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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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ルドラさんとクレアさんのなれそめ

 私はイケオジからルドラさんとクレアさんの関係を聞いた。


 よくある親同士が決めた婚約で結婚まで到達した二人らしい。


 クレアさんは昔からおてんばで両親やメイドともども手を焼いていたそうだ。加えて他の男からは女性っぽくないと煙たがれていたと言う。

 ただ、ルドラさんだけは紳士で知的な対応をしたらしく、クレアさんの一目惚れで両親に頼み込み、中級貴族ながら小貴族であるルドラさんとの婚約が決まった。

 話しを聴くに、クレアさんの家の方がルドラさんのマドロフ家よりも位が上。ルドラさんは申し出を断れず、クレアさんの両親は厄介払いができると言うどうもどちらともぎすぎすになりそうな拘わりが実り、今に至るのだそう。


「ほんと、貴族の間柄は面倒ですね。私は無理です」


「はは……。ただ、ラッキーさんほどの美貌なら他の男から引く手あまたでしょう。何なら王家にすら仕えられるかもしれません」


 イケオジは苦笑いを浮かべ、私をほどよく褒めてきた。


「ガッチガチに縛られる王家なんてもっとごめんですよ。私は自由に生きるんです!」


 私は右手を握りしめ、自由を我が手にと言いたげな表情をイケオジに見せる。


「自由ですか……。いいですね……」


 イケオジの少々悲しそうな表情から、何かを感じ、過去に何かあったんだろうなと悟った。左腰にある剣を少し握り、力を込めている。きっと表情の裏にもっと深い感情が渦巻いているのだろう。


 私は深く訊かず、別の質問をした。


「ルドラさんの幼少期の話しを訊いてもいいですか?」


「ルドラ様は優秀でした。特に勉学の才能が秀でており、マドロフ家は安泰だと、もうだいぶ昔から思えてしまうほどの英才ぶりでしたよ」


「へぇ~。やっぱりルドラさんは優秀な方なんですね。さすがドラグニティ魔法学園を出ているだけありますね」


「ドラグニティ魔法学園の卒業というのは、大旦那様、簡単に言えばルドラ様の祖父ですらなしえられなかった偉業です。ルドラ様がギリギリ卒業したと言って学園寮から帰ってなさったときはご両親、侍女、執事ともども、皆が安堵しましたよ。同時にあのルドラ様でもギリギリなのかと恐怖しました」


「はは……。まあ、世界は広いですからね」


「抜きんでて優秀だったルドラ様は幼少のころ、友達が出来ませんでした。そのため、いつもどこか寂しそうにしていたのを覚えています。ただ、クレア様と共に遊んでいる時はとても楽しそうだったので、私はルドラ様は彼女が嫌いではないと思うのですよ」


 イケオジの言う通り、二人の仲は悪くない。ただ、あまりにも進展が無さすぎるから、家の者が勝手に心配しているようだ。


「クレアさんとルドラさんの仲は悪くありません。安心してください。きっかけが無いだけなので、何か刺激を加えてあげればあっという間に後継ぎが生まれるかもしれません。私が溶媒になってあげます」


「溶媒……?」


「あ、いえ。ちょっとした刺激という意味でとらえてください」


「わかりました。えっと、今さらですが、ルドラ様の弟子というのは嘘ですよね?」


「はい。あ、でも完全に嘘という訳でもないです。ルドラさんの観察眼は見習いたいと考えていますし、仕事の手腕も憧れています。ルドラさんほど優秀な商人が身近にいないので、勉強させてもらっているのは事実です」


「そうですか。ラッキーさんも優秀な者のにおいがしますからな。ルドラ様が是非とも友好関係を結んでおきたいお方ということでしょう」


「あ……、一応言っておくとラッキーという名前も嘘です」


「…………。何とも嘘で塗り固められているのですな……」


 イケオジの表情が一瞬固まり、口を開く。


「女の子に加え、私は皆の憧れの的ですからね。仕事上、嘘で塗り固めるのも仕方ありません。本当は嘘をつくのは嫌いなんですけど、自分の身を守るために嘘をつくことは仕方がないことなんです」


 イケオジは首を傾げ、私の発言を理解できていないようだった。


 そうこうしているうちに、私とイケオジは屋敷の別入口にやって来た。


 イケオジが扉を開けると庭具などが置いてあり、仕事部屋か何かなんだろうなと思った。部屋の反対側にもう一つ扉があり、開けると屋敷の通路に繋がっている。土足はやはり慣れないので、うち履きに履き替える。


 イケオジが手をパンパンと叩くと近くにいたメイドさんがやってきた。


「こちらの方を客部屋に案内しなさい」


「かしこまりました。ではこちらに」


「あ、少し待ってください。『ウォーター』」


 私は腰に付いている魔法杖ホルスターから杖を取り出し、詠唱と魔法陣を経由してから水を出す。無詠唱は目立つので行わない。


「手洗いうがいは必要ですよね。執事さんも外から帰ってきた時はしないと駄目ですよ」


「何と、その年で魔法が使えるとは……。やはり優秀な方のようですね」


 私はイケオジに手洗いうがいをしてもらった。その後、メイドさんに連れられて客部屋に連れていかれる。


「こちらが今日、寝泊まりしていただくお部屋になります」


 メイドさんが扉を開くと、広々とした部屋が視界に広がった。

 もう、高級ホテル顔負けの寝室だ。

 大きなベッドにカーテンのようなレースが掛かっているなんて、映画とかでしか見た覚えがない。

 床に汚れはなく、至る所が洗練されている。誰も使っていないのに毎日掃除しているのだろうか。


 壁は白っぽいが温かみがある印象で、天井にシャンデリアっぽい飾り物が吊るされている。どうやら、照明器具のようだ。窓は一番奥に一枚ある。もちろん透明なガラスで出来ており、落下防止のために低めの鉄格子が着けてあった。


 部屋の中にあるのは大きなベッド、手動の大きめの照明器具、棚、丸いテーブル、椅子、花瓶と花、花畑に浮かぶような小屋が描かれている絵画もある。小さな振り子時計が雰囲気をより一層高価にしていた。


「広い……。ここを私が使ってもいいんですか?」


「はい。ご自由にお使いください。朝食と昼食、夕食の際はこの部屋に料理をお運びしますね。あと朝八時頃にシーツの取り換えとお掃除をさせていただきますので、ご了承ください」


「わ、わかりました……」


「寝間着の方はベッドの上に置かれている品をお使いください。私は改めて夕食をお持ちいたしますゆえ、この部屋でおくつろぎください。では失礼いたします」


 メイドさんは私の部屋を出て行き、扉をそっとしめた。


「ひ、ひやっほ~!」


 私はうち履きを脱いで、大きなベッドに飛び込む。フカフカなベッドで眠れる~と思っていたのだが……。


「あだっ!」


 見かけよりもマットレスが硬く、顔面から硬い床に叩きつけられたような気分になった。どうやら、ベッドの台に薄い布地を敷き、シーツを掛けて外見を綺麗に見せているだけだった……。まぁ、ほんの少し柔らかい部分があるだけ実家の元ベッドよりましだが、少し期待していたので残念と言う気持ちが大きい。


「まあ、数日泊まるだけだからいいか……。ベスパ、聞きたいことがあるんだけどいいかな」


「はい、どうされましたか?」


 私は自分のベッドが無いという事態を知り、少し慌てているベスパに話しかける。


「王都にいる正教会やドリミア教会の様子を教えて」


「了解しました。今わかっていることだけをお伝えします。正教会は王都での仕事が多忙で過労故に、多くの街へと逃げるように出張しております。王都の流行病が納まるまで戻ってこないでしょう。ドリミア教会については王都での動きが鈍く、ほぼ認知されていません。正教会内部の派生だと思われます。なので彼らの悪行が世間に知れ渡らないようです。裏で手をちょくちょく引いているようですが……、王都の騎士が優秀なのか、ただの一般人が悪さをしたと思われて捕まっていますね」


「ははははっ! いい気味~! 今回の流行病で力が大分削がれている感じがするね。このまま衰退してくれたらいいけど、そう簡単にいかないか」


「はい。なんせ、正教会は多くの王都民が信仰している宗教ですからね。無くなりはしません。ですが、流行病の発生によって正教会らの抜け目が浮き彫りになったようです。一定数信者が減ったとのこと」


「なるほど……。いい傾向だ。少しでも信仰心が減れば衰退していく。でも、さすがに消えて無くなったりしないし、これからも注意が必要だね」


「はい。十分に注意しておくことが自分の身を守るためにもなります」


 ベスパが高そうな木材に穴を開けようとしたので、私は止める。『転移魔法陣』の中に入っていた木材を取り出し、ベスパの寝床にした。


 私は食事をする前にテーブルにエルツ工魔学園の問題集を開き、勉強道具一式を『転移魔法陣』から取り出して紙に回答を書いていく。家がデカすぎて周りの音が全然聞こえず、集中……できなかった。


「いや! 部屋広すぎて集中できねえ! 孤独すぎる!」


 私は八畳くらいの部屋でよかったのに、二八畳くらいのひろい部屋に入れられてしまったため、今さら部屋を変えてくださいとも言えず、テーブルにかじりついている。


「もう、敷居でも作るか。でも、作ったらまた消さないといけないし……。こんなこと考えている時間も勉強する時間に当てたいのに……」


 私はブツブツ言いながら広い部屋で勉強を再開する。問題集を解いてみると冊子に乗っていた問題と近しい。そのため、めっちゃ難し~とも思わず、スラスラと解けた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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