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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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引き付け役

「ベスパ……。小細工は終わったの?」


「はい。特定の位置を走らせる必要がありますが、動き方しだいでアレス王子に一歩も近づけません。最終的にとっ捕まえられるようになっています」


 ベスパは私の頭上を飛び、話し掛けてきた。


「凄い罠を考えたんだね。でも、過信したらダメ。実力で全てをねじ伏せに来るかもしれない。そうなったら逃げるか、命乞い、何でもしてバレルさんを止める」


「彼を止められれば並大抵の者なら、臆することなく、生活できそうですね」


「うん……。はぁ、なんか人ってブラックベアーとはまた違った恐怖があるね。闇が深すぎると言うか……。何かを成し遂げるために死力を尽くすと言うか……」


「それを言うなら、私は命を懸けて戦っていますからね。私達はキララ様の命令であればどのような敵にも臆さず、攻撃を仕掛けますよ」


「ベスパの攻撃はもう、特攻と差し支えないから……。加えて爆撃するなんて……」


 私は不謹慎だと思い、それ以上考えるのを止めた。ベスパに仕込みを更に作らせ、出来る限りの策を考える。勉強に手が付けられないので作戦を紙に書きなぐった。


「一番大切なのはアレス王子の保護。でも、アレス王子が隠れたとしても、バレルさんが何日も探し続けたら、いずれ見つかる。そうなるとバレルさんの方も何とかしないといけない。迷路みたいな道を通らせて体に見えない糸を少しずつつけて最期に拘束。剣が一番厄介だから奪わないとな。あと剣の代わりになるようなものは全て廃棄しないと……」


 私はバレルさんの倒し方を考えていると部屋の扉が叩かれる。


「は、はい」


「ラッキーさん、朝食の用意が出来ました」


 メイドさんは私に知らせてくれた。


「あ、ありがとうございます」


 ――ベスパ、アレス王子が王城から出て、バレルさんと接触しそうになったらうまい具合に鉢あわないように操作してくれる。


「了解です」


 ベスパは王都と言う広大な盤面を三六〇度、全方位見渡し、空だろうが地下だろうが、お構いなしに覗いてくる。

 そのため、三次元構造を完璧に把握し、魔力を可視化することによって敵を確実に発見する。

 もう、ベスパの眼は神の眼と言ってもいいぐらい盤面を把握できる。相手がどんな風に動こうが、こっちのほうが先手を取れるのだ。なんせ監視役は何万といる。すべて光学迷彩で見えておらず、倒すのは困難。逃走劇をやらせれば、ベスパの横に出る者はいないのではないだろうか。


「いやいや……。あまり過信してはいけない。なんせ、あのベスパだからな。何が起こるかわからないから注意しないと」


 私は一人で食堂に向った。


 ルドラさんの家族は食堂に揃っていた。私も加わり、食事を始める。会話は特になく、料理をただただ食べているだけだ。

 マルチスさんが出ていき、ケイオスさん、テーゼルさんが退席した。ルドラさんとクレアさん、私の三人が残る。


「ラッキーさん、私は先に部屋に戻るわ。出発の準備が出来たら尋ねてくれるかしら?」


「わかりました。出発の準備が出来しだい、迎えに行きます」


 クレアさんは先に食堂をあとにした。


 私とルドラさんは誰もいない応接室に二人で籠る。


 私は赤色のソファーに座り、ルドラさんが深刻そうな顔で私に話しかけてくる。


「キララさん、爺や……、じゃなくてバレルさんが仕事を休みました。そんなこと、私が生まれてきて一度も無かったんですけど……、やはり何かおかしい」


「えっと……、隠すのも悪いのでルドラさんにだけは言っておきます。バレルさんは正教会に頼まれてアレス王子の暗殺に向かいました」


「なっ! そんなバカな!」


 ルドラさんは立ち上がり、大声を出した。周りから人が来ないか不安になるほどの大きさで、窓ガラスに罅が入ったのではないだろうか。


「お、落ちついてください。証拠ならあります」


「しょ、証拠……」


 ルドラさんはソファーに倒れ込むようにして座った。


「ベスパ、ルドラさんに昨晩の映像を見せてあげて」


「了解しました」


 ベスパは権限し、ルドラさんの目の前に映像(ビーデオ)を出現させて見せる。


「そ、そんな……。バレルさんが暗殺……。そもそもこのローブの者はいったい……」


「調べたところ、正教会に入って行ったそうなので、信徒で間違いないと思います」


「まさか……、バレルさんが正教会とここまで深く繋がっていたとは」


 ルドラさんは両手を顔に当て、天を仰ぐ。


「えっと、バレルさんとマルチスさんが不仲な理由はわかりましたか?」


「その……、祖父に話したくないと言われ、断られてしまいました」


「そうですか……。バレルさんがなぜマドロフ家を憎んでいるのかわかりませんし、手掛かりになればと思ったんですけどね」


「確信ではないんですけど、父から聞いた話が少し興味深かったので、話しますね」


「はい。どんな情報でも欲しいので、お願いします」


「父に祖父とバレルさんの仲が悪いのはなぜかと聞いたんですけど『本当のことは知らないが、俺が子供のころに大ゲンカをしていたのは見た。その頃、一緒に遊んでいたバレルさんの娘、キラリちゃんが突然いなくなったんだ』と言っていました」


「バレルさんの娘がいなくなった。確かに何かつながりがありそうですね……」


 私は顎に手を置いて考えるも、情報が無さすぎてわからない。


「キララさん、今すぐにアレス王子を保護しないと命が危険です。バレルさんに狙われたらひとたまりもありませんよ」


「剣神の称号を持っていた冒険者さんですもんね。なんなら、ドラグニティ魔法学園の学園長、キースさんと一時パーティーを組んでいたそうですし、どう考えてもやばい人間なのは間違いありません」


「はい。ですから、今すぐ王城に警告しに行かなければ!」


 ルドラさんは立ち上がり、走り去ろうとする。


「まってください、ルドラさん。自分の家来であるバレルさんがアレス王子を狙っているなんて知られたら普通に上司のルドラさんやマルチスさん、なんならマドロフ家全体が国家の敵と見なされてしまいます。そうなるくらいなら、バレルさんが完璧な暗殺をするか、とっつかまえるかの二択しかマドロフ家の汚名を回避する手段がありません」


「た、確かに……。で、ですが、バレルさんを捕まえるなんて討伐難易度Sランクの魔物を捕まえるよりも難しいのでは……」


「やってみないとわかりません。ルドラさん、あなたにはバレルさんの引き付け役をやってもらいます。バレルさんはルドラさんを暗殺するなんて出来ません。私が見た限り、バレルさんは心優しい方のはずなんですよ」


「私が引き付け役……」


 ルドラさんは顔面を蒼白させ、白目をむきそうになっていた。


「バレルさんが街中でルドラさんと出会ったら普通は挨拶を交わしたり、話したりするはずです。気づかない振りをする場合、こっちから話しかけていきます。路地から出ない場合は無理やり連れだしますから、少しの間、引き付けてください。彼はキースさんと会うと言う口述を使って休みを取りました。なので私もキースさんに挨拶したいので一緒に待っていますと言えば、数分は残っていてくれると思いますから、気を引き締めてください」


「わ、私はなぜ引き付け役をしなければならないのでしょうか?」


「バレルさんに一瞬でも気を抜いてもらいたいからです。バレルさんから剣を奪わないと拘束するのは不可能です」


「バレルさんから剣を奪う……。そうか、生半可な攻撃なら剣で全て消されてしまうし、何とかしないと……」


 ルドラさんも顎に手を当て、考え込んだ。


「キララ様、アレス王子が動き出しました」


 ベスパは私の頭に話かけてくる。どうやら、もう動き出してしまったようだ。


 ――なんで正教会はアレス王子が今日動くとわかったんだろう……。


「そのことなんですが、アレス王子は封の開いた手紙を持っています。何か急いで出ないといけない理由があったのでしょう。正教会に脅されている可能性もありますね」


 ――一国の王子を脅すって……、相当な権力を持っているんだな。


「ルドラさん。時間がありません。今すぐに出発します。ルドラさんはいかにも普通を装って移動してください。そうしないと感づかれます。連絡はビー通信で行いますから、ブーンブーンと言う翅音がしたら小言で呟いてください」


「わかりました。では、仕事に行ってきます」


 ルドラさんは貴族の服装をピシッと決め、応接室を出た。


「ふぅ……。静かに始まった……。ベスパ、バレルさんの位置は?」


「バレルさんは私服で大通りを歩いています。ただの市民のように見えますが、目が死んでますね」


「そう……。じゃあ、私達も大通りを通って冒険者ギルドに向かう。二つのことを同時進行で進めていくよ」


「了解です!」


 ベスパは敬礼をしながら翅をブンブン動かす。


 私は立ち上がり、メイドさんにクレアさんの部屋はどこかと聞いて案内してもらった。クレアさんの部屋の扉を三回叩き、偽名を言う。


「クレアさん。ラッキーです。出発の準備が出来ました」


「は~い。じゃあ、出発しましょう」


 クレアさんは舞踏会にでも行くのかと言うくらい着こんでいた。

 私はウェディングドレスかと突っ込みたくなる。だが、メイドさんが早急に着替えさせ、街中でも目立ちにくい藍色のドレス姿に変わった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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