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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
受験まであと半年 ~仕事ではなく勉強に本腰入れる編~

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相棒とペット

「おーい、キララちゃん。おはよーう」


 メリーさんは私の方に手を振り、挨拶をしてくる。

 服装は私と似たような感じだった。長袖の黒いニットにジーンズのオーバーオール。髪型はいつも通りふわふわの金髪ロング。私よりも断然大人っぽく、色気むんむんだ。


「キララさん、早く行こう! もう、待ちきれないわ!」


 クレアさんは村娘が着そうな、質素な花柄のドレスを着ていた。派手過ぎず、丁度良い。髪型はポニーテールで顔がすっきりと見えており、可愛らしさが上がっている。


「うう……。よかった、キララちゃんがいてくれて……」


 クレアさんの隣で泣きそうになっていたのはセチアさんだった。まな板とは言わないが、誰もが認める貧乳で私の仲間。

 遠目から見れば男性と見間違えなくもない。それくらい顔立ちが整っているので、ボーイッシュ好きな人はとことん好きだろう。

 服装は男性物の白いシャツに紺色の長ズボン。腰にベルトを着け、木剣を掛けている。


「えっと、セチアさん。いったいどういう意味ですか?」


「べ、別に何でもないよ」


 セチアさんの視線が私の胸に当たったので、何となく察した。私も両隣にいるおっぱい怪人を目にすればセチアさんを見て心を宥めるので怒りはしない。


「じゃあ、皆さん。荷台は多くの商品が積んであるので、もう一方のバートン車の方に乗ってください」


「はーい」


 メリーさんとクレアさん、セチアさんは手を挙げながら軽く返事をした。


 私はレクーにバートン車を引かせる。ベスパ達に商品を積んだ荷台を引っ張ってもらう予定だ。

 人を運ぶ方が安全を確保にする必要があるので私が御者となる必要があった。でも商品はたとえ事故が起こっても命が失われるわけではないので、無人でも問題ない。まあ、事故が起こらないように慎重に運んでもらうから心配無用だ。


 三名はバートン車に乗り込み、私はレクーを厩舎から出してバートン車と縄でつなぐ。その後、前座席に座った。


「じゃあ、レクー。出発するよ」


「わかりました」


 私はレクーの口もとに繋がっている手綱を握り、撓らせる。

 するとレクーは歩きだし、街を目指して村を出た。


 フルーファは荷台の後ろにつかせる。品が落ちたり、敵が来たりしないか見張らせておく。

 地面の整備はビー達が行っているため、バートン車の振動は少なく、快適な走りが実現できていた。


 四時間ほどかけて移動し、午前九時頃に街に到着。


 東門の門番をしているおじさんと、女騎士のトーチさんが私の前に出る。


「キララちゃん、おはよう。今日は大所帯だね」


 トーチさんはいつも通り身だしなみがピシッと決まっており、鎧や武器がピカピカだ。遠目からじゃ女性とは思えないほどイケメンに磨きがかかっている。


「村に住んでいる方が街に来たいと言ったので連れてきました。あと、後ろの荷台には商品が積まれています」


「わかった。じゃあ、何も無いと思うが調べさせてもらうよ」


 トーチさんは荷台の中を調べ、異常が無いか紙に記載した後、バートン車の扉を開け、中を覗く。


「うん、異常はない」


 トーチさんは羽ペンを使って書類を書き終わり、兵士のおじさんに渡す。


「じゃあ、嬢ちゃん。通ってもらって構わない。今日も頑張ってな」


「はい、ありがとうございます」


 私は東門を通り、まだ生誕祭が行われている街に入った。祭りも終盤と言う時期なのに、人で未だ賑わっており、ライトによる経済効果が半端ではなさそうだ。ライトは無償で手伝ったと思うが、格安で土地が買えた件もあるし、帳消しかな。


「じゃあ、皆さん。闘技場付近で下ろします。私も仕事がひと段落したら合流しますから、好きなように遊んでいてください」


「わかったわ!」


 クレアさんは今すぐ飛び出したそうにバートン車の窓から顔をのぞかせ、街の祭りの雰囲気を肌で感じていた。車の窓から顔を覗かせる犬のようにおてんばが過ぎるが、やりたくなるのもわかる。


「もう、クレアさん。走っている間に顔を出したら危ないですよ」


 セチアさんはクレアさんをバートン車の中に戻し、しっかりと座らせた。やはり、面倒見の良い方だ。


「ああー、なんか懐かしい……。五カ月前に来たけど、もう何年も来ていないような気分……。レイニーに会えるかな……。私から会いに行っちゃおうかな……。そのまま食べちゃおうかな……」


 メリーさんの大人っぽい低い声が背後から響き、背筋がぞくりとする。少々メンヘラ属性でもついているのかと思うほど、恐怖心が逆なでされた。


 ――レイニー、メリーさんは多分やばい人種だ。浮気しちゃ駄目だよ……。あ、でも、レイニーはマザーが大好きだからなー。でもでも、メリーさんはマザーには勝てないと思っているっぽいし。ドロドロの展開はそそられるんだよな~。


「キララ様、顔が大変気持ち悪いです」


 ベスパからの忠告を受け、私は頬を叩き、顔を引き締める。


 レクーを闘技場に移動させると、未だに長蛇の列ができるほど人気な喫茶店とお菓子屋さんの共同出店があった。でも喫茶店の店長であるカロネさんとお菓子屋さんの店長であるショウさんはいないと思われる。どちらも本店にいるのかな。


 私はレクーを止め、バートン車の扉を外側から開く。階段を設置して降りやすくした。


「やっと着いたのねっ!」


 クレアさんは階段を使わず、ドレスの裾を握りしめてスカートが捲れないように配慮した後、大ジャンプで飛び出し、地面を踏みしめる。そのまま拳を天に突き上げた。元気がありすぎるお嬢様だ。


「うぅ……。人だらけ。私、人込みは苦手なんだよな」


 セチアさんは階段を使い、地に足をしっかりと付けて歩く。


「ふぐぐー、ずっと座っていると肩にくるわねー」


 メリーさんは両腕を上げるとニットが苦しそうにミシミシと悲鳴を上げる。さすがに割けないが、胸の大きさは尋常ではない。

 

 私はメリーさんから少し離れ、警戒してた。だが……。


「うわっ!」


 メリーさんは階段で躓き、足を踏み外した。そのまま私のもとに大ジャンプ。私の顔は大きな脂肪に沈み込み、窒息しかけた。

 私の体はメリーさんを受け止め切れずに背後に倒れそうだったが起点を利かせたフルーファが背中で支えてくる。


「も、もう。メリーさん。もっと気を付けてください」


「えへへ……。しっけいしっけい」


 メリーさんは頭を掻き、苦笑いをしながら謝ってくる。


「じゃあ、皆さん。他の人に迷惑をかけず、大人の自覚をもって安全に遊んでください」


「私はまだ大人じゃないんだけど……」


 セチアさんは両手を合わせながらぼそりと呟く。


「私も私もー。まだギリギリ一四歳だよー」


 メリーさんは手を上げてはっきりと言う。

 あなたは見た目からして大人です。特に大きな胸がね! と大きな声で言いたくなったが喉元で止めた。


「大人と子供の違いは年齢だけじゃありません。精神面でも区別できます。大人なら、どういう対応をとるかと言う点を考えて行動してください。年齢が子供だからと言って許してもらえるほど世間は甘くはありませんよ」


「は、はーい」


 セチアさんとメリーさんは私に現実を突きつけられ、少々縮こまっていた。


「大丈夫よ。何たって、大人の私がついているんだからね!」


 クレアさんは胸をドンッと叩き、大きなおっぱいを弾ませながら背筋を正す。


「…………」


 私とセチアさん、メリーさんは一言も発さず、クレアさんの子供っぽい行動の数々を頭の中に思い浮かべていた。


「な、なによ……」


「いえ、何も……」


 私達はクレアさんの自信満々な発言が心配でならないと言うのにクレアさん自身は危機感などまったく覚えていないんだろうなと話す前から項垂れた。


 私は三名と闘技場の前で離れた。バートン車は転移魔法陣の中に入れておき、手持ちを軽くする。

 バートン車を引いていたレクーを荷台に縄を使って結び直した。


「フルーファにもウエストポーチを付けるのはありだね」


「まあ、これくらいなら……」


 私はフルーファにも、レクーと似たウエストポーチを付けさせた。

 フルーファは小回りが利き、どこにでも運んでくれるのでウェストポーチを付けるだけで便利な荷物持ちになってくれた。

 私が道具を持っていると普通にかさばるし、必要最低限の道具だけを持ち歩きたいので必要の無い道具はフルーファに持たせることにする。


「はぁー、人間の街の中に入っているなんて……。少し前まで全然想像してなかったな。というか、人の視線がこえー」


 フルーファは辺りを見渡し、人々の視線を感じていた。さすがに見られまくったら気づくよな。


「まあ、私の従魔に思われているから、誰も襲ってこないよ」


 私はフルーファの頭を撫で、周りからの視線を浴びる。犬を愛でるのはわかるが、魔物を愛でているのは流石に引かれるようだ。


「フルーファはレクーの近くにいてくれる。その方が歩きやすいと思う」


「わかった」


 フルーファはレクーの隣に移動した。


「むむ……、フルーファ君。またキララさんに撫でられていたようだけど、ずるくない?」


「俺は別に撫でられたくて撫でられているわけじゃない。あの主が勝手に撫でてくるだけだ。妬いてるんじゃねえよ」


「別に妬いてないけど……」


「妬いてるだろ」


 レクーとフルーファは友達になっていた。仲がけっこう良く、波長が合うようだ。

 私の相棒とペットが仲良くなってくれて安心感が増した。種族は違えど、意思疎通が出来れば友達になれる。世界の理を覆しているようだ。


 私はレクーの手綱を握りながら荷台の前座席に座る。


「ベスパ、たぶんウロトさんのお店が一番空いているよね?」


「はい。現在は仕込み中ですから、人はいません」


「よし、レクー。ウロトさんのお店に行くよ」


「わかりました」


 私は料理人のウロトさんのお店に向かう。ただ、大通りですら大渋滞。多くのバートン車で道が塞がれ、進みが悪かった。

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