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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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再戦

 私はバレルさんと三名の鍛錬を見つめ、戦いの核心を突こうと意識を集中させる。

 死地を潜り抜けて来た経験はあるけれど、人同士の戦いや意識がはっきりとした生き物との戦闘は経験していない。


「相手が馬鹿と賢いじゃぜんぜん違うだろうし、これから先、どんな相手が出てくるかもわからない。アイクが敵なんて考えたくないけど、最悪そうなるかもしれない。スキルのうんぬんに拘わらず、戦いの眼を養うのは悪くない鍛錬のはず……」


 私はビー達にバレルさん達の戦い方を八包囲から撮影させた。もう、全方位から全ての動きを撮り、些細な動きも見逃さない算段だ。

 すると、面白いことに上半身と下半身がバラバラに動いているように見える。脚に意識を向けず、上半身ばかりに気を使っていたのだ。もう、足の動きは全て無意識に任せているくらい自然に動いている。ダンスを踊るような動きとは正しくこれだ。


 バレルさんは足を動かして体の位置を変えないといけない。そりゃそうだ。人間だもの。だが、その動きがあまりにも自然で、足が動く前からそこにあったかのような錯覚になる。


「……ああ、なるほど。足を置けるように相手を誘導しているんだ。えっと、それって神業なのでは? 常人には不可能な気がする」


 バレルさんはシャインやガンマ君、セチアさんの位置を完全に把握しているわけじゃない。でも、居てほしい位置に居させているから、攻撃が躱せるし、追撃が出来る。すでに攻撃が来るとわかっているから三対一でも優位に立っているのだ。

 三人同時に攻めて来いと言わせておいて行動を制限させている。だから、誰もバレルさんに攻撃が届かない。


「ガンマ君、ちょっと止まって」


「へっ? っ!」


 ガンマ君は私の命令に一瞬で応え、その場で停止した。バレルさんの戦い方が私の推測で正しければ、これで壊れるはず。


「ふっ!」


 バレルさんはガンマ君に木剣を振り、強く弾き飛ばした。


「くっ!」


 ガンマ君は川に飛び込み、戦線を離脱。きっとバレルさんにとってガンマ君がいてほしくない位置に立っていたからだろう。

 

 バレルさんはガンマ君を無理やり離脱させ、仕切り直させるつもりだ。

バレルさんの視線が私に向いたような気がする。

 私はにっこりと笑って手を振った。バレルさんは苦笑いを浮かべ、シャインの渾身の一撃を紙一重で躱す。攻撃が来ると言うことがわかっていたんだな。

 バレルさんにとって子供の攻撃は単調で読みやすいのか、経験が全く無いシャインが掌の上で転がされるのも無理はない。


「ふぅ……。『ボルト』」


 川から上がったガンマ君は両手で掬った川の水に雷の魔力を纏わせ、ふりまいた。水滴が体に着いた瞬間、感電して体が上手く動かせなくなるほどの威力があるはずだ。


「くっ!」


 バレルさんは水滴に当たるわけにはいかず、後方に避難。

 シャインは木剣の風圧で壁を張り、水滴を防ぐ。いや、魔法じゃなくて物理的に防ぐのね……。


 セチアさんは砂利を握り『武器生成』のスキルによって砂すら武器に変え、操りながら身を守る。水を砂に纏わせ、バレルさんに向けて放った。

 だが、速度は石を思いっきり投げた程度なのでバレルさんの木剣に全て弾き落とされる。


「はぁ、はぁ、はぁ……。魔法を使っても攻撃が当たらない……」


 ガンマ君はずぶ濡れの体を局所的に振り、水を落とす。


「攻撃の速度が遅いのか、連携がうまく行っていないのか、はたまたその両方か……」


 シャインは頭を使う行為が苦手だが、戦闘に関しては違うようだ。


「砂をスキルで動かすと滅茶苦茶疲れるな……。一粒一粒に魔力を奪われてる……。大きな物の方が、魔力が減らなくていいかも……」


 セチアさんは自身のスキルの特性を少し理解していた。


 強者との戦いの中で、三名は経験を積む。


「皆、いい顔をしているじゃないか。その意気だ。集中力を切らさないよう、最後まで全力を出し切りなさい」


「はいっ!」


 シャインとガンマ君、セチアさんは最後まで懸命に戦い、息を切らしながら倒れるまで自身を追い込んだ。


「ベスパ、三名を安全な場所に非難させておいて」


「了解です!」


 私はネアちゃんが作ってくれた仕込み糸が入っている黒いグローブを付け、体を動かす。


「おや、ここで登場するんですか?」


 バレルさんは額に大粒の汗を掻きながら、軽く笑っていた。先ほどの鍛錬が相当楽しかったようだ。


「いやー、皆が戦っているのを見たら、私も動きたくなってしまって。夕食前の軽い運動でもしようかなーって思いまして」


「いやはや、昨日の夕食は驚くほど美味しかったです。今日も食べられると思うと、微笑みがこぼれますね。こんな私がここまで嬉しくなってもいいのでしょうか……」


「いいんじゃないですか。もう、昔のバレルさんは死んでるんですから、今は生まれ変わった新しいバレルさんなんです。罰は昔に受けたんですよ」


 私は両手で拳を作り、足踏みをする。別にキックボクシングや普通のボクシング、ムエタイ、空手を行っていたわけではない。単純に近接戦闘をしますよと言う意思表示をしている。乗ってくるかわからないけど……。


「再戦と言うことですね。いいでしょう、受けて立ちます」


 以前、王都で私とバレルさんは殺し合った。まあ、バレルさんの方が殺しにかかってきただけなんだよな……。でも、途中でドラグニティ学園長が代わりに戦ってくれたので、戦いに決着がついていない。

 むろん、あんな化け物同士の戦いを行う気は無い。なんせ、バレルさんが本気を出せば、手刀の一振りで街が崩壊するかもしれないのだ。まあ、あの時は無理やり暴走させられていたから実力以上の力が出ていたかもしれないけど、出来ることに変わりはない。


「ふぅ……。行きますっ!」


 私は右手を前に出し、人差し指を上に向ける。


「ぬっ! いつの間に!」

 

 バレルさんの足首に地面から這い出ていたアラーネアが糸を巻き付けていた。バレルさんは足を無意識に動かしている。だから無駄に足下を見ない。つまり、戦闘前から仕込んでおけば必中する。


 糸を持っているのはもちろんビーだ。ビーが私の命令を聞き、バレルさんを空中に浮かせる。


「『ファイア』」


 バレルさんは一瞬の隙を突かれ、八メートル上空まで一瞬で持ち上げられたが、素早く対応し『ファイア』で焼き切った。ただの木剣では切れないと彼はすでに知っているのだ。


 私は八包囲からビーをバレルさんに飛ばす。だが、七匹のビーが木剣で叩き落とされた。一匹はバレルさんの頭の後ろに当たり、死角だとわかる。


 ――なるほど、そのあたりが死角なのか。


 バレルさんは地面に降り立ち、足を絡めとられる前に高速移動。あっという間に距離を詰められ、私の首元に木剣が当たる。だが……、


「…………なるほど、相打ちですか」


 光り輝いているベスパはバレルさんの死角に止まっており、今すぐにでも爆ぜそうになっている。私の指先には『ファイア』と『転移魔法陣』の二枚が展開しており、無詠唱で爆発が発動可能だ。


「いえ、相打ちじゃありませんよ」


「ん……、なっ……!」


 バレルさんは木剣が首に当たっていないことに気づいたのか、自然と笑った。


 私は木剣と首の間に糸を仕込んでいた。方法として、手袋についている輪に指を引っ掻けてあらかじめ伸ばしておき、首元に固定しておいたのだ。


 バレルさんが木剣を動かしても私の首に攻撃は届かず、私の指先に準備万端の魔法陣が淡く輝いている。ベスパが爆発してもバレルさんの体が盾となり、私は死にはしないだろう。


「まさか、私が一本取られるとは……」


「いやいや、バレルさんは本気じゃないですし、私は本気でした。その違いは大きいですよ」


「いえ、私も本気でしたよ。確かにスキルは使用しませんでしたが、それでも私は本気で攻撃しました。キララさんの特性は手数の多さ。だからこそ、しょっぱじめから切りかかりましたが、読まれていたとは……」


「バレルさんは手数が多い敵を嫌いそうですし、近距離戦闘を臭わせて手数で攻めてからの反撃を待つ。なかなかうまく行きましたね」


「むむむ……、自身を囮にして勝ちに来る一一歳児なんて見た覚えがありませんよ」


「バレルさんなら、私を殺さないってわかっていましたし、大胆に行動できたんです。その点も大きいですね」


 私はバレルさんに不意打ち紛いな攻撃の末、無理やり一本をもぎ取った。ただただ、試したかっただけなのだが、近くにいた三名が目を輝かせている。


「はわわっー! やっぱり、お姉ちゃんはすごいっ!」


 シャインの尊敬の眼差しが、今年一番な気がする……。ちょっと評価を上げ過ぎな気がするよ。


「キララさん、魔法だけじゃなくて近距離戦闘も出来るなんて……。僕達は三人がかりでも攻撃が当たらなかったのに……」


 ガンマ君は少々勘違いしている。ベスパが見えていないから仕方ないけど、私は近距離戦闘なんて本当は大してできないんだよ。


「キララちゃん、頭もよくて可愛くて優しくて強いとか、どうなってるの……。ちょっと、凄すぎて訳がわからないよ……」


 セチアさんは今の戦いで一体何が起こっていたのか理解していなかった。


「キララさん、私の戦いを見て研究していましたよね?」


 バレルさんは木剣を引き、攻撃する姿勢を解いてから質問してきた。


「もちろんですよ。初っ端から戦っていたら、確実に全て防がれていました」


「私を観察して何がわかったんですか?」


「えっとですね、足が無意識に動いているんだなーって感じたくらいです。あと、三人が置かされてるなと言うのも何となく」


「なんと……、そこまで気づいたんですか。すごい観察眼ですね」


「まあ、ちょっとした特技なので。八包囲からしっかりと見渡しましたよ」


 私は別個体のビー達に指を差す。八匹のビーが空中で停滞しながら、バレルさんの方を向いている。バレルさんだけを見張る防犯カメラのようだ。

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