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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
受験まであと半年 ~仕事ではなく勉強に本腰入れる編~

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実演販売

「イーリスさん。ククーミスはソウルと一緒に売るのが良いかもしれません。そうしたら売り上げが増える可能性が十分考えられます」


 ルドラさんは商売のコツを彼女に話す。


「でも、私はソウルなんてとても買えませんよ。一般の方も簡単には買えません」


「ですが、この美味しさはソウルが無ければ作れません。確かにククーミスだけでも美味しかったですが、それだけで買ってもらえるほどこの品はソラルムより甘くないでしょう。なので、何かと組み合わて売るのが効果的なんです。ソウルも単体だけではなかなか売れません。でもこの品とならうまく売れる可能性があります」


「えっと、具体的にどうすればいいんですか?」


「今、キララさんの調理行程を見たところ、ソウルを少々使っただけでこの美味しさを作っていました。金貨八枚分のソウルを使う間に、ククーミスを大量に売るんです。先ほどの料理を売るのが一番儲けられる方法ですが、ごく少量のソウルにすれば値段は抑えられます。ソウル二摘まみとククーミス二本で銀貨一枚で売るんです」


「ええ……。そ、そんな売り方が出来るんですか?」


「ソウルを購入した後、少量の袋に入れれば何ら問題ありません。二本で銅貨一枚のククーミスが銀貨一枚で売れれば儲けは一〇倍。例え、ソウルが金貨八枚でも十分元が取れます」


 ——まあ、さっきみたくソウルを沢山使わなくても、イーリスさんが作ったククーミスならただソウルを振りかけるだけでも十分美味しい。


 今、私はルドラさんから受け取ったソウルを摘まみ、採れたてのククーミスに掛けて食べている。もう、最高に美味しかった。大量の水分と塩分が合体し、口の中が夏の風物詩でいっぱいになっている。毎日食べたくなる味で、故郷の日本を思い出す。


「確かにククーミス単体で売るのは危険が大きいと思います。なんせ、皆、食べ慣れていないわけですもんね。でも、美味しいとわかれば買ってくれる人は各段に増えるはずです。ククーミスは焼くよりも生の方が美味しいですし、夏の水分補給に最適の品です。冒険者のおやつになったら最高ですね」


 水は案外重い。加えて昼食まで持っているとなるとククーミスで水分補給をしながらお腹を満たすと言う荒業も考えられる。綺麗な蒸留水(ミネラルウォーター)は街でざっと銅貨二枚。そう考えると、滅茶苦茶美味しいククーミスで水分補給をするのも悪くない作戦に思えてきた。まあ、どうなるかは売ってみるまでわからない。


「イーリスさん。ルドラさんの考えは一緒に売ると言う点にあります。必ずしもそうする必要はありません。失敗から学ぶこともたくさんありますし、挑戦してみる経験が大切です。私達だって失敗の連続ですからね。特にルドラさんなんて今、人生の崖っぷちに立っています。なのにこの眼を見てください。お金の匂い嗅いで最高にあらぶっているんです」


「はぁ、はぁ、はぁ……。本当に最高にあらぶってますよ」


 ルドラさんはお金大好きに加え、仕事大好き人間なので人生の崖っぷちにいようと挑戦を止めない。彼の強みはきっと厳しい点でも生き残ろうともがく精神力の強さにあるのだろう。


「さて、ククーミスよりも得たいの知れないメロンゲーナの方に行きましょうか」


 私はメロンゲーナの方に向かう。パンパンに膨らんだメロンゲーナ(ナスビ)が大量に実っていた。


「えっとキララさん。作っておいてなんですが、メロンゲーナをどうやって食べるのが一番美味しいんですか。私、あんまり食べないので……」


 イーリスさんは、農家なのに致命的な発言をしていた。


「メロンゲーナはククーミスと同じくソウル漬けにしても美味しいです。でも、やっぱり炭火焼が一番美味しいと思いますね! そこに醤油をちょっと垂らしてビールをグイッと! ぷはーっ美味い!」


 私は身振り手振りで一人芝居を打つ。


 イーリスさんとルドラさん、デイジーちゃん、ルイ君は疑問符を浮かべるような表情になり、静かな空気が流れる。


「あ、いえ……。何でもないです」


 自分一人で盛り上がり、周りを置き去りにしていた。昔、テレビ番組で食べた焼きナスの味が今でもありありと思い出せてしまうほど美味しかったのだ。


「とりあえず、メロンゲーナは生で食べるより、焼いて食べる方が断然楽です。油炒めか、炭火焼、和え物でもいいですね。とにかく単体で食べるには食べ慣れていないと難しいです。ま、私は余裕ですけど」


 私はメロンゲーナを蔕から取り、齧り付く。スーパーで売っているナスビに齧りついたら最高に不味かったが、今回齧りついたのはSランクのメロンゲーナだ。なんら問題ないだろう。


「うわ、うっま! みずみずしくてほんのり甘い!」


 私が食べたメロンゲーナは薄いメロンの味がした。こんなうまい野菜があって良いのか。もう、生でメロンゲーナが食べられてしまう。でも、これは取り立てで、えぐみが少ないからだろう。農家だけが味わえる特別な味だ。


「皆さんも食べてみてください!」


 私はメロンゲーナにかじりつき、口の中に広がる甘味のある水分を飲む。薄いメロンジュースを飲んでいる感覚を味わい、手が止まらない。もう、いつの間にか全て食べていた。


「こりゃ、焼いたら確実に美味いな……。ベスパ、簡易的な炭コンロを持って来て」


「了解です」


 ベスパは炭と土を固めて作ったコンロを持ってきた。私は火にあたらないようネアちゃんの糸を網目状に巡らせ、簡易的な金網を作った。火に直接当たらなければギリギリ燃えない。何なら炭の遠赤外線なら耐えられるらしく、遠火でじっくりと焼き上げれば、糸は燃えなかった。


 私はメロンゲーナを真っ二つに切り、水に浸して一分。簡単に灰汁がぬけるのも良い所だ。

 綺麗な黒紫色の肌に格子状の切込みを入れ火が通りやすくする。網に乗せ、炭に軽く風を送ると真っ赤に燃えて水分を含んだ何かが弾ける音がする。


 数分経つと遠火で温められるメロンゲーナから水分が滴り落ち、箸でつまむだけで熱々の汁がじゅわっと溢れ出していた。さすが九〇パーセント以上が水分で出来ている野菜だ。

 さっきまで、ぱっつぱつだったのに、ちょっと火に当てられたくらいでもうヘロヘロになってしまったメロンゲーナ焼きを皿に移し、箸で半分に割ると甘い香りが漂って来た。

 気づいた時には口に入れており、じんわり広がるうま味と甘み、歯を使うまでもなく蕩け、メロンを焼いたくらい甘くて美味しい。


「Sランクの野菜ってこの美味さなのか……。こりゃ売れるわ……」


 きっと日本でも売っても確実に売れる。私の舌が唸り、美味すぎて簡単に一本食べ終えた。私だけ味わうのも申し訳ないので、皆のぶんも焼く。


「皆さん。メロンゲーナ焼きが出来ました。食べに来てください!」


 メロンゲーナの収穫をしていた皆は私のもとに猛ダッシュ。息を荒げながら餌を待つ犬の如く礼儀正しく待っていた。


「じゃあ、皿に移します。熱いので、ふうふうしてから食べてください」


「はいっ!」


 イーリスさんとルドラさん、デイジーちゃん、ルイ君は私が焼いたメロンゲーナをフォークとナイフを使って綺麗に裂き、少し食した。


「んんんんっーーーー! おいしいいっ!」


 四名は同時に叫び、メロンゲーナを綺麗に食べきる。ナスビが嫌いな者が多いと言う日本の記録があるが、どうやら彼らにとってはとても美味しい品らしい。そりゃあ、もうほぼフルーツと言ってもいいぐらい美味しい野菜なので、食べたがるのも無理はない。


「こ、こんなに美味しいメロンゲーナを始めて食べました……。さすがSランクの野菜。味、風味、舌触り、何もかも別格です……」


 ルドラさんは食べきってしまった皿の上を見ながら呟く。


「私、こんなとんでもない野菜たちを育てていたんですね……。あと、ここまで美味しい品を綺麗に作れてしまうキララさんの栽培技術がすごすぎます」


 イーリスさん私の方を見ながら目を輝かせていた。


「うわーんっ! 野菜が美味しすぎるよー! これ、売っちゃうのもったいないよーっ!」


 デイジーちゃんは自分で大切に育てた野菜を食べ、売ってしまうと言う事実を知り、愛着が湧きすぎたのか泣いていた。


「はむ、はむ、はむ……。メロンメロン、うまうま!」


 ルイ君は実っているメロンゲーナに齧り付き、生で食していた。もう、メロンゲーナの虜になっている。


「さて、このメロンゲーナも相当美味しいことがわかりました。でも、ククーミスと違って焼いて食べることができると言うのが強みですね。焼くことで食べやすくなりますし、メロンゲーナを食べると言う行為に結び付けやすくなるはずです。なので、実演販売をするのがいいかと思います」


「そうですね。私もそう思います」


 ルドラさんも頭を縦に振る。


「実演販売……?」


 イーリスさんは聞き慣れない言葉に首を傾げていた。


「簡単に言えば、このメロンゲーナを実際に調理しながら、売るんです。試食してもらいながら美味しければ買ってもらえますし、あわないなと思ったら試食だけで済まされます。でも、この美味しさなら売れることは間違いありません。重要なのはイーリスさんが上手に焼き、メロンゲーナの美味しさを際立たせることです!」


「わ、私に出来ますかね……」


「じゃあ、一度やってみてください」


 私は炭コンロから退き、イーリスさんにメロンゲーナを焼いてもらう。処理の方法はある程度伝えた。


「で、では今から、メロンゲーナの実演販売を行っていきたいと思います」


 イーリスさんは入社して間もないアナウンサーかと言うくらい緊張していた。顔採用と言われないように、必死になっている姿が初初しい。

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― 新着の感想 ―
きゅうりはスープに入れたり煮込んだ方が食べやすいし別ベクトルの美味しさがあるから普通に爆売れしてもおかしくない気がする。 ククーミスとメロンゲーナのソラルム煮込みなんてどう?実演販売したら全部売れるん…
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