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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
受験まであと半年 ~仕事ではなく勉強に本腰入れる編~

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二人を家に招く

「なら、ベッドを貸しますから、寝てください。寝不足でバレルさんと戦っていたとか、バカすぎませんか?」


「なんて言うんだろうな……、さっきは徹夜明けの気分が良い状態だっただけだ」


「ただ気分が良いだけで、体調は最悪だったと言うことですね。全く、そんな状態で移動していたなんて考えられません」


「すまない……。少しでも早くキララに会いたくて……」


「フロックさん……」


 私は不覚にもフロックさんの一言に心臓をドキリとさせてしまった。深部体温と表面温度が急激に上がっていく。


「なんてなー」


 フロックさんは私をおちょくって来た。この男、私の乙女心を弄びやがって。


「カイリさん! フロックさんが女遊びでも始めたって言うくらいうざいんですけど!」


「あー、実際、Sランク冒険者になってフロックは案外モテだした。この前も、多くの女性をはべらかしていたねー」


 カイリさんは面白おかしそうに微笑みながら、呟く。


「な……、そんなバカな……。フロックさんがそんなこと……」


「ま、まあ、俺も男だからな。強くて金を持てば、多くの女が寄ってくるんだ。はははっ!」


 フロックさんは腰に手を当て、地位と金、力を全て手に入れてしまった悪い貴族みたいに大きく笑う。


「う、うう……」


 私はそんなフロックさんを見たくなくて、眼がしらが熱くなる。


「あ、キララ、えっと、その……」


 フロックさんは笑っていたのにいきなりしおらしくなる。


「れ、レディー、今までの話は全部嘘だよ。何の気遣いも出来ないフロックが女性にモテるわけないじゃないか」


「ああ、俺が女にモテると思っていたのか? 俺のモテなさは尋常じゃないぜ!」


「ぷっ……、ふふふっ、二人共、何を慌てているんですか。私、泣いてませんよ。女の子の最強の武器はそう簡単に見せません」


 私は舌を出しながら、あざ笑う。子供を虐める悪い大人は成敗しなければ。


「こ、このガキ……」


 フロックさんは握り拳を作り、寝不足が吹っ飛びそうなくらい怒っていた。


「いやはや、してやられた……」


 カイリさんも、冷や汗を額に掻きながら苦笑いを浮かべていた。


 私とフロックさん、カイリさんは家に到着する。そのまま、扉を開け、家の中に招き入れた。


「グワっ!」


 フルーファが私の帰りを悦び、家から飛び出そうとしてきた。まあ、十中八九、魔力や食事が目的だろう。


「なっ! 黒色のウォーウルフ! キララ、下がれ!」


 フロックさんは寝不足を感じさせない素早い動きで私を抱き抱え、身を挺して守ってくれた。


「ここまで大きな個体、初めて見たぞ。どこから入り込んだんだ」


 カイリさんも後方に一歩下がり、スキルで生み出した半透明のバリアで家の入口を塞いでいる。


「ん……、キララ、この二名は誰だ?」


 フルーファは玄関で大人しくお座りし、首をかしげていた。襲ってきているわけではないので、牙は見せておらず顔は愛くるしい。


「えっと、フロックさん。カイリさん。驚かせてしまってすみません。この子はフルーファと言って私の飼い(ペット)です」


「飼い犬?」


 フロックさんとカイリさんは互いに私とフルーファを見回し、意味が理解できない様子だった。


「キララ……、俺は飼い犬に成り下がった気はないぞ……」


 フルーファは眠そうな目を細め、鋭い視線をぎろりと向けてきた。全く、生意気なことを言う寝坊助野郎だ。

 私は名残惜しいがフロックさんから離れてカイリさんにバリアを解いてもらい、家の中に入ってフルーファの顎下を撫でる。


「あ、ああ、気持ちえぇ……」


 フルーファはすぐにゴロンと寝転がり、お腹を見せてきた。私はそのお腹をわしゃわしゃと撫でると、彼は完全に伸び、尻尾を大きく振る。


「ほ、本当なのか? ウォーウルフを飼い犬にしたって……」


 フロックさんは目を細め、未だに疑いの視線を向けながら呟いた。


「本当ですよ。この通り、とても仲良しです」


 私はフルーファに抱き着き、仲の良さをフロックさんとカイリさんにみせつける。まるで子供向けの雑誌の表紙かと思うくらい良い雰囲気を放っていた。


「仲良しと言うか、ウォーウルフの方が脅されているように見えるんだが……」


「た、確かに……。ウォーウルフの顔がさっきからどうも恐怖しているように見える」


「えー、そんなことあるわけないじゃないですか。ね、フルーファ」


「あ、当たり前ですよ……。あ、あはは……」


 私はフルーファに頬擦りして愛情深く接する。私の愛情を受け取って恐怖しているのだったら、躾としては丁度良いのではないか。


「もう、フルーファ。勝手に飛び出しちゃ駄目でしょ。あら、フロックさん、カイリさん。お久しぶりです」


 お母さんが玄関に出てくると二名の客人に頭を下げて挨拶した。


「ご無沙汰しております。えっと、上がっても良いですかね?」


 フロックさんは律儀に頭を下げ、玄関に入ってくる。


「ええ。もちろんです。丁度、朝食に出す料理を作っていたところなのでぜひ座って一緒にお召し上がりください」


「すみません、いきなり来てしまって」


 カイリさんはもう家に泊まる気満々のようで、玄関を入った後、鎧をさっさと脱ぎ始めた。両者に手を真水で泥汚れを洗ってもらい、魔法で完全に綺麗にする。


「ふわーあ、あれ。カイリさんにフロックさん。どうして家にいるんですか?」


 二階から降りてきて、居間にやって来たライトはあくびしながら呟いていた。


「おはよう、ライト君。いやあ、一年で結構大きくなったね。八センチくらい背が伸びているんじゃないかな?」


 カイリさんはライトのもとに歩き、手をライトの頭に置いた。

 身長一八〇センチメートルを超えるカイリさんがライトの隣に立つと、ライトはまだまだ小さいが、順調に身長を伸ばしているようで、一年前よりも大人びていた。


「そうですか? 僕はあまり気づかなかったですけど、確かに背は伸びた気はしますね」


「逆にキララは全く伸びてない気がするが……、ちゃんと食べてるのか?」


 フロックさんは大剣を壁に立てかけ、私の方に視線を向ける。


「一年で身長は……、は、八ミリメートル伸びました! 私だって成長しているんですよ。あと、ちゃんと食べています。食べても食べても背が高くならないんです!」


「す、すまん。別に怒らせるつもりはなかったんだ。ちんちくりんのキララもそれはそれで保護欲が刺激されるし、可愛らしいと思うぞ」


「ものすごーく失礼な人ですね。私はお母さんみたいなボンキュボンになりたいんですよ。こんなちんちくりんな体じゃ、他の生徒に笑われてしまいます!」


「体格なんて気にするな。気にするだけ無駄なことだからな。俺も長年悩まされてきたが、悩んでいて何も良いことが無かった。悩むだけ無駄な時間だ。他のことを考えていた方が有意義だぞ」


 フロックさんが言うと、あまりにも説得力があった。彼の身長は一六〇センチメートルと言っているが、実際は一五八センチメートルくらいだと思う。でも、去年よりも身長が少し伸びているような気がした。まあ、伸びないことは無いと思うけど、そんな急激に成長期が来るとも思えない。いや、異世界だし、地球とは体の作りが全く違うからな……。


「にしても、ライト君。一年間で魔力量が相当増えたね。こんなに多くて苦しくないかい?」


 カイリさんはライトの体に触れ、魔力量を測っていた。どうやら、ある程度分かるらしい。


「苦しくありません。毎日毎日ヘロヘロになるまで魔法を使うので、体の方も鍛えられているんだと思います。僕の魔力量なんかより、姉さんの方がもっと凄いですよ」


「レディーの方がライト君よりも多い? まあ、確かに雰囲気から何となく想像できるが」


 カイリさんは私の方に寄って来た。私はカイリさんから逃げフロックさんの後ろに避難する。触れられて化け物みたいな魔力量と知られるのは少々怖い。


「お、女の子の体に触れようとするなんて犯罪ですよ。私、ドラグニティ魔法学園に行ってカイリさんの妹さんにあってきました。相当尊敬されているようですけど、いたいけな少女にちょっかいをかける男だって言っちゃいますからね!」


「レディー、リーファにあって来たのかい? どうだった、私の妹は。他の生徒と逸脱するほど美しかっただろう。あの麗しき妹を持つ私も同じくらい美しいと言うことがわかって……」


 カイリさんは長い髪を無駄にサラサラと流し、自分語りを始めた。周りの者はカイリさんの姿を見て目を点にしながら黙り込んでいる。


「キララ、ドラグニティ魔法学園に行ったと言うことは、見学しに行ったと言うことか?」


 フロックさんは振り返り、私の姿を見ながら話し掛けて来た。


「はい。ドラグニティ魔法学園、エルツ工魔学園、フリジア魔術学園の三学園を見学しに行ってきました。どの学園も面白くて目移りしちゃいましたよ」


「そうか。ドラグニティ魔法学園に行ったのなら学園長とは会ったか?」


「会ったも何も、凄く仲良しになりました。あの人、用務員の格好をして学園を歩き回っているんですね。あとあと、ものすごく変態でした」


「キララ、あのエロ爺に何かされたのか? 大丈夫だったか?」


 フロックさんは形相を変え、私の肩を持ちながら聞いてくる。ちょ、心配しすぎ……。でも、なんか……ちょっと、嬉しいかも……。


「私は何もされませんでした。さすがに子供には手を出しませんよ」


「ほっ、よかった」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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