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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
トラウマの権化 ~瘴気に満ちたブラックベアー騒動偏~

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レクーと筋骨隆々の冒険者達

――はぁはぁはぁはぁはぁ、早く…この手紙を届けないと。背中にはいつもいるはずのキララさんは居ない。でも…キララさんが僕を頼ってくれたんだ、何としてでも…。あ!


レクーはいつも躓かないようなところで足を取られ、転倒してしまった。


大きく土煙が舞い、覆いかぶさるように全身を包み込む。


――グ…立て!ただ転んだだけじゃないか…。


レクーの足には転んだ時に石と接触したのか、左の後ろ脚から筋を伝うように鮮血が流れる…。


――大丈夫…走れる、足は折れてない呼吸だってまだ安定してる。それなら今すぐ走れ!


苦しい状況下で頭の中に思い出されるのは、いつも母さんからの怒号だ。


「レク!躓いたらすぐ立って走れ!そうしないとすぐ殺されるぞ!」


「でも…お母さん…足が痛いよ」


「なに!ただ転んだだけで痛がっていてどうする、例え足に矢が刺さろうが、槍が刺さろうが、剣で切りつけられようが私たちは立ってなきゃいけないんだよ!私たちが膝を突いたら上に載っている人を危険にさらすことになるだろ、だから私たちは何者よりも強い力を持たなければならない、強い力は強い心の中にのみ育まれる!強い心を持てば体も次第に強くなっていく。いい、レク!どんな時でも心だけは強く持たなければならないよ。心が折れたら足も折れる……」


――お母さんの話…長いな…。


何時もそう思いながら母さんの話を聞いてきた…。


しかし、実際苦しい状況下に於いて母さんの言葉は身にしみて感じる。


――心は折れてない…つまり、足も折れてない…!


レクーはすぐさま立ち上がり、颯爽と走り始める。


レクーから流れ出す鮮血は足を動かすたびに空中を舞い、絹のように白い体毛を鮮血色に染めていく…。


――あとちょっと…あとちょっと!


足の痛みに気づきながらも、懸命に走り続け…等々、レクーは街の門までたどり着いた。


「ん?あのバートンどこかで見たような…あ!嬢ちゃんがのっとったバートンじゃねえか。また!あんなスピード出して!今度こそしっかり注意せんと…っておいおいおい!全然スピード落とさんじゃないか!て!よく見たら嬢ちゃん乗っとらんし!しかも、酷い怪我をしているじゃないか!」


――あ…門番のおじさん、スピードを落とすように手を振ってるけど…すみません。今はスピード落とすことが出来ません。


「止まれ!止まれ!ドワァ!」


レクーはそのままのスピードで門番のおじさんを飛び越えると、リーズさんの病院まで走る。


「バカやろー!あぶねーじゃねえか!」


おじさんが後ろの方で吠えているが今はそれ所ではない。



――あ!見えてきた、あそこの病院のはずだ。でも…どうしよう、扉が閉まってる。僕じゃ開けられない…こうなったら!


レクーは、そのまま突っ込み病院の扉を破壊する。


運よく裏には誰もおらず、怪我する人はいなかったが、リーズの病院入り口は無残なまでに破壊された。


「な!何事だ!って、このバートンは…キララちゃんの乗っていた…足に酷い怪我しているじゃないか」


――いた!この人がリーズさんだ


すぐさま近寄り、口にはさんでいた手紙を見せる…


「な…なんだ…ん?口に何か挟んでるな…えっと…!!――皆さん、すみません少し出てきます!それと、瘴気患者用の病室を確保しておいてください!」


リーズはレクーの傷の具合を見る。


「良かった…これなら何とか『ヒール』で治せる」


リーズの右手から魔法陣が展開され、緑色の光がレクーの傷口に当てられる。


次第に傷口が塞がり、傷がつく前の状態に戻った。


「これで良し、お願いだ!僕を乗せてくれるかい!」


「ブルオロ!」


「そうか、ありがとう!」


リーズはすぐさまレクーにまたがり、壊された入口から外へ駆け出す。


「まずは、ギルドへ向かわないと!」


レクーの足が治ったこともあり、リーズは、すぐギルドへと到着する。


「ギルドマスターはいるか!おい!シグマ!シグマはいるか!」


「リーズさん!どうしたんですにゃ?こんな朝早くからいきなり…」


「至急ギルドマスターのシグマを呼んでくれ!時間が無いんだ」


「は!はい!少しお待ちくださいなのにゃ」


受付嬢はすぐさま立ち上がり、受付の裏へと走っていく。


リーズはギルド内で掲示板を貪りながら見ている冒険者たちに大声で話しかけた。


「ここに居る冒険者の皆さん!お願いです!今すぐ、ネード村に向ってくれませんか!瘴気によって山の動物たちがアンデッド化しているみたいなんです!このままでは、この街にまで到達する可能性があります!報酬はギルドの後払いですが、必ず支払われますので、どうかネ―ド村に向ってアンデッドの足止めをお願いしたい!」


冒険者たちはリーズの言葉を聞いて口角を上げ、一斉に此方を向く。


その中で昨日リーズが酒を奢った新米冒険者が前に出た。


「リーズさん!分かりました!すぐに向かいます。丁度ネ―ド村付近の依頼を受けていたので!」


「そうか、ありがとう。でも決して無理はしてはいけない」


「はい!分かっています!」


「おいおい!新米に先越されちゃあ、ベテランの立場がねえなぁ!おい!お前ら、アンデッドなんかにビビってんのか!あのリーズさんが直々にお願いしてんだ!さっさと向かうぞ!」


「おうよ!」


筋骨隆々の冒険者たちが、たちまち声を上げギルドの外へと向かって行く。


「ありがとう…皆さん!」


受付の奥から駆け付けたギルドマスターが冒険者達に激を飛ばす。


「おい!これはいったいどういう状況だ!って言うのは愚問だな…さっさと行け!冒険者ども!すぐさま聖職者協会に連絡して増援を向かわせる。1人でも犠牲者を出したらただじゃ済まさんぞ!」


「しゃぁ!!誰が一番アンデッドを戦闘不能にさせることが出来るか勝負だ!」


「バカ野郎!アンデッドは普通には殺せないんだよ!ちゃんと勉強しとけバカ!」


ギルドにいた冒険者数10名が一斉にギルドから退出していく。


中堅、ベテラン冒険者達は自身のバートンに乗り、ネ―ド村を目指す。


新米やバートンを所持していないものは、近くにあるバートン養成所に立ち寄り、バートンを借りすぐさま出発する。


「おい!リーズ!お前は今んところ1番重要な役目を担ってるんだ!さっさと行きやがれ!」


「ああ!病院を頼む!」


リーズはすぐさまレクーにまたがり、ネ―ド村へと向かった。


冒険者たちが街の道路を掛ける光景を見た街の人々は『何事だ!』と大騒ぎになってしまう。


ギルトマスターは、すぐさま街の人々の騒動を鎮圧する役目を果たす。


既に街の外を走っているリーズとレクーは一直線にネ―ド村を目指す。


――リーズさん…僕たちバートンに乗るのに凄くなれてるな…凄く走りやすい。もしかしたら昔、バートンに乗ってたのかも。


「いい走りですね!これならすぐに付けそうです!」


リーズは着ている白衣をたなびかせ、風によってズレてしまった眼鏡をかけなおす。


先に出発していた冒険者たちのバートンを一気に追い越していき、バートン達の先頭に立った。


「おいおい!早すぎるだろ!どうなってんだ。俺の自慢のバートンだぞ!」


筋骨隆々の冒険者が叫ぶも、レクーとの差は縮まらない。


「ほんとにすごいな…このバートン…疲れを知らないのか。どうか無事でいてくれ、キララちゃん…今すぐ向かうよ」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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