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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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神頼み

「ビーの視界を共有しているわけですか……」


 バレルさんはビー達の姿を見てすぐに理解した。


「そうなります。長時間行うと酔いそうになりますけど、数分なら問題なく使用できます」


「八包囲の情報を頭で処理するなんて出来るんですか?」


「えっと私の思考の回転速度はビー達も含めるみたいなんです。ビー一匹の頭が悪くても、数百匹集めたらそれなりに賢くなります。一万匹集めたら思考速度が一万倍です。私はスキルで自分がもう一人いるような状況ですし、ビーの個体数もあり得ないほどいますから、八包囲の情報を頭で処理するのは可能です」


 私の脳内は簡単に言えばコンピューターの連結と同じだ。一台のコンピューターで八個の映像の情報処理を一気に行おうとすると情報過多になり処理が遅くなる。でもコンピューターの数を一〇台、一〇〇台、八〇〇台と増やしていくとその分早くなる。

 なので、私の思考速度はすでにスーパーコンピューター並っ! と言いたいが、実際のところよくわからない。なんせ、私の頭がどうなっているかなんて自分ではわからないのだ。私は頭の中で八個の映像をいっぺんに見て全てを理解できると言うだけ。

 まあ、一〇人の言葉を理解して適切な指示を出すのと同じくらいすごいことのような気はするけどね。


「じゃあ、バレルさん。私を褒めてください」


「褒める……?」


「私は、こんな人間じゃないですか。だから、褒められた経験が著しく少ないんですよー。頭を撫でながら自分よりもすごい人に褒められてみたいなー、なんて思っているわけです」


 私はこの世界に来て感謝されたことは幾度とあれど、褒められた経験は本当に少ない。お父さんやお母さんは褒めてくれるが、私なら出来て当たり前のような雰囲気が醸し出されている。


 巨大なブラックベアーをギリギリまで引き付けて死にそうになった後、フロックさんに助けられて「よく頑張った」と褒められた時、凄く嬉しかった……。あの経験はなかなかできるものじゃない。


 ――バレルさんに褒められたら普通に嬉しい。なんせ、私より何倍も凄い方に褒められるなんて滅多にないのだから。


「キララさん、よく頑張りましたね。すごいです」


 バレルさんは私の頭に手を置き、優しく撫でながら褒めてくれた。


「えへへ……、ありがとうございます」


 私は感謝を口にした。久しぶりに普通に褒められてご満悦だ。


「お姉ちゃんがあんな嬉しそうな顔しているの珍しい……」


 シャインの犬がボケてしまったような表情が視界に映り、私はふやけ切った顔を戻す。


「んんっ、まあ、私も子供だからね。褒められたら素直に嬉しいんだよ」


「私も子供だからって……。えっと、キララちゃん、そう言うことって子供は普通言わないんじゃない……」


 セチアさんは私の失言を掘り返し、苦笑いを浮かべた。


「えっと、バレルさん。クレアさんはどこにいるんですか?」


 私はセチアさんの話しを気にせずに、バレルさんに話を振った。


「クレア様はまだ仕事をしたいと言って残業をしていました。牧場の仕事が楽しくて仕方が無いようです」


「へえー。ならよかったです。でも、根を詰めすぎない程度にしておいてくださいね」


「はい、言っておきます」


 夕暮れになり視界が悪くなって来た頃、私達は川辺で解散した。


 バレルさんとガンマ君、セチアさんは教会の方向に歩いて行き、私とシャインは実家に帰る。


「はー、今日も疲れたねー。シャインはガンマ君と一緒にいなくてよかったの?」


「お姉ちゃんがいるから心配ないねって言われて帰っちゃったよ……。もう、お姉ちゃんのせいなんだからね」


 シャインはガンマ君と帰れず、頬を膨らませながら不満を抱えていた。


「はは……、ごめん。でも、たまには姉妹で帰るのも悪くないでしょ」


「確かに……、最近、お姉ちゃんと一緒に帰ってなかったね」


 シャインは首元を苦しそうに叩く。どうやら、息がしづらいらしい。


「シャイン、胸を押さえつけている布はとってもいいよ。誰も見てないし」


「ほんと? はあー、やっと外せる」


 シャインは上着を脱ぎ、胸をぎゅうぎゅうに締め付けている布を剥がす。すると、たわわに実り始めている大きな果実が現れた。

 私は八歳児に外でノーブラ姿を露出させるのは流石に不味いと思い、両手でシャインの胸を押さえる。だが、私の手ではすでに納まらない。


「ひゃっん、も、もう。お姉ちゃん。くすぐったいよ」


「…………」


 ――この乳は……、全くもってけしからん。すべて奪い取ってやりたい……。って、いかんいかん。今はそんなこと言っている場合じゃない。


 私はシャインが外した布を胸に軽く巻き、当て布として使う。その上から、服を着てもらった。すると服が胸もとで伸びてなかなか卑猥な姿になる。


「もう、子供用の服って胸もとが小さすぎるよー」


「…………んんっ、家に帰るまでは我慢して」


「はーい」


 私とシャインは横並びになって家に帰る。シャインの身長が一年前よりも八センチメートルほど伸び、私と同じくらいの一四〇センチメートルくらいになっていた。

 私は一四〇メートルからあまり伸びていないのだが、彼女の成長速度は私よりも断然早い。


 ――お父さんの身長が一八八センチメートル。お母さんの身長が一六八センチメートルだし、私も大きくなるはずなんだけどな……。成長期が終わる前に伸びてくれればいいんだけど、胸のことを考えると難しいか。


 身長が大きくなるか、胸が大きくなるか。私としては……、出来れば胸がいい。いや、最悪、胸が膨らめばいいから身長は普通でいい。


「なむなむ……、なむなむ……」


 私は両手を合わせ、神様に拝む。こんな行為をしても何の意味も無いが、何もしないよりは幾分かましになるはずだ。


「お姉ちゃん、何しているの?」


「ちょっとしたお願い事だよ……」


「お姉ちゃんでも神頼みするの?」


「私だけじゃどうすることも出来ないことは神に祈るしかないでしょ。自分で解決できることは神頼みしないよ」


「じゃあ、お姉ちゃんは自分じゃ解決できないことをおねだりしている訳だね」


「そう言うこと」


「えー、お姉ちゃんが神様にお願いすることって何なのー?」


「気にしなくていいよ」


「気になるよー。私もお姉ちゃんが欲しがっている物が欲しいもん」


「シャインはすでに持っているでしょうが……」


「ん?」


 シャインはとぼけた表情をして私の発言を理解していなかった。


「はあ……。まあいいや。私は疲れたし、フルーファに連れて行ってもらおう」


 私は隣を歩いていたフルーファの背中に抱き着き、干された布団のようにだらける。


「ああ、お姉ちゃんだけズルいっ! 私もウォーウルフの背中に乗ってみたいよー!」


「はいはい。じゃあ、交代交代ね」


「うんっ!」


 私とシャインは家に帰り、パンと干し肉、牛乳スープ、エッグル焼きなどの夕食を得て、体を塗れた布で綺麗に拭いてから眠る。


 五月の間、私達は新たな牧場の建設と仕事を全力で行った。

 バレルさんとクレアさんは村にすぐに馴染み、子供達からも慕われている。きっと二名の心が綺麗だから、皆と一緒に生活できるのだろう。


 五月の終わりごろ。


「キララさん、私、街に行きたい!」


 仕事終わり牧場の入口付近で、私のもとにクレアさんが怒鳴り込んできた。服装は私達が使っている作業服で、髪型は後頭部で纏めたポニーテール。顔の可愛さから、牧場洋風ガールそのものだ。


「え、えっと……。落ち着いてください。今度、五月二五日に街に行くのでその時一緒に行きましょう」


「ほんとっ! 絶対だからねっ!」


 クレアさんは私を圧縮するようにグイグイと近づいて来て、お願いしてくる。


「は、はい。絶対です……」


「よかったー。生誕祭が終わる前に行かなきゃってずっと思っていたのだけれど、仕事が思った以上に面白くて、五月も後半になっちゃったのよ」


「仕事に熱心になってくれて私も嬉しい限りです。じゃあ、五月二五日に街に行きます。私は仕事なのでクレアさんは誰か付き添いを誘って一緒に行動してください。私としてはシャインかライト、ガンマ君、セチアさん当たりがおススメです」


「バレルじゃ駄目なの?」


「バレルさんはその……、色々あってですね、村からあまり出ない方がいいんですよ」


「そうなの……。んー、なら、誰がいいかしらね……」


 クレアさんは真剣に悩んでいた。遊ぶ相手が吟味できるなんて羨ましいこった。


「おーい、クレアさーん、キララちゃーん」


 牧場の奥から、大きな大きな胸をたゆませながら走ってくる女性が迫って来た。


「げげ……」


「うわーい、キララちゃん、むぎゅーっ」


 豊満な胸に顔が埋まる。汗をかいているはずなのに、ものすごくいい香りがして心が休まった。腕や体が鍛錬の影響でパンパンだったのに、体が淡い緑色の光に包まれ、私は回復する。


「もがが……、め、メリーさん。スキルで回復させないでくださいよ……。あと、いきなり抱き着いたら駄目だって何度言ったらわかるんですか」


「えー、だってだって。キララちゃんがあまりにも可愛いから、ついー」


 メリーさんはクレアさんと同じ服を着ているのに、胸が大きすぎてぱっつんぱっつんだ。あまりの色気に村のお爺さんたちの目の保養となっている。

 手を出したら私が八つ裂きの刑に処す、と男達を脅しているわけじゃないが、鋭い視線を浴びせていた。

 周りの献身的な行動のおかげで、街でひどい扱いを受けていたメリーさんはこの村で平穏に暮らしている。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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