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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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仕事をさぼったから

「あれだけの人にもまれたんですから、汗くらい掻きますよ。気にしないでください」


「うぅ、キララちゃんに汗臭いって言われたニャーの気持ちがどれだけ辛いか……」


「まあまあ、お金の話を持って来ましたから機嫌を直してください」


「にゃっー! お金の話はもうこりごりなのにゃーっ!」


 トラスさんは何か後ろめたいことでもあるのか、耳を塞ぎながら背を壁に当てる。


「どうかしたんですか?」


「そ、それが……、四月の間、キララちゃんの弟のライト君が品を卸に来てくれていたのにゃ」


「はい、私が頼みましたからね。もしかして、ライトが何かやらかしましたか。バルディアギルドの倒産の危機を作っちゃったとか……」


「ち、違うのにゃ……。やることなすこと、全部お金が儲かって儲かって仕方がないのにゃ。資金が膨れ上がって行くたびに嬉しかったけど、逆に怖くなってきたのにゃ……。なんで金貨八枚から八〇〇枚まで増えるのにゃ……。わ、訳がわからないのにゃ……」


 トラスさんは怯えていた。

 数学魔人のライトの手に掛かれば、冒険者ギルドで商売を行い、大金を生み出すなど用意だろう。ただ、トラスさんにとってはライトがあまりにも規格外の人間で、理解できない状況に恐怖感を覚えるのも無理はない。ライトも良かれと思って行ったはずだ。


「トラスさん、気にしないでください。見極める点さえ間違えなければ、大損したりしません。トラスさんのお金の嗅覚は正しいはずなので、もう十分だと思えば今やめてもらっても構いませんよ」


「で、でも……。シグマさんによしよしされたいのにゃ……。なんなら、もっともっと貢げば、子供くらい産ませてくれるかもにゃー、なんて……。えへへ、えへへ……」


 トラスさんはバルディアギルドのギルドマスターのシグマさんのことが大好きなわけだが、シグマさんは既婚者だ。日本なら完全に法律違反だが、獣族の場合は一夫多妻が普通らしい。人族の場合は一夫多妻を推奨しているわけじゃないが、可能ではあるようだ。


 今のトラスさんの顔が、ホストに完全にハマっているキャバ嬢のような顔なので、少々危険信号だろう。救済しなければ。


「トラスさん、お金と愛は切っても切り離せない関係ですが、どちらにも踊らされてはいけません。自我をしっかりと持って考えましょう。シグマさんはお金を持っているトラスさんが好きな訳ではありません。なので、お金を貢ぐと言う考えはやめましょう」


「そ、そんなこと、わかってるのにゃ……。ニャーもそろそろ良い歳だし、良い男性がいないかにゃーって、探しているだけにゃ……」


 トラスさんはシグマさんのことが本気で気になっているのだろうか。そうなのだとしたら辛いのだろうなと私は思いながら、お金の話に戻す。


「ライトが行っていることを今すぐ止めたら、バルディアギルドが潰れたりしますか?」


「しないのにゃ」


「なら、止めてください。逆に止めて困る人はいますか?」


「止めるも何も、今、行っている露店がライト君の提案なのにゃ……。ただ余った在庫を安く外で売っているだけなのに、皆買って行くのにゃ……」


「なら、止める必要はありませんね。お金を稼ぐのは簡単じゃありません。でも、稼げてしまった。なら、あとは使い方しだいです。お金は一瞬で無くなります。なので、じっくりと考えて使ってくださいね」


「そ、そうするのにゃ……」


「…………話が長い!」


 クレアさんは切れてしまった。どうも、待たされていたのが不服だったのだろう。


「すみません。ちょっと長話をしてしまいました」


「えっと、誰なのにゃ?」


 トラスさんは立ち上がり、私達のもとに戻ってくる。


「初めましてクレア・マドロフと言います。王都の方から社会見学に来ました」


「王都の方なのにゃ……。しかもマドロフ……。もしかしてルドラの親戚かにゃ?」


「ルドラ様を知っておられるのね」


「ルドラ様?」


「ルドラ様は私の旦那様よ」


「うえっ!」


 トラスさんは尻尾と耳をとがらせ、声がひっくり返るくらい驚きの声を上げた。バラエティー番組なら一〇〇点の反応だ。


「じゃあ、クレアさんは貴族と言うことですかにゃ……」


 トラスさんは慣れない敬語を使い始める。方言は出てるけど。


「ええ。でも、気にしなくてもいいわ。別に私は敬語で喋られなくても怒らない人間よ」


「そうなのにゃ、じゃあ、普通に喋るのにゃ。にしても……、ルドラって少女趣味だったのかにゃ……」


「私は一六歳だから、子供じゃないわ」


「あ、そうなのにゃ。すみませんなのにゃ」


 トラスさんはペコペコと謝り、首元の鈴と動かす。トラスさんから見たらクレアさんはきっと子供に見えるんだろうな。


「えっと、キララちゃん。今日は何をしに来たのにゃ?」


 トラスさんは私に聞いてきた。


「それはですね……」


 私は内ポケットから依頼書を取り出す。加えて金貨五枚を手に取る。


「王都の近くの村で未達成の依頼がありまして、私が代わりに達成しておきました。冒険者さん達はもう亡くなっていると思われます」


 私はトラスさんに依頼書を渡す。


「ウォーウルフの討伐……。王都のウルフィリアギルド発行の依頼なのにゃ。確かに受け取ったのにゃ。でも、ウォーウルフの討伐依頼をキララちゃん一人で行ったのにゃ?」


「えっと……。そうですね……」


 私は視線を反らして言う。嘘だと気づかれてしまったのか、トラスさんは私に睨みを効かせた。


「ま、キララちゃんなら出来ちゃうかにゃー」


 トラスさんは私と色々経験しているので信じてくれた。私は内心ドキドキで、安心すると同時に吐息が出る。


「えっと、これが報酬金貨五〇枚の一割の金貨五枚です」


 私はトラスさんに金貨五枚を手渡した。


「確かに、受け取ったのにゃ。依頼、お疲れ様なのにゃ」


 トラスさんは皴一つない可愛らしい笑顔を浮かべた。猫が笑ったような愛らしい顔を見て私の心臓はドキリとする。


 ――うん、とても四〇歳を超えている容姿に見えないな。


「あと、森を移動していたら、多くの魔物に襲われまして、返り討ちにした後、素材を集めておきました。両が多いので、まとめておいたので換金してください」


 私は転移魔法陣をギルド外部に出し、ベスパ達に運ばせる。


「にゃにゃにゃ……。大量すぎるのにゃ……」


 バルディアギルドの受付では入りきらず、床に並べてもらった。


 ホーンラビットの毛皮一〇〇羽、角一〇〇本。魔石一〇〇個。

 スライムの魔石八〇個。

 ゴブリンの魔石八〇個。

 ボワの毛皮八八枚。牙一七六本。魔石八八個。

 マクロープスの魔石八〇個。

 ビッグデリーの毛皮一〇〇枚、魔石一〇〇個。

 ウォーウルフの毛皮八枚、魔石八個。

 ブラッディバードの魔石、八〇個。


 その他こまごまとした魔物の素材や魔石が置かれて行った。もう、トラスさんはどうしたもんかと言うくらい困惑している。


「今日中じゃなくてもいいので適正価格で買い取ってください」


「わ、わかったのにゃ。しっかりと仕事するのにゃ……」


 トラスさんは仕事をサボっていたがために、もっと面倒な仕事をする羽目になってしまったと顔に出ている。


「ふぅー。疲れた疲れたー」


 汗を掻いているこわもてのシグマさんが布で額を拭きながらギルドの中に戻ってくる。


「な、なんじゃこりゃ……。なんで、素材がこんなに……」


「あ、シグマさん。こんにちは。お久しぶりです」


「キララちゃん……。この素材はいったいどうしたんだい?」


「未達成の依頼中に大量の魔物に襲われたんです。その魔物を解体して持ってきました」


「凄い数を倒したんだな……。キララちゃん一人で倒したのかい?」


 シグマさんは苦笑いを浮かべ、私が魔物を倒したとどうも信じられないのだろう。


「私一人と言いますか、私と数頭と数匹で倒しました」


「なにを言っているのかよくわからないが、これだけの魔物を一人で倒せるのなら、十分優秀な冒険者としてやっていけるだけの技量がある。キララちゃん、是非バルディアギルドの冒険者にならないかっ!」


 シグマさんは熊のような大きな手で私の肩を掴む。きっと人材を集めているのだろう。まだ一一歳の私を勧誘するなんて相当追い詰められているのかもしれない。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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