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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
受験まであと半年 ~仕事ではなく勉強に本腰入れる編~

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もてなすのも仕事のうち

「はあ、ほんとキララは大人の扱いが上手いな……。いつも仕事でどこにいても張り詰めた空気なのに、ここに来ると気がゆるんじまう」


「ほんとだよ。いつもいつも仕事仕事……。のんびりする時間なんてない。でも、ここに来たら実家以上に安心してしまう。料理が美味しいのだからなおさらね」


 フロックさんとカイリさんはとても寛いでくれていた。料理は人の心を安らげる。美味しい料理を食べれば元気になる。なんせ、食は人の三大欲求の一つなのだ。

 それが満たされていれば心が休まるのも無理はない。あと、この村には私の魔力が溢れている。私が入った後のお風呂のように魔力が溢れた場所にいると疲れが癒えるらしく、村全体がパワースポットとなっていた。


「じゃあ、姉さん。僕は仕事をしてくるね。母さん、今日も美味しい料理をありがとう」


 ライトは食器を片付けた後、服を着替えて家から出た。


「私も仕事をしないとね。フロックさんとカイリさんは自由に寛いでいてもらっていいですから、ゆっくりしていってください」


 お母さんも食器を片付け、仕事を始める。


「ありがとうございます」


 フロックさんは頭を下げ、椅子にしっかりと腰掛けながら表情を和らげていた。


「じゃあ、二階のライトの部屋にでも行ってベッドで眠ってください」


「そうだな。ありがたく、少し寝させてもらおうか」


 フロックさんとカイリさんは二階に向かい、ライトの部屋に入ってベッドに寝転がる。ライトの部屋には秘密事項があるわけではないので入っても問題ないはずだ。

 この世界にエロ本の類があるのかはわからないが、まだ九歳のライトにその概念も無いだろう。いや、デイジーちゃんに恋心を抱いているくらいだから、少しは下心があるのかな……。


 私はフロックさんとカイリさんが寝やすいように質の良い魔力で部屋の中を満たしておく。そうしておけば体力の回復も早くなるはずだ。


 フロックさんとカイリさんが戻って来たと言うことで、夕食の品を考える。ほとんどの男性が大好きな揚げ物を作ってあげようと思いつく。今、作れる品がブラッディバードのから揚げとチーズ入りコロッケ、美味しい小麦で作った揚げパンなどなど、どんな料理にしようか迷っていた。

 麦飯を炊いて、これぞ日本食と言うふうにしても面白い。まあ、フロックさんとカイリさんが日本人ではないので飯と言う文化にあまり慣れていないと思うから、普通にパンを主食にするか。


「料理を楽しそうに考えているところすみませんが、キララ様もお仕事や鍛錬、勉強があるのをお忘れですか?」


 ベスパは両手を組み、応援団長のようなモンペを着ながら私に言ってくる。


「そ、そうだったね。さっさと走ってくるか……」


 私は午前五時三〇分頃に走り始め、一五分間ランニングした。家に帰る前に鎖剣を持ち、しっかりと本気で一〇回以上振る。最近は一五回まで伸びた。

 疲労困憊の中、家に帰り、自室で勉強。集中力が続く四時間の間、休憩をところどころに挟みながら行う。私の牛乳配達は子供達がやってくれているので勉強に専念できた。


 午前一〇時頃。私は勉強を終え、仕事場の牧場に向かう。その道中にある畑がズミちゃんによって耕されている光景を見て少々和んだ。


 牧場に到着し、問題が無いかを各所を回りながら調べる。ベスパがビー達の話を聞き、問題が無いと確定した。

 人とビーの二重で調査すれば問題の漏れがほぼ無い。問題を早急に発見し、解決すると言う動作も早く、今日も牧場は順調そのものだ。


 私の仕事は見回り程度なので、すぐに終わった。クレアさんとバレルさんが入ったことで、他の者の仕事量が少量減り、楽になったらしい。

 朝早くからハンスさん達を稽古して来たバレルさんはバートンの世話をしており、王都で毒入りの餌を与えていたと言う事実から、少々危険視していたが実際はバートンのことが大好きらしいので、お爺ちゃんと意気投合していた。

 なんなら、お爺ちゃんと歳が近しいからか、友達関係になり、順風満帆な日々を過ごしている。辛そうな姿はなく、逆に幸せそうだ。死にそうな顔をしていた時を思えば十分すぎる幸せなひと時だろう。


 クレアさんはモークル達をお世話しており、皆に無理をし過ぎないでと言われる中で、子モークルや親モークルをグイグイ通しながら歩かせると言った力仕事をこなしている。ときおり吹き飛ばされ、泥まみれになっているのだが、大きな声で笑い、すぐに立ち上がるのだから体力があり余っているようだ。楽しそうで何より。


「コココ、コケ、コケココ」


 小さなブラッディバードたちは横に何列も並んでおり、餌を啄んであほ面を曝しながら生活していた。彼らはエッグルを一日に一個産み落としてくれる。魔物と言うこともあり、だいぶ厳重に去られているが、彼らはバカなのでなぜ自分が捕まっているのかすらわかっていない。

 ひなの時から頭がスッカラカンすぎて大きくなってもおバカな雄などはありがたく食用にさせてもらっている。魔物を倒すのは悪いことじゃないからね。

 そのおかげで、ブラッディバードの羽や肉が定期的に取れるようになった。繁殖もビー達が勝手にやってくれるのでとても助かっている。

 

 馬鹿なブラッディバード達は有精卵と無精卵の違いがわからない。しっかりと温めてあげることができない場合が多いので、ビー達が有精卵と無精卵を回収し、温めて孵すと言う何とも慈悲深い行動をとっていた。まあ、私が命令しているだけなんだけど。でも、そのおかげで、小さなヒヨコサイズのブラッディバードが何匹も生まれ、エッグルの量と肉が量産されていく。


 ネード村でイーリスさんの小麦と大麦を作ったさい、麦ガラを大量に貰った。ブラッディバード達の餌になり、すくすく育ってくれている。最も大きな個体になっても、鶏サイズしかないので、恐怖はない。逆に大きくなりすぎたらその前に倒してしまう。そうすれば村に被害が出ない。


「よし、どこも問題ない。昼前に仕事を終えられたね」


 私は仕事を終え、いったん家に帰る。すると、居間で大剣を磨くフロックさんとライトが書いた論文を読み漁るカイリさんがいた。


「二人共、もう寝なくて大丈夫なんですか?」


「ああ。問題ない。あのベッド滅茶苦茶寝やすくて一瞬で体力が回復したんだ。ありゃなんだ?」


「メークルの毛を使った敷布団です。体重を分散させて疲れにくくするんですよ」


「あんなに良い敷布団がメークルの毛で作れるのか……、さすがだな……」


 フロックさんは顎に手を当て、つぶやいた。


「れ、レディー。ライト君の部屋で見つけた研究資料を読んでいたんだが、もう、訳がわからないんだ。いったい、絶対、どうなっているんだい? 天界語、魔界語の研究やら、魔物の研究、魔法陣の構築論なんかも色々読み漁っているんだけど、これはやばいよ……」


 カイリさんはライトの論文を読み、苦笑いをしながら、分厚い本をペラペラとめくっている。カイリさんもその速度で読み進められている時点で相当やばいですよ……。


「えっと……、私も半分以上理解できていません。ライトの自己満足なので、たまに聞きますが、全く理解できませんね」


「だよね。全く新しい考え方ばかりだ。今までの魔法の概念までなにもかも壊そうとしてる。もう、学会に発表してほしいくらいなのに、彼にその気が無いと言うのが恐ろしい……」


「まあ、ライトの自己満足は自分がどれだけ楽しんで続けられるかと言うのがもっとうですし、自分以外がどうなろうと気にしていないんです」


「キララも自己満足で終わらせていたら、危険にならずに済んだのにな」


 フロックさんは笑いながら嫌味を言って来た。


「確かに、自己満足で終わらせておけば、危険にならずに済みました。でも、売り出してお金を稼がないといけないと思ったので、後悔はないです」


「休暇中に仕事の話はあんまりしたくないが、一年間で調べてきたことを報告してもいいか?」


「そうですね。私も時間が出来ましたし、さっさと話し合っておきましょう」


 私はフロックさんとカイリさんを椅子に座らせた。


「珈琲と紅茶、どちらが良いですか?」


「珈琲」「紅茶で」


 フロックさんは珈琲、カイリさんは紅茶だった。まあ、Sランク冒険者を丁重にもてなすのも仕事の内か、と思い、ネード村産の小麦を使った特性パンケーキとカロネさんが経営しているフラワーローズで売られている高級ブレンドコーヒーと高級紅茶を使い、二杯を完璧に作り上げる。


「お待たせしました。パンケーキと珈琲、紅茶のセットになります」


 私はフロックさんとカイリさんの前にパンケーキが二枚乗った皿を出し、珈琲と紅茶が入ったカップを添える。パンケーキにはバターが乗っており、熱ですでにじゅわぁーっと溶けていた。皿の隣に白い布を置き、ナイフとフォークを乗せる。


「えっと……、俺達は高級菓子屋に来ているのか?」


「いや、どう考えてもレディーの実家にいるはずだ」

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