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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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犯人捜し

「私も、入学を検討したいくらい良い学園だったので、来年もお世話になるかもしれません。その時はよろしくお願いします」


 私はジリオン先輩と握手をしながら別れの挨拶を交わした。


「じゃあ、また!」


 ジリオン先輩は大きく手を振って私の元を去っていく。


「いい先輩だな……」


 私もジリオン先輩に手を振ってわかれた。

 エルツ工魔学園よりは手ごたえを感じ、私の性格に合っているような気がする。


 私は校舎から出て校門に向った。すると、先ほど講義の内容を纏めると言って出て行ったポリシスさんが立っており、西日の光に照らされ、とても神々しい。


「キララさん。これを君に授けよう」


 ポリシスさんはエルツ工魔学園でも貰った冊子と似ている分厚い本をくれた。フリジア魔術学園の入試問題集だと思われる。


「ありがとうございます。しっかりと勉強してこの学園にも入学できるくらいの力を付けてきますね」


「ああ。魔力操作が上手くできるキララさんなら努力できるはずだ。最後の講義の時、君の技術はすでに卓越していた。ほんと身震いしたね。あそこまで魔力操作が出来る人物は滅多にいない。君が何者なのかは聞かないが、学園長がすでに目を付けているかもしれないから、きっと入学試験の時は過度な圧迫を得るだろう。ま、君なら問題ないかもしれないけどね」


 ポリシスさんは私の素質をすでに見抜いていた。この方も相当なやり手だ。


「はは……。私は昔からちょっと遊んでいただけですよ……。えっと、フリジア学園長にもよろしくお伝えください」


 私はポリシスさんに頭を下げる。


「ああ。わかった」


 ――ベスパ、レクーを厩舎から出してきてくれる。


「了解です」


 ベスパは厩舎に飛んで行き、レクーを連れて来た。


「おや、バートンが脱走したのかい?」


「いえ、私の仲間に連れてきてもらいました」


「キララさんの仲間……。ま、まあ、いい。あまり詮索する内容でもない」


 ポリシスさんは身震いして話しをそらした。恐怖を感じているような表情をしており、何を考えているのだろうか。


「では、ポリシスさん。今日はありがとうございました。とても親切に接してくれて嬉しかったです」


「また、どこかで会えたら声をかけてくれ」


「はい。またどこかで」


 私はポリシスさんとも握手を交わし、レクーの背中に乗ってルドラさんの家に向かった。


「フリジア魔術学園、すごくいい所だったな。まあ、魔造ウトサの件が頭に引っかかって最高って叫べないのがもったいないくらいか。ベスパ、生徒たちの体から魔造ウトサを抜いてくれた?」


 私は右前方に飛んでいるベスパに話かけた。


「はい。微小な魔造ウトサをすべて吸い出しておきました」


「にしては黒くなってないね」


「私の体はキララ様の成長と共に魔力量が増えていますので、以前よりも瘴気に強くなっています。まあ、体の中に取り込める量が増えただけですけどね」


「じゃあ、特効薬でも飲んで魔造ウトサを消しなよ」


 私は試験管をベスパに渡した。ベスパは特効薬を飲み、瘴気を消し去る。


「ふぅ~。いや~、瘴気が体の中にあると体調が万全ではなかったので特効薬があるだけでありがたいですね」


「ライトに感謝しないとね。さて、今、ルドラさんはどういう状況なのだろうか」


 私達は結構急いで移動し、マドロフ家に向った。


 私達がマドロフ家に到着すると多くの人が外に整列させられている。家の中にいた使用人や料理人までもが広い道に一列に並んでいた。


「あ、あの。すみません。これはいったいどういう状況ですか?」


 私はイケオジの執事さんに話かける。


「お帰りなさいませ、ラッキーさん。お手数をおかけしますが、ラッキーさんも列にお並びいただきますようお願いいたします」


 白髪混じりのイケオジは私の偽名を言う。

 私は今日久々に聞いたダサい名前に噴き出しそうになった。


「は、はい……」


 私は列の最後尾に並び、何が行われるのか心臓を跳ねさせながら待つ。


「ただいまから、一人ずつ屋敷の中に入り、ルドラ様と話しをするように」


 イケオジが大きな声を出すと屋敷の扉が開き、一人ずつ中に入っていく。


 ――まさかの尋問方式をとるとは。この中に敵が紛れ込んでいる可能性を調べるのか。


「キララ様にも話しをするなんて大層な徹底ぶりですね。列の先にクレアさんもいますし、誰も信用できない状況なのでしょう」


 ベスパは腕を組み、翅をブンブンと鳴らして飛んでいる。


 ――はぁ、いったいどうなるのやら。マドロフ商会に潰れられるのは困るし、私達も何か手助けしないといけないな。


「はい。まあ、皆さんと握手をして行けば大体わかると思いますけどね」


 ベスパは手と手を合わせ、笑っていた。


 ――ライト式嘘発見方法。もしその方法が他の人に知られていないのなら、すごく有効な手段だと思うけど、知られていたら魔力を安定にされちゃうよ。


「いえ、人はそう簡単に魔力を安定させられません。私のように、キララ様の魔力を外部から操作できる者がいない限り、嘘をついて乱れた魔力を正すのは難しいんですよ。学生たちが魔力操作を難しそうに行っていましたし、体内の魔力を道具も無しに操るのは至難の業です」


 ――へぇ~。じゃあ、皆さんと握手をしながら質問していけば普通に見つかるかもね。


「はい。あとで、試しましょう」


 ――そうだね。


 私は長い長い列の最後尾でずっと待っていた。日本人は行列が好きとは言え、さすがにこの数を待つのは面倒が過ぎる。


 屋敷の中で待っているのはマドロフ商会の次期会長、ルドラ・マドロフさん。まあまあ有名な人なんだろうなとは思うが、二〇〇人以上が並ぶような列の最後尾で待っていたいほどすごい人ではない。


 一人一分だとしても二〇〇分かかる。何か時間を潰せる方法が無いか考えた結果。勉強だった。今、持っているフリジア魔術学園の問題集を解けば時間を潰せる。そう思い、ディアたちに椅子と机になってもらう。レクーはほぼ重さを感じないので、私がブラットディア達の机と椅子に座りながら勉強をするだけだ。まあ祭の神輿のような感じだと思ってもらえればいい。


「あぁ……。キララ女王様に踏まれてる……。気持ちいい……」


 ブラットディア達は少々気持ち悪い発言をした。


「あなた達、今、キララ様はお勉強中だ。言葉を慎みなさい」


 ベスパがブラットディア達を叱ると言葉を発する者はいなくなった。


 ブラットディア達は元々話さないが、私の近くにいるせいで思考が出来るようになり、社畜へと変化していく。だが、彼らは社畜になれるのがとんでもなく嬉しいようで、私にコケに使われるがの幸せなんだとか。

 どんな性格してるんだと思うが、今、こうして生きていられる状況が嬉しいのだという。虫の世界は厳しいらしいから、私にこき使われている方が何万倍も幸せを感じられるそうだ。


「え、えっと……。ラッキーさん、お入りください」


 イケオジは目の前の光景を不思議に思っているのか、眼を丸くしながら呟いた。


「わかりました。じゃあ、レクー。厩舎に戻ってくれる。食事は後で持っていくよ」


「はい」


 レクーは厩舎の方に向って走って行く。ブラットディア達は私が下りると姿をさっと消した。


 私は手洗いうがいをした後、屋敷の中に入った。応接室に移動させられ、険しい顏をしているルドラさんと会う。部屋の中にいたのはルドラさん一人。他はだれ一人いなかった。


「はぁ……。キララさん、何とお礼を言ったらいいか……」


 ルドラさんは初っ端ローテーブルに額を付けて感謝してきた。


「いえいえ。私も偶然遭遇したので、運がよかったんですよ。今のところ、犯人はわかりましたか?」


「えっと、こちらの魔道具を使って調べているんですが屋敷の者はキララさんで最後ですよね。全く反応しないので、本店の建物に出入りしている者の中にいるのかもしれません」


 ルドラさんは水晶体を私の前に出した。無色透明のガラス玉で物凄く高そうだ。


「この水晶体に手を翳してもらえますか」


「はい」


 私は水晶体に右手を翳す。


「あなたは、粗悪品を売っていますか?」


「いいえ」


 水晶体は全く反応せず、透明なガラス玉のままだった。


「ありがとうございます。キララさんに発動するわけありませんよね。まさか、正教会が私達の商会を潰しにかかって来るとは……」


 ルドラさんは額に手を置き、苦笑いを浮かべる。


「きっと石鹸の件で不評を買ったんでしょうね」


「そうでしょうね……。ただ、石鹸の場合は国王陛下の声があって売れている品ですから、正教会が反発する場合、王に逆らうことになります。まあ、昔から祖父とバチバチに争っているので鬱憤が溜まっているんでしょうね」


「ルドラさんのお爺さんって正教会に反発しまくっているんですか?」


「そりゃあもう、一度ならず二度、三度と反発していますよ。祖父は小さな商会を開いて多くの国を渡り歩いてきた商人です。多くの伝手があり、正教会に追われたら他国に亡命、熱が冷めたらまた反発。その繰り返しです」


「へぇ……、すごいお爺さんなんですね……」


「ほんと、今の私なんかじゃてんでかないませんよ。祖父が会長を降りたのは動きやすくなるためなんです」


「なるほど。権威が強いと動きにくいですもんね」


「はい。多くの業をなした祖父は小級貴族の祖母と結婚しました。その後、息子の父が生まれ、商会は拡大。あれよあれよと父は中級貴族の母と結婚。その後、私が生まれ大貴族のクレアと結婚することになり、小級貴族であることが難しくなったんですよね」


 ――クレアさん、大貴族だったんかい。いや、それであの性格じゃ困るわな。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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