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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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友達に嘘はつきたくない

「お疲れ様です、キララ様。にしても、ドラグニティ魔法学園は楽しそうな場所でしたね」


 ベスパは部屋に飾られている花に座り、話し掛けてきた。


「まぁ、外面だけはね。内面がまだわからないから楽しそうって言うだけで辛い所もたくさんあると思う。それを差し引いても得られるものも多そうだけどね」


「はい。一番はやはり、ドラグニティ学園長がいると言うことでしょう。彼の元で修行を積めば、さぞかし強い者になれるはずです。何たって、門番のバレルさんですら、あそこまでの境地に達しているのですから、実績はあります」


「まぁ……、バレルさんの場合は実践経験によって培われた力だと思う。生き残るのも才能が必要だけどね。でも、もと剣神の称号を持っていたって言うから侮れない。どう考えても衰えていない。なんなら、もっと洗練されているかも」


「でしょうね。力は衰えても技術は衰えず、磨き続ければ輝き続けます。もう、近くにいるだけで身がピリピリするような刺激に襲われましたよ」


 ベスパは体を掻きむしり、不快感を発散していた。


「ほんと……、強者は雰囲気だけでわかるよね。でも、本物の強者はそれすらも隠すんだよ。能あるビーは針を隠すってね」


「ま、ビーの中で針を持っているのは私くらいですけどね」


 ベスパはふんぞり返ってお尻から針を出す。気持ち悪いとしか言いようがない。


「明日からどうしようか。帰るか、もう少し滞在するか。この二択なんだけど、どう思う?」


「そうですね……。帰るのが得策でしょう。滞在する利点があまりありません。王に謁見するにも素性を隠している以上、難しいです。アレス王子に会うと言うのはありかもしれませんけどね」


「アレス王子ね……。でも、あの人も王城にいるんでしょ、会えないじゃん」


「えっと……、アレス王子は変装して街に出ているのを目撃したビーがいます。アレス王子は大量の仕事から逃げているようですね」


「はぁ……、一国の第一王子が仕事から逃げるなんて情けない。でも、明日会えるとは限らないでしょ」


「まぁ、確かにそうですね」


「騎士団や騎士養成学校に行くのは危険が大きすぎる。ビー達はアイクを見た?」


「いえ、勇者と剣聖であるアイクさんを探しましたが見つけられませんでした。きっと正教会の本殿がある教会の結界内にいると思われます」


「結界の中……。監禁されてるってことか」


「その可能性が高いですね。同じように、悪魔たちも閉じ込められているか、身動きが取れないようにされていると思われます」


「まぁ、その点はありがたいんだけど……。でも、閉じ込めることが出来てしまうってことは悪魔を操れるかもしれないってことか。もう、危険しかないじゃん。無理無理」


 私は頭に手を置いてじたばたと暴れる。騎士団と騎士養成学校に行くのは絶対に駄目だ。


「はぁ……。じゃあ、もう帰った方が安全っぽいね」


「そうですね。あ、今、ぱっと思いついたのですが冒険者ギルドに行ってみるのはどうですか? また、市場に行ってどのような品がどの値段で売られているのかを調べると言うのも今後の指標になるのでは?」


「なるほど……。もしかしたら逃げ出してきたアレス王子とも話し合いが出来るかもしれない。悪くないね」


「では、明日は王都の情報を収取すると言うことで、話しは纏まりましたね」


「うん。いい感じだね」


 私はベスパと話しをした後、ドラグニティ魔法学園の過去問題集を解き、他の学園と少々毛色が違う問題ばかりで面食らっていた。

 難しいと言うよりかは基礎を使って応用をやらせようとしてくる問題ばかりで、ただただ勉強をしているだけでは解けない。

 何を学んでいるかしっかりと理解していなければ一問目から解けなかった。だが、私は基礎をガッチガチに固めてきているので、時間を懸ければ問題を解けた。あとは慣れるだけだ。


 勉強がはかどって来たころ、扉が三回叩かれる。


「はい」


「ラッキー様。夕食の準備が出来ました。食堂にお越しください」


 メイドさんが私を呼びに来た。毎回勉強がはかどっている時に呼びに来られるので「今は入るな」と立て札でも付けておこうか……。


 私は席をしぶしぶ立ち、食堂に歩いていく。

 三日目ともなれば、食堂までの道のりは覚えた。


 私が食堂に向かう途中、クレアさんと合流した。


「ラッキーさん。帰ってたのね。ドラグニティ魔法学園の方はどうだった?」


「楽しかったですよ。施設も他の学園と比べて大きくてこりゃお金持ちの学園だ~って、思いました」


「はははっ、そうなのね。確かにあそこの建物は全部大きいし、貴族ばかりだからお金持ちの学園と言っても過言じゃないわ。あ、そうそう、出発の日だけど、いつにするか決めたのかしら?」


 クレアさんは予定を確認したいのか、出発日時を聞いてきた。


「予定としては明後日の朝に出発する予定です。明日は王都の中を見て回ろうと思って」


「なるほど。王都見学ね。なら、私も同行するわ」


 クレアさんは胸をドンと叩き、姉さん気分で語る。


「い、いえいえ。クレアさんにお手をおかけするわけには……」


「もう、何言っているの。私達はもうお友達でしょ。一緒に買い物したり、食事したりしましょう!」


 クレアさんは私の小さな手を握り、屈託のない笑顔で語りかけてくる。だが、クレアさんの言葉の中に、私の欲しかったものがあった。


「と、友達……。私とクレアさんが友達……」


「え、友達じゃないなら、ラッキーさん、いったい私はあなたのなんなの?」


「そう言われると……、師匠の奥さん?」


「もぅ、そんな堅苦しい枠組みに嵌めないで。私はあなたとお友達になりたいの。一六歳と一一歳なら、姉妹同然じゃない。姉妹には残念ながらなれないけれど、お友達ならなれるでしょ」


 クレアさんはカッコいい先輩みたいな雰囲気で微笑んだ。


「く、クレアさん……。うぅぅ……。末永くお願いします……」


「ええ、もちろん! ラッキーさんとお友達になれて私、すごくすごく幸運だわ」


 クレアさんは私を友達と言ってくれた。友達に隠し事は良くない。そう思い、私はクレアさんに事情を話す。


 ――ベスパ、周りに誰もいない部屋はある?


「すぐ隣の部屋なら誰もおらず、周りに人も近づいてきていません」


 ベスパはビーからの情報を得て頭の中で瞬時に安全な場所をはじき出す。


 ――ありがとう。


「クレアさん、私、言いたいことがあるんです。少しいいですか?」


「ん、何かしら?」


 私はクレアさんを部屋に連れ込んだ。どこの少女漫画だよと思ったが、別に卑猥なことをするわけではないので許してほしい。


 扉を開け、中に入ると小さな段差に躓く。


 私はクレアさんを押し倒してしまい、頭を打たせてしまいそうになった。すぐさま魔法で浮かせ、覆いかぶさるように抱きしめる。


「ら、ラッキーさん……。な、何してらっしゃるの。だ、駄目よ……。お友達だからと言ってこんなこと……」


「すみません、クレアさん……。怪我はありませんか」


「け、怪我はしていないけれど、心が火傷しそう……」


 クレアさんはいったい何を言っているんだか。


「クレアさん、私、あなたに言わなければいけないことがあります」


「な、何……。私にはルドラ様と言う素敵な旦那様がいるの。ラッキーさんの気持ちには堪えられないわ」


 クレアさんは顔を赤くしながら手をブンブン振る。


「あの、私……、クレアさんにずっと隠していたんです」


「隠していた?」


「はい。実は私、女なんです」


 私はズボンを脱いでパンツを見せる。男の象徴はなく、マネキンのような下半身を堂々と見せた。あまりにもいきなりすぎてクレアさんは目を丸くしている。


「へ?」


 私は自分の行動があまりにも変態すぎて恥ずかしくなり、ズボンを履いた。


「これが言いたかったので、場を移動してもらいました。あと、私の本名はキララです。ラッキーは偽名なので、新しく覚えてください」


「えっとえっと……、ラッキーさんは実は女で、本名がキララさん……」


「その通りです。ルドラさんはすでに知っているので、話してもらっても構いませんが、なるべく素性を知られたくない性分なので、口外しないようお願いします」


「えっと……まだあまり事情がわからないのだけれど……、私、絶対に誰にも言わないわ。お友達が言わないで、と言ったことだもの。だから、安心してキララさん」


 クレアさんは立ち上がり、ムギュっと抱き着いてきた。胸の大きさはそこはかとなく、丁度いいくらい予想するにEカップくらい。このくらいでいいんだよ、このくらいで……。この世界の女はIカップとか、Hカップの輩が多すぎるんだよ。女神がGカップ以上だからだろうな。


「あのキララさん。本当に女の子なの?」


「はい。正真正銘の女の子です。服装が男の子よりなので、男に見えるかもしれませんが、生物の分類上雌です」


「ひえぇ……。すごいすごい……、本物の妖精さんみたい。女の子なのに男の子っぽい。男の子みたいなのに女の子」


 クレアさんは私の周りをクルクルと回る。わんこか、と突っ込みたくなったが、やめた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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