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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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半裸のルドラさん

「ベスパがほ、ほうにょ……なんて言いかけるからでしょ。女の子に向ってそんなこと言わないで。ものすごく恥ずかしいし……」


「なぜですか? キララ様は毎日しているじゃないですか」


 ベスパは首をかしげながら言う。


「だ、だからって言うことじゃありません。相手が言われたら嫌だろうな~って察しなよ」


「難しいですね。でも、努力はしみてます」


「努力ね……。まぁ、いいか」


 アイドルはトイレをしない。そう、言い伝えられているが、相手は人間だ。するに決まっている。私だって人間だもの、体が余分だと思った老廃物はしっかりと排出される。だがまぁ、最近はおかしいなと思う部分が多々あった。

 出てくる物質が輝きすぎている。もう、体内の魔力が排せつ物にまで練り込まれているようだ。そうまでしないと魔力を出せないほど溜まっているらしい。もう、魔力の便秘だよ。まだ一一歳なのに……。まあ、こどもでも最近は増えてるって言うしな。体調が悪くないからましか。


「さてさて、寝ますかね~」


「はい、寝ましょう」


 私は硬いベッドに寝転がり、綺麗で石鹸の良い匂いがする髪の毛を弄る。湿っぽいのは花の油だろうか。心がとても落ち着く香りだ。毎日同じ生活をしていると成れてしまうのだろうが、たまにはこういう生活も悪くない。


 王都への出張一日目が終了した。


 次の日の朝。


「ふぐぐぐ~。ふわぁ~。いや~、目覚めがいい朝~。でもでも~、さすがに光りすぎな気もする~」


 私はベッドから起きると、昨日に受けた按摩が効いたのかぐっすりと眠れ、最高の目覚めだった。


 視界がキラキラと輝いて見えるのは幻覚だろう……。そう思い、眼を何度か擦ってみる。でも、光は消えていない。どうやら、現実に起こっていることのようだ。


「キララ様、おはようございます。いや~、キララ様の吐く息にも魔力がこもってしまっているようですね。締めっぱなしにしていたので、部屋の中が魔力で満ちていますよ」


 ベスパは花瓶に添えられている花に座り、小さな小さなカップを手に持ちながら優雅に何かを飲んでいた。花の蜜でも飲んでいるのだろうか。


「えっと、あんまり光らせると違和感しかないから、消してくれる。あと、目立ちたくない」


「キララ様の室内だけなら、光らせておいてもいいじゃないですか。女王の部屋なのですから、煌びやかでないと」


「いやいや、私はあまり光っているのは好きじゃないよ。嫌いでもないけど、苦手だからさ」


「なら、窓を開けていただければ、目に見えている魔力は分散します」


「そうなんだ」


 私は吐く息ですら、魔力を込めてしまえるくらい体の中で作りだしてしまうらしい。いや、ばらまきすぎた魔力が虫たちの死亡によって戻ってきているのかもしれない。

 与えた時よりも多くなって戻って来るとか、複利かよ。何パーセントくらい増えてるのかな。三パーセント増えていたらいい方か。八パーセント増えていたら相当儲かってるな。


「ベスパ、虫たちに与えた私の魔力はどのくらい増えて戻ってくるの?」


「そうですね。大体八割増しで返ってきます。優秀な者であれば、八〇倍になって返ってくることもありますし、全く増えず戻ってくることもありますよ」


「八割増し……。とんでもない、企業だね。まあ、私の魔力は全く減らないどころか増え続けているということだけはわかったよ」


 私は魔力を外に出すために、窓を開けた。すると、窓を開けた途端に部屋の中の空気が外に抜けていく。飛行機事故の際、気圧の違う機内の空気が外に逃げる状況と似ている。


「ちょ! ベスパ! どうなってるの!」


 私はカーテンに捕まって外に投げ出されずに済んだ。でも、宙ぶらりんになっており、このままだと落っこちてしまう。


「いやはや、外の空気と部屋の中の空気で密度が大分違ったようですね。窓を開けた際、パンパンにつまった空気内の魔力が外に漏れ出してしまったようです」


「なるほど……。って、このままだと落っこちちゃう~!」


 私は脚をばたつかせながら、カーテンの端っこを持っている手に力を入れるも、非力なので、なかなか持ち上がらない。


 ベスパはネアちゃんを持って私の背中に糸をくっ付けた。そのまま、釣りをするように持ち上げられる。


「大丈夫ですか、キララ様」


「なに、この情けない恰好……。恥ずかしいんだけど」


 今、私はクレーンゲームで捕られた景品のような状態になっている。ネアちゃんの糸は私の重さでは絶対に切れない。加えて粘着力も強いので、落ちる心配はないだろう。でも、飛ぶにしてももっと優雅に飛びたかったな。


 私はベスパに部屋に運んでもらった。部屋の中はぐちゃぐちゃになっており、清掃係のメイドさんに申し訳が無い。高そうな品はあらかじめネアちゃんの糸で固定してあったのか、全く動いておらず、無事だ。


「ベスパ。私が起きたくらいの部屋の状態に戻して。あと、ネアちゃんは私の髪を直してくれる」


「了解です」


「わかりました」


 ベスパはぐちゃぐちゃになった部屋をもとに戻し、ネアちゃんは風でぐちゃぐちゃになった私の髪を直して整えてくれた。


 ネアちゃんにはヘアピンに擬態してもらい、前髪にくっ付ける。


「丁度いい具合に、綺麗になったかな。朝食が来るまで私は勉強でもしてようっと」


 私は寝間着の状態で椅子に座り、とても分厚いエルツ工魔学園の問題集を解く。過去の入試問題を二つほどすでに解いており、得点は八八点から九八点を維持している。

 問題集の最後に乗っている資料によると、入試問題の合格者点数は一教科七〇点ほどなので、十分合格できる。まぁ、最後の難しい問題をわざわざ解かないようにしているから、一〇〇点取れていないだけなんだけど……。


「ふふん~、ふふん~、ふふふ~ん」


 私は鼻歌混じりで問題を解き、知識を使えるように頭に少しでも入れる。


 問題がスラスラ解けると言うことは、私の頭よりも問題の方が少し下と言うことだ。もっと難しい問題を解かないと頭は良くならない。なので、たまにはドラグニティ魔法学園の問題を解き、思考を深めている。

 やはり、問題を見比べてみても、ドラグニティ魔法学園の方が断然難しい。始めの方から難しく、後半に連れて難しさが増していく。最後の問題なんて未回答問題を出してくるくらいだ。


「もっと優しくしてくれてもいいのに~。なんて、言っても絶対に簡単にならないから、勉強するしかない!」


 私が部屋で勉強しているとドタドタと何かが走る音が聞こえた。そのまま、私の部屋の扉が爆発したかのように開けられ、何が起こっているのかわからないと言ったような表情のルドラさんが入って来た。


「き、き、き、キララさん! な、な、な、な、何がどうなってこうなってああなったんですか!」


 ルドラさんは白いバスローブを着ており、半裸と言うかほぼ全裸。ベスパはルドラさんの見えてはいけない部分を綺麗に隠している。昨日はお楽しみだったのかな~。なんて。


「クレアさんは可愛かったですか?」


「か、可愛いも何も、私が朝起きたら、クレアがいつの間にか隣で寝てますし、裸ですし、訳がわからないんですけど!」


「クレアさんが起きていないのに、私のところに来ちゃったんですか?」


「え? ま、まあ。こんなことになるのは初めてなので、キララさんが一枚噛んでいると思いまして……」


「とりあえず、部屋に戻ってクレアさんを抱きしめながら起きるのを待ってあげてください。その後、おはようの一言で締めくくるのが男の役割ですよ」


「?」


 ルドラさんは頭に? を浮かべて首をかしげる。どうやら、お酒の弱いルドラさんは昨晩のことをあまり覚えていないらしい。


「あ~、私は見ていませんけど、私の知り合いが見ていたと思うので、ルドラさんにその映像を送ります」


「映像……?」


 ――ベスパ、昨晩のルドラさんとクレアさんの様子は撮ってある?


「はい。何か危険なことが無いかしっかりと監視させておきました。完全に犯罪ですが、記憶が無いルドラさんに見せるのなら丁度いい資料になるかと」


 ――じゃあ、ルドラさんに見せてあげよう。


 私は部屋を出て、ルドラさんのみ、昨晩の映像を見てもらった。ちょっと漏れた声を聴くと何ともお熱いったらありゃしない。


 映像が終わり、私が部屋に戻るとルドラさんが窓から飛び降りようとしていた。


「ちょ、ちょちょ! ルドラさん!」


 私はルドラさんが自殺未遂を犯している状況があまりにも理解できず、バスローブを掴んで引っ張る。


「ま、まさか私があのような行動に出るなんて……。いったい絶対どうしてしまったのでしょうか……。まさか無理やり襲うなんて……」


 どうやらルドラさんはクレアさんを無理やり襲ったように思っていたらしい。


「ルドラさん、残念ながらルドラさんが襲ったんじゃないですよ。クレアさんの方から誘ったんです。なので、同意の上での行為になります。私の指導のおかげでクレアさんはルドラさんを完璧に落としてしまったわけですよ」


「や、やっぱりキララさんが一枚噛んでいたんですね……。でも、そうですか。私が酔った勢いでクレアを襲ったわけじゃないんですね。よかった。でも、出来たら私からお願いしたかった……」


「ルドラさんが待たせ過ぎた結果です。別に今晩でも明日でも、しあさってでも誘えばいいじゃないですか。なんせ夫婦なんですから。私の両親なんて毎晩一緒に寝ていますよ。夫婦なのに別々の部屋で寝るのはちょっと、寂しいと思いませんか?」


「そ、そうですね……。確かに、毎度毎度別々の部屋で寝ていたら不審に思いますよね」


 ルドラさんは起き上がり、はだけたバスローブを元に戻して立ち上がる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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