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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
受験まであと半年 ~仕事ではなく勉強に本腰入れる編~

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誕生日の贈り物

「今日の朝は大雨で、どうなるかと思いましたが、今はこのような素晴らしい天気に変わり、楽しい誕生日会が行えそうで何よりです。今日は皆さんが楽しんでいただけるよう、私の方から料理を提供させていただきます。今年取れた品や去年取れた品を使った料理ですので、ぜひ食べて行ってください」


 私は大きな長テーブルに指を向ける。ベスパやビー達にお願いして料理を運んでもらった。


会場に来ている人々は四〇名を超え、子供達と大人がテーブルの周りをぐるっと囲むように椅子に座る。

 ビー達がハンバーガーを皿に乗せ、人数分運んできた。加えて中央に大きなピザが八枚並び、全て八等分にされている。皆の瞳が輝き始めたころ、木製の平たいさらに唐揚げやコロッケが山のように置かれて行った。

 これだけだともう太る料理しかないため、ククーミスとソラルムのまぜこぜサラダを提供し、少しでも野菜を取ってもらう。


 パンやオムレツ、麦飯まで用意され、食べきれるのか不安になるほど大量の品が並んだ。


「えー、ここに並んでいる料理は皆さんが一生懸命働き手に入った品々を使い作りました。今日はとことん飲んで食べましょうっ! 私の誕生日を祝って乾杯っ!」


「乾杯っ!」


 会場にいた子供達はグラスに牛乳を入れ、持ち上げる。大人はグラスに葡萄酒やエールをそそぎ入れて掲げ、乾杯を行った。皆の手を消毒し、病気にならないよう配慮する。


「姉さんっ! この料理は何っ!」


 ライトは一目散にハンバーガーを手に取り、口に運んだのか、口もとがソラルムソースでベタベタになっていた。まるで超美形のドラキュラが美女の血を吸ったあとのようだ。


「それはハンバーガーだよ。サンドイッチよりも食べ応えがある料理かな」


「死ぬほど美味しいっ! もう、語彙力が無くなるくらい美味しいよっ! はぐはぐはぐ!」


 天才のライトは美味しい食べ物で頭がバカになってしまったのか、もう言葉が出てこないらしく、ただ食べることしかできていない。


「うわああああああああああんんっ! 美味しすぎてほっぺが落ちるっ!」


 シャインの方はピザの方を食しており、泣いていた。片手で頬を押さえながら吠える。虫歯じゃなさそうでよかった。


「シャイン、あんまり大声を出すと他の皆に迷惑だから……」


「うわああああああああああんんっ!」


 多くの子供達が美味しさのあまりないていた。やはり、ソラルムの効果が大きいのか、味がしっかりと感じられるらしい。ピザはあっという間になくなり、ハンバーガーも皆、もの凄い勢いで食していく。特にフロックさんなんて子供かと思うくらい貪っていた。


「キララ、本当に本当にありがとう。なんでキララの誕生日なのに俺達の方が嬉しくなっているのかわからないっ!」


 フロックさんは口を真っ赤にしながら言う。今は子供っぽいのに、何かに本気を出すとカッコいいのがずるい……。


「いやはや……。まさかピッツァを食せるとは……。なかなか珍しい料理なのにここまで美味しいなんて……。ああ、もう、私もここに住みたい」


 カイリさんはピザを食しながら、葡萄酒を飲み呟いた。あなたは大貴族なんだからさっさと奥さんが待つ家に帰れ、と言いたかったが微笑みながら無視する。


「コロッケうま、コロッケうまっ! から揚げうま、から揚げうまっ!」


 ルドラさんとクレアさん、バレルさんはもう息ピッタリで、皆、同じ料理を食しながら叫んでいた。貴族の方達も唸るほど美味しい料理を提供出来て嬉しい限りだ。


 ほぼ天使のテリアちゃんとシスコンのガンマ君は互いに食べさせ合いながら味に感動し、飛び跳ねていた。


 巨乳のメリーさんとバートン大好きなカイト君は野菜を食し、美味しかったからか顔を見つめ合っている。


 美少年っぽい少女のセチアさんは子供達にコロッケを盗まれ、逆にから揚げを盗み返していた。


「はぁ……、ここまで美味しい料理が食せるようになるなんてな……」


 お父さんはピザを食しながら、葡萄酒を軽く飲みしみじみ言う。


「そうね……。でも、もうすぐキララも学園に行っちゃうのよね……」


 お母さんは野菜を摘まみながら呟いた。両者共に、私のことが大好きなので子離れできていない親バカだ。そりゃあ、長女だし簡単に子離れ出来たら異常だけど、心配しすぎるのも体に毒だ。

 私は今以上に強く気高く美しく賢くなって戻ってくる。そうすれば、二人も安心するだろう。まあ、私の方もホームシックにならないか不安だ。でも、もともと精神が安定しているため簡単にはならないかな。

 滅茶苦茶いじめられたりしたら、帰りたくなるかもしれないけど、いじめてきた奴らは返り討ちにするか、無視してやる。


「お父さん、お母さん。私を一二歳まで育ててくれてありがとう。本当にお父さんとお母さんがいなかったら、私は今生きていません。感謝してもしきれないから、今日は目一杯ありがとうを言うよ」


 私は前世でお母さんに感謝の気持ちを何度伝えたか覚えていなかった。なんなら、本当に数回くらいしか感謝していなかったかもしれない。親孝行をする前に死んでしまったので、今はなるべく感謝するようにしている。


 私はお父さんとお母さんに抱き着き、ありがとうと言う一番強い感謝の言葉を放った。


「ああ……。父さん達もキララが産まれてきてくれたから頑張って生きてこれたんだ。ありがとうな」


「ほんと、キララのおかげで私達の生活と楽しいと言う気持ちが戻って来た。ありがとうね」


 お父さんとお母さんは私の頭を撫で、感謝してくれた。それだけで私の報酬は十分だ。


「キララは多くの者から慕われてるんだな。にしても、なんで食べる料理がどれもこれもこんなに美味いんだ。こんなの出されちまったら何も逆らえねえ……」


 元盗賊のハンスさんはもうすべての料理を食し、口をパンパンにしながら言う。


「はぐはぐはぐはぐはぐはぐっ!」


 フルーファは口を真っ赤にしているため、ものすごーく怖い魔物に見える。彼はただソラルムを食しているだけだ。


 私はディアとネアちゃんにも料理や食材を食べさせ、一緒に誕生日を祝う。


「では、私もそろそろいただきますか」


 私は一番前の席に座り、ハンバーガーをナイフで切る。そのままだと大きすぎて食べられないのだ。

 小さく切ったハンバーガーを手で持ち、口に運ぶ。香り高いバンズとしっとり柔らかいブラッディバードの肉が本当に相性がいい。加えてチーズのまろやかさとソラルムの酸味が加わり、口の中が幸せに変わった。

 アクセントとして入れたククーミスのボリボリと言う細胞壁を噛み砕いているみずみずしい触感がハンバーガー全体の触感を飽きさせず、エッグルのたんぱく源が全てをまとめ上げていた。

 それらの味を担っているソラルムソースの美味さと言ったらとんでもない。キノコや野菜、山菜類を混ぜ合わせればもっとケチャップに近しい味になるだろう。

 今すぐにでも試したいが、食事に集中しなければならない。ハンバーガーを食し、もうお腹いっぱいなのだがピザに手を伸ばす。先ほども食べたが、もう一度食べたくなってしまう味と言う悪魔のような料理に手が勝手に動かされていた。

 口に運ぶともう、口の中がジャンキーだ。はあ、こんな生活を毎日送っていたらデブまっしぐら。

 私は大量の魔力に変わるだけで太らないらしいが、それでも糖尿病になる確率は上がりそうだ。ただ、ソウルを一切使っていないため、体に悪い食材は小麦とバター、油くらい。

 でも、私達の主食がパンなので胃腸の中にはパンを分解する酵素や細菌たちが大量にいるはず。彼らに任せれば大丈夫だ。そう言い聞かせ、二枚目のピザに手を伸ばす。唐揚げとコロッケは子供達に大人気。サラダは大人たちに人気だった。もちろんピザは皆に人気でハンバーガーの欠片はどこにも残っていない。

 食事中、私に贈物があると言うので多くの者が私の前に並び出した。


「キララさん、お誕生日おめでとうございますっ!」


 街で助けた多くの子供達が私に綺麗な花束をくれた。もう、……泣きそう。


「ありがとう、本当にうれしいよ。この花たち、一生枯れないくらい魔力を注いでおくね」


 私は子供達から花束を受け取り、一人一人に感謝して頭を撫でる。


「キララ、お誕生日おめでとう」


 お父さんとお母さんは私に勉強道具一式をくれた。羽ペンやインク、そこそこ高い品なのに専用の箱までついている。


「お父さん、お母さん。ありがとう。私、これで学園の試験問題を解くね!」


 私は貰い物をテーブルの上に置いておく。食事と贈物のブツブツ交換みたいだが、私としては貰うだけだと申し訳ないので丁度いいと思っていた。


「キララ、誕生日おめでとう。俺の贈り物はこれだ」


 フロックさんは私に黒い靴をくれた。どうも普通の革靴ではなく、軍隊が履くようなブーツっぽい。足首までしっかりと守れる優れものだ。足の大きさは合うのかなと思い、小さな足を入れてみると靴がしゅーっと縮んだ。魔法ってすごい……。


「冒険者御用達の安全靴だ。硬い石とか棘なんかはほぼ刺さらない。沼地でも靴下が濡れないし、長靴よりも動きやすい。靴の大きさは自動で変わってくれる優れものだ」


 フロックさんは胸を張りながら言う。どう考えても高い品なのに、別に無理してないと言わんばかりに話ていた。


「フロックさん、どう考えてもこの靴は高いですよね……」


「そ、そんな高くなかったぞ……。と言うか、贈物を値段で判断するな」


「いや、高そうだから逆に申し訳ないと思っているだけですよ」


「金なんて気にするな。俺はキララが沼地で滑って大怪我してほしくなかったから贈っただけだ」


 フロックさんは腕を組みながらそっぽを向いた。そんな場面、滅多に起こらないと思うけど……。って、あぁ、私、前世で泥に滑って防護服が裂けて……、お、思い出すのは止めよう。


「ありがとうございます。大切に使わせてもらいます!」


 私はフロックさんに頭を下げながらお礼を言った。


「レディーに、それ相応に相応しい品がいると思ってね。買って来てしまったよ。学園の入学式後に社交界(パーティー)が開かれる。その時にでも着てほしいな」


 カイリさんは私にバカ高そうなドレスを送って来た。木箱の中にしまわれているが、正面の上部が見えていた。ふわふわの白いレース、黄色っぽい布地に金色のメッシュが入っていた。煌びやかにも程がある。

 街のドレスを見ただけでも超高かったのに、カイリさんが買ってきたドレスとか……、値段を想像もしたくない。

 私は顔を振ってカイリさんに戻す。

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