望んでいた増援
「『ヒール!!』」
緑色の光が、大量のアンデッドを包み込む…。
アンデッドは足に踏ん張りがきかなくなったのか、地面に突っ伏してく。
汚い体液が空中を舞い、蒸気となって消えてしまった。
「何とか間に合ったみたいですね!しかし…これほどとは…」
「やばいっすね…リーズさん。この瘴気量じゃ聖職者が来るまで中に入れませんよ」
「とりあえず、皆さん!全員の使える風魔法で瘴気の進行を止めます!アンデッドが突っ込んできますが、私の回復魔法で弱体化させますので頭部を切り落としてください!再生までの時間を稼げるはずです!」
「了解です!」
次々と冒険者さんたちが到着し、瘴気進行の対処をしてくれている。
「大丈夫ですか、キララちゃん!こんなに消耗するまで魔法を使うなんて…しかもあんな瘴気の前で…自殺行為ですよ!!あなたが死んでしまったら、私はジークに顔向けできません!」
――大の大人が…涙を流して…。私は、また…人を泣かせてしまった…プロ失格だな…。
私はリーズさんに『ヒール』を掛けてもらい、少々魔力が回復した。
そのお陰か、次第に唇が動き、何とか喋れるまで回復することが出来た。
「た…助かりました。リーズさん、それに聖職者さんも庇ってくれてありがとうございました、応援凄く力が沸いてきましたよ…」
「そうですか…、それなら良かったですよ…それにこんな事態にさせてしまい本当にすみません。僕の力が及ばないばかりに…こんな被害が大きくなってしまうなんて…」
「あんたの所為ではないよ…私の判断も甘かった」
足を引きずるも、そこには聖職者さんと一緒に助けた、冒険者のお姉さんが立っていた。
「私がもっと早く死骸の処理を行っていれば…こうならずに済んだのさ」
「いえ!僕が瘴気の発生源を初めに処理しようと言ったのが悪いんです!」
「いや!だから私が!」
聖職者さんと冒険者のお姉さんが取っ組み合いになってしまう。
「そこの2人!今は、そんなことを言っている場合じゃないはずです!動けるなら仕事をしなさい!」
「は、はい!」×2
リーズさんが檄を飛ばすと2人は縮こまり、颯爽と仕事に取り掛かった。
「キララちゃんがあの瘴気を食い止めていてくれたのかい?それにこの手紙も…」
リーズさんの手には、私の血で書いた血文字が…。
――大分滲んで凄く怖い文章に成っちゃったな…。
「は…はい、あの瘴気を消すことは、出来ないと知っていたので爆風で何とか抑え込みました。この辺りで強風が余り吹かないことに助けられましたが…」
「そうか…だからあれほどの瘴気が漏れずに、しかしその反面、相当濃い瘴気があそこにたまっているのか。慎重に行かないと危険だな…。とりあえず、キララちゃんの回復を優先しよう」
私の額に手を置き呪文を唱える。
緑色の光が私の目の前に広がり…森の空気を吸ってるような感覚…とてもスッキリする…。
「どうだい?立てそうかな」
「はい!ありがとうございます!大分元気になりました!」
「え…ちょっと回復させただけなんだけどな…」
「え?そうなんですか、私はもう動けるようになったので皆さんのお手伝いをさせていただきますね!」
「あ!ちょっと、キララちゃん!ああ…行ってしまった…。ほとんど魔力を消費した後、少し回復魔法を使っただけであれほど回復するなんて…」
――よーし!体も動くようになったし、倒れてた人たちにパンを配りに行こう。
レクーのサイドバックを置いた場所まで走り、パンと水の入った革製の水筒を手に取る。
さすがに全部を持ってはいけないので、数回に分けて配ることにした。
「キララさん!私も手伝います!」
そう声を掛けてきたのは、先ほどまでぐったりとしていたデイジーちゃんだった。
私が言えた事ではないが、危険な事だ…デイジーちゃんに手伝ってもらってもいいのだろうか…。
「デイジーちゃん、体調の方は大丈夫なの?それに…凄く危険な事なんだよ、動けるならもっと遠くに…行ったほうが安全だと思うんだけど」
「はい!少し休んだらだいぶ良くなりました!それに、これだけ多くの人が頑張っているんです。私だって負けじと頑張ります!」
――この子…あんな所に居たのに、確かにベスパが瘴気を吸い取ったとはいえ、そんなすぐに動けるの…。他の人はまだぐったりしてるのに、あの聖職者さんは多分瘴気に抵抗を持っていると思うけど、デイジーちゃんが持っているとは考えづらいし…。でも、元気だって言うのなら、大丈夫かな。それにデイジーちゃんの気持ちは相当硬いみたいだし。
「それじゃあ、一緒に配ろう!」
私とデイジーちゃんは手分けして、避難した村人へ『ペチャンコ』になってしまったパンを配って回った。
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