の代わりにシャインの御守をお願いできるなら…後仕事も」
ライトは、あからさまに動揺し、いつもの冷静な判断が出来ていない様子だ…。
――我が弟ながら、素直じゃないな…。ほんとは、来てくれて嬉しい癖に。
「勿論、タダで止まってもらう分けには、行かないよ」
「はい!私、出来るだけ頑張ります!」
「それに、デイジーちゃんが来てくれれば、お母さんの怒りがちょっとは、緩和されるかもしれないから!」
「お母さん…僕を連れ出してきた、翌日時点で柱をブチ折るくらい怒ってたよ…。頑張ってね、姉さん」
「…………」
「キララ様、覚悟を決めて方がよろしいかと…」
私は、その場から逃げ出そうとした…全速力で!
「はい、姉さん待った!『ストップ』」
ライトは、既に魔法杖を持ち、私の方向へ向けていたらしい。
私の体が緑色に淡く光り、指一本すら全く動かせなくなる…。
「あ…あのね、ライト…お姉ちゃん、まだこっちでやらないと行けない事があるから…」
「お母さんに、姉さんを見つけたら『無理やりにでも連れ帰ってきなさい』って言われてるんだ。ごめんね」
――こんな時だけ子供っぽい顔して…!
「それじゃあ、帰るよ姉さん」
「やだ~~~~~~!」
ライトがレクーの背中に乗って手綱を操作し、私とデイジーちゃんは、ただレクーの背中に乗って揺られている。
「レクー大丈夫?重くない?」
「はい、全然余裕ですよ。何ならもっとスピード上げられますが…」
「いや…出来るだけ遅くして欲しい…。家に帰ったら、私はきっとペチャンコにされてしまう…」
「姉さん、いったい誰と話してるの?そんな事、言ってもスピードは変わらないよ」
「ううう…」
そして私の家に到着してしまった。
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