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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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学生割引?

「え、えっと……。マンドラゴラの幻術に掛けられて、変な踊りを踊らされていたんですよ。なので皆さん、冷ややかな視線を送っているんだと思います」


「えぇ~。は、恥ずかしいな~」


 ジリオン先輩は物凄く純粋なのか、頬を赤くして縮こまってしまった。可愛いかよ。


 お婆ちゃん先生は魔物の危険性を伝える役目も担っているらしく、マンドラゴラの危険性を九〇分間使って教えてくれた。


「では、皆さん。辛いことがあっても知らない森の中に入ってはいけませんよ。マンドラゴラのにおいは心が衰弱している者に強く反応し本領を発揮します。では、今日の講義はここまでです」


「ありがとうございました!」


 多くの女学生がお辞儀をした途端、栽培室を飛び出し、どこかに向かう。


「キララさん! 購買に行ってお菓子を買いましょう! 菓子職人が作りたてのお菓子を売っているんです。もう、最近売り出されたお菓子が美味しすぎて即完売するんですよ!」


「お菓子!」


 私はジリオン先輩の後を追い、フリジア魔術学園の購買へと脚を運ぶ。


「うおおおおおおおおおらああっ~!」


 フリジア魔術学園に通っていると思われる女学生たちが購買に殺到していた。


「え、えぇぇ……。ものすごい熱気」


 私の目の前で繰り広げられていたのは女学生が購買の中に我先に入っていこうとしている光景だった。誰か圧死してもおかしくないと思うほどの数で背の低い私からしたらとても大きな巨大な壁に見える。


「さ、キララさん。行きますよ!」


 ジリオン先輩はなぜか四つん這いになっており、私の前を行く。そのまま、脚の間をすり抜けていった。


「す、すごい……。わ、私も」


 私は踏まれるのを覚悟の上、脚の隙間に入っていく。女の子のにおいと言うのか、汗の匂いがした。これだけ密集していたらそりゃあ汗を掻くだろうなと思うほど、汗臭い。だが誰も気にせず、お菓子を目指していた。


「ウトサ入りケーキ、銀貨一枚から売ってます。クッキーなら銅貨五枚です」


 ――なっ! 破格すぎる! 絶対大赤字でしょ。学生割引ってやつかな。


 私はお菓子を求めて先に進む。もう隙間をすり抜ける蛇の如く、完璧な身のこなしで最前列へとやって来た。

 顔を出すと木の箱の中に包装されたクッキーが入っているのが見えた。私は手を伸ばし、取ろうとするも他の人の手が邪魔でクッキーに届かない。


 ――魔法を使えば簡単に取れるけど、誰も魔法を使っていないということは暗黙の了解があるんだな。自分の手で掴み取れってことか。やってやろうじゃないの。


 私は腕を目一杯伸ばす。包装紙に指先が触れ、あと少しで捕れそうだったのに他の生徒に取られた。悔しい。でも仕方がない。私の力不足だった。


「まだまだ、こんなもんじゃ終われない。絶対に取る!」


 私はクッキーの箱に手を伸ばし続け、ようやく届いたと思ったら木箱の底だった。


「クッキー完売しました~。ケーキのほうも丁度完売です。ありがとうございま~す」


「そ、そんな……」


 お菓子が買えた者は天に上るように悦び、買えなかった者はこの世の終わりかと言うぐらい落ち込んでいた。


「く、くぅ……」


 私は悔しさのあまり、右手を握りしめる。腕があと数センチ長かったら確実に届いていたのに……。


 私が悔しがっていると、生徒たちは購買の品を買いあさって出て行き、何も買えなかった者は学食に向った。


「はぁ……。クッキー食べたかったな。ケーキも食べたかったな……」


 私は汚れてしまった服を叩き、購買を出る。するとクッキーとケーキの両方を購入できていたジリオン先輩が待っていた。


「凄い人だったね。はい、キララさんの分。しっかりと取っておいたよ」


 ジリオン先輩はクッキーとケーキを一個ずつ私に渡してきた。なんてイケメンなんだ。可愛いイケメンとか最強なのでは……。


「あ、ありがとうございます。でも、いいんですか? 貰っても……」


「うん。僕はまだあと二年と一一ヶ月の間戦える。キララさんは見学者だから、今日しかいないかもしれないじゃない。なら、キララさんも食べるべきだよ」


「あ、ありがとうございます。感謝します!」


 私はジリオン先輩からクッキーとケーキを貰った。クッキーの色はどこか茶色っぽい。薄い黄色のクッキーがよく見られるなか、茶色っぽいのは初めて見た。香ってみると、紅茶のにおいがする。どうやら、紅茶の茶葉を練り込んだクッキーのようだ。


「紅茶が香るクッキー。なかなかに良い匂いがします……」


 包装紙の上からでもほんのりと香る。こんなの美味しいに決まってるよ。


 ――甘すぎないことを祈るのみ。


 私はクッキーの包装紙を取る。すると香ばしい紅茶のにおいが広がる。大声でティータイム! って言いたいぐらい匂いが強い。


 ――ベスパ、一応毒味してくれる。


「了解です」


 私はクッキーが入っていた包装紙の底に溜まっている粉をベスパに与える。


「ペロっ、ん! これは……魔造ウトサ!」


 ベスパはあまりにも嘘臭い演技をした。学園でどうしてそんな演技をするんだ。


 ――もう、またまた。そんな嘘は良いからさ。で、美味しいの?


「き、キララ様。嘘ではありません。ごく微量ですが、魔造ウトサの雰囲気を感じます。速効性のある魔造ウトサではなく遅効性のようです」


 ――え、えぇ……。ちょ、ちょちょ……。嘘でしょ。


「いえ、嘘ではありません。私は嘘をつくのが嫌いだとキララ様も知っておられますよね。なんせ私はキララ様の分身のような存在ですから」


 ――まあ、嘘をつくのが下手なのはわかる。でも、魔造ウトサが使われているって本当?


「はい。そもそも、街で小袋一個で金貨五〇枚もするようなウトサを使った品が低価格で販売できている時点で怪しいじゃないですか」


 ――そ、そうだけどさ。王都だし、学割みたいな感じなんじゃないの?


「その可能性も捨てきれませんが、生憎魔造ウトサが含まれているのは事実です。ごく少量ですので一つ食べる分には大した害にはなりません。数年後に頭が割れる可能性はありますけどね。毎日毎日食べ続けたら危険なのは明確でしょう」


 ――そ、そんな。いったい誰が魔造ウトサ入りのお菓子をフリジア魔術学園で売る許可を出したんだろう。


「わかりませんが、今すぐにお菓子の販売を中止させるべきでしょう。そうしないと、一年後にフリジア魔術学園の生徒たちが暴れ出すかもしれません」


 ――なんてこったい……。私が買えなかったのは体が無意識に反応していたからかのか。はぁ、裏にはドリミア教会と正教会が繋がっているのかな。詮索するのは危険すぎる。


「キララさん、どうしたの? クッキーを食べないの?」


 ジリオン先輩の藍色の瞳が少々黒ずんで見える。


 ――ちょっと待って。皆の魔力水が、紫がかっていたのって体内にあり得ないほどの瘴気が満ちてる証なんじゃ……。でも、教授が特に問題なさそうな顔してたし。いや、そもそも教授の作っていた魔力水も紫が掛かっていた。すでに魔造ウトサに洗脳され始めてるんじゃ。


「ジリオン先輩、少しいいですか?」


「ん……、どうしたの?」


 私は試験管ホルダーから、特効薬が入った試験管を取り出し、ジリオン先輩の口の中に突っ込む。


「んっ、ごっくん……。お、美味しい水……。くっ!」


 ジリオン先輩の体から禍々しい色の瘴気が放出され、散り散りになる。


「はぁ、はぁ、はぁ……。キララさん、いったい何をしたの……?」


「気分はどうですか? 眠気が引いたんじゃないですかね」


「そ、そう言えば……。確かに、疲れが取れた気がする……」


 ジリオン先輩が寝れなかった理由は魔造ウトサの蓄積による疾患かもしれない。他の生徒の睡眠の質が落ちている可能性がある。皆、魔造ウトサの影響だろう。


「ジリオン先輩、クッキーとケーキはもう、絶対に食べないでください」


「ええええっ! そ、そんな。毎日の楽しみなのに……。このために学園に来ている生徒もいるくらいなんだよ。僕達の魂を震わせる魅惑のお菓子なんだよ!」


 私はジリオン先輩のケーキとクッキーを奪い、自分が持っている品も床に捨てる。


「こんな品、ブラットディアの食事にするのが一番いいですよ!」


 私はブローチに擬態しているディアを手に取り、お菓子の上に乗せた。


 ――ディア、抹消して。


「わっかりました! いただきます!」


 ディアは元気よく返事をしてお菓子を貪り食っていく。

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