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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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村に到着

「はははっ! 体が軽い、動きやすい。全然疲れないっ! 楽しいっ! キララ女王様最高!」


 無口な親玉も無邪気に騒ぐほど、ここら辺の魔力は潤っているようだ。そのおかげか、ウォーウルフ達は皆、体調がよく、私に近づくだけで尻尾をブンブンと振る。とても可愛らしいが一度人を殺めている魔物達だ。しっかりと躾なければならない。


「お座りっ!」


「はいっ!」


 ウォーウルフ達は皆、一斉にお座りした。休み時間に私がお座りの体勢を教えたら、あっという間に出来てしまった。

 やはり意思疎通が出来れば、躾を行うのはとても簡単なようだ。すでに八歳児と同じくらいの知能があると考えられる。そうなると、小学二年生くらいか。でも、親玉などは大人と同じくらいしっかりとした頭脳を持っているので、ウォーウルフという種族が相当賢い。


「伏せっ!」


「はいっ!」


 ウォーウルフ達は地面に突っ伏し、匍匐前進をする前のようにお腹を地面に付けた。


「バンっ!」


 私は矢を放つ真似をした。


「うぉああっ!」


 ウォーウルフ達は迫真の演技で矢に撃たれる。二〇〇頭が一気に倒れると迫力満点だ。


「キララ様、これはいったい何の躾ですか?」


 ベスパは目を輝かせながら芸のことを聞いてくる。


「いや、ただの芸だよ。この子はこんなことも出来て賢いんですよって他の人にも教えられるでしょ」


「なるほど。確かに、魔物をここまで操れるなら、安全と考えても差し支えないですよね」


「そう言うこと。バンっ!」


 私はベスパに矢を放つ真似をする。


「うがぁあぁぁぁぁぁぁああああああああああああああっ!」


 ベスパは胸に手を当てながら空に飛んで行き、破裂した。迫真の演技……と言っていいのだろうか。八秒後ベスパは復活し、やり切ったぜと言うような雰囲気を出し、汗をぬぐう。


「ふぅー、どうですか。私の妙技」


「気持ち悪いからやめときな」


「うぅ、キララ様、容赦ない……」


 ウォーウルフ達の躾は上々。このまま行けば、牧場の番犬にするのも悪くない。

 問題はモークル達がおびえないかどうかだ。

 メークル達は恐怖に敏感なので難しいかもしれない。まあ、メークル達は増やす予定がないので、今の牧場でも十分やっていける。

 バートン達は力が強く賢いので私が説明すれば問題ないはず……。


 村までの道のりを走り、ざっと六時間。懐かしの故郷が見えた。


「あれがキララさんが住んでいる村?」


 クレアさんは私に聞いてきた。


「はい。あれが、私が住んでいる村です。名前はありません。別につけても良いんですけど、付けなくてもいいみたいで、ずっと名無しなんですよね」


「へぇ、相当田舎の村なのね」


「そうですね……。すごく田舎の村なんですよ」


 私達は村の中に入ろうとするも、ウォーウルフ達が結界に阻まれた。ライトが発動している魔法陣のせいで近寄れないようだ。


 魔法陣が発動したせいで警報が辺りに鳴り響く。


「や、やっちまった……。ウォーウルフ達、伏せっ!」


「は、はいっ!」


 ウォーウルフ達は大きな音に驚いていたが、私の命令に従い、全員が地面に伏す。すると、辺りが黒色の絨毯を引いたようになった。


 空からライトが飛んできて木剣を持ったシャインが微笑みながら猛スピードで地面の上を走ってくる。ライトは私が帰ってくるよりも先に村に到着していたようだ。


「姉さん……、これはどういう状況?」


「あれあれ、お姉ちゃんに警報が鳴ったの? んんんー、え、ウォーウルフだらけ……」


 ライトとシャインは私が両手を広げて止まれという手信号を送ると、怒りの表情から平穏に戻る。


「ごめん、ライト。魔法陣が魔物に反応するの忘れてた。この子達は悪いことはしないから、魔法陣を書き換えてくれる」


「ウォーウルフ達は姉さんの何になったの?」


「下僕」


「わかった。じゃあ、書き換えるよ」


 ライトは黒色のローブの内側に手を入れ、杖を取り出す。杖の先で円を描き、指先で文字を書き、地面に放った。すると緑色の光が辺りに広がり、ウォーウルフ達が村に近づいても問題ない状態になる。


「はい、書き換えたよ。これでウォーウルフ達は村に近づける。他の個体も近づけちゃうから、魔法陣の中に全部入れて」


「わかった。じゃあ、ウォーウルフ達は緑色に光る地面の中に入って」


「は、はい」


 ウォーウルフ達はライトの魔法陣の中に入る。その後、魔力の質から一個体の特徴を確認され、二〇〇頭だけが魔法陣内に入れるように書き換えられた。


「よし、これで大丈夫。それにしても大所帯だね……」


 ライトは地面に降り、シャインと共に歩いてくる。


「えっとえっと、あなたは誰ですかっ!」


 シャインは私の隣に座っていたクレアさんに話かける。


「初めまして、私はクレア・マドロフ。マドロフ商会の時期頭首になる、ルドラ・マドロフの妻よ」


「ええええええええええええっ! ルドラさんに結婚相手がいたのっ!」


 ライトとシャインはやはり驚いた。ルドラさんに妻がいないと思われすぎ……。


「ライト君はわかるけど、もう一人の方は誰かしら?」


「初めまして。ライトの双子の姉、シャイン・マンダリニアです。キララお姉ちゃんの妹です」


 シャインは満面の笑みを浮かべながら頭をペコリと下げ、自己紹介をした。


「シャインさんね。にしても……、美男美女……」


 クレアさんは私とライト、シャインを見回し、呟いた。クレアさんも十分美女だと思うのだが、そんな方が褒めてくれると凄く嬉しい。


「いえいえ、僕なんて姉さんに比べたら花と雑草ですよ」


「そうそう、私なんてお姉ちゃんに比べたら月と汚泥ですよ」


「二人共……、さすがに言い過ぎ。持ち上げても何も出ないからね」


 ライトとシャインは謙遜しているが、そんなことはなく十分美男美女だ。ま、それを超えるのが私の美貌なわけだけどね。


「えっと、もう一人いるから先に紹介しておくね」


 私は荷台の帆を開き、ずっとだんまりしていたバレルさんを外に出す。


「ふぅ……。はぁ……。いい空気ですね。もう、頭がすっきりしました」


 バレルさんは伸びをして深呼吸をする。


「ライト、シャイン、この方が……」


「姉さん、さすがに年上すぎるよ……」


「お、お姉ちゃんの結婚相手……」


「違うわっ! 何でそうなるの!」


 ライトとシャインは私と久しぶりに会ったからってたくさん弄ってきた。最近は姉を玩具にするようになってしまい、手を焼いている。


「初めまして、バレルと言います。クレア様とキララさんの護衛としてこの村に着任しました。これから、この村でお世話になります。よろしくお願いします」


 バレルさんは頭を下げた。


「…………ははっ!」


 シャインは何を思ったのか、木剣を振りかぶり、バレルさんの頭を狙って打ち込んだ。


 だが、バレルさんは何も見ることなく、急ごしらえの木剣の柄を握り、シャインの攻撃を受け流す。あまりにも軽々としており、シャインの攻撃が川に流された笹船のように見えた……。

 シャインの攻撃なら木剣など容易く折れるので力が完全に外に流された結果、シャインの体が宙に浮き、剣先が地面を向いている状態になっている。


「なかなかの剣速と力ですが、まだまだ粗削りですね」


 バレルさんはシャインの持っている木剣を弾き、剣先でシャインの胸ぐらの服を引っ掻け、持ち上げる。


「しゃ、シャインを軽くあしらった……」


 ライトの驚きが私の見た中で一番だった。シャインの実力をよく知っているのがライトなので、不意打ちに加え、木剣を弾かれてから、剣の位置が違えば首を取られている状況に微笑みがこぼれる。


「お、お姉ちゃん、この人、絶対やばい人だよ……。なんか、雰囲気が違うもん。フロックさん以上に剣が強い」


「おや? 君はフロック君を知っているのかい」


「剣を少しだけ教わりました」


「なるほど。でも、キララさん達は本当に規格外ですね……」


 バレルさんはシャインを地面に下ろす。


「未だに手がしびれている……。完全に受け流したんですが、受け流しても手に蓄積するなんて、とんでもない力ですよ」


 バレルさんは右手を震わせていた。筋肉が痙攣しているようだ。


「えっと初めましてライトと言います。あなたは何者ですか……」


「初めまして、シャインと言いますっ! 師匠と呼ばせてくださいっ!」


 シャインは目を輝かせながら、土下座して頼んだ。あまりにも行動が早い。さすが私の妹。


「はは……、愉快な子供達ですね……」


 村の前でてんやわんやするのも迷惑極まりないので、河川敷に移動する。ウォーウルフ達は水浴びをして気持ちよさそうだ。


「私が誰かと言えば、死人です。もう、この世に存在していないと思われている者と言う意味ですけどね。話すと長いので割愛しますが、この村で住むことになった元冒険者、元執事の老人だと思ってください」


「元冒険者、元執事……。あのあのっ! もう一回、もう一回だけ打ち合ってくれませんか!」


 シャインはバレルさんの強さを知り、自分の技に磨きをかけるため、更なる力を求めた。


「シャインさんは剣のスキルを持っているのですか?」


「バレルさん、あなたは私の師匠なんですから、敬語はいりません! あと、スキルは持っていません。私、まだ八歳なので!」


「は、八歳……」


 バレルさんは私の方を見て来た。驚くよねー。


「私もまだ一一歳ですし、三個下の弟と妹ですから八歳であっていますよ」


 私は八本の指を立ててバレルさんに教える。


「つまり、スキル無しであの怪力を生み出していたと……。やはり、とんでもないですね」


 バレルさんは木剣を持ちながら私達と距離を取る。歩いている時のバレルさんの表情がすでに楽しそうだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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