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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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エルツ工魔学園を見学

 王都の形を簡単に言うと、王城を中心とした城下町が円状に広がり大きな街を形成している。

 王城の北側にドラグニティ魔法学園。南東側にフリジア魔術学園。南西にエルツ工魔学園がある。三つの頂点が丁度同じ距離感にあり、正三角形を作っていた。もう、それだけで三つの学園同士が嫌い合っていると何となくわかる。


 私達は南西にあるエルツ工魔学園に向った。どうやら、王都の南西側は工業地帯になっているらしく、多くの煙突が突き出した建物が多く、器具や魔道具と言ったゴツゴツしい品を売っているお店が多い。


「な、なんか、やっぱり王都ってすごい……」


 そこら中から歯車が回る気か音や、水蒸気が細い鉄管を抜ける甲高い共鳴音などが響き合っており、工場見学のようだった。


 ここら一帯にいる者の多くが男で、筋骨隆々だ。気難しそうな表情の方が多く。話かけづらい雰囲気がある。職人気質なんだろうな。


 私がレクーに乗って移動していると、工場団地から一気に視界が開け、大きな建築物が現れた。先ほどまで空が見えにくかったと言うのもあり、開けた場所に巨大な要塞とでもいうのか、学園の校舎と深い堀、長い橋が見えると気分が上がった。


 建物が水面に浮かんでいるように見えるが、そう言うわけでもなさそうだ。


「あ、あれが、エルツ工魔学園。さすが三大学園、面構えが違うぜ……なんて」


「キララ様、あの大きな橋から入口まで行けるようですけど、どうしますか?」


「エルツ工魔学園は学園内を見て回ってもいいの?」


「ん~、少し見てきますね」


 ベスパはふらふら~っと飛んで行く。大きな壁を飛び越えて学園内を見て戻って来た。


「入っても問題なさそうです。ただ、知識の持ち出しは厳禁のようなので、雰囲気を楽しむ感じですね」


「なるほど、とりあえず中に入ってみよう」


 私は学園内に向ってレクーを走らせる。大きな橋の幅は二〇メートルほどあり、ほぼ道路だった。鉄筋で作ったのか、はたまた木造なのかわからないが、しっかりと掛けられている。

 私が橋を渡り切ると学園の入り口が見えた。大きな正門で、ゴツゴツしい。


 小さな建物が横脇についており、騎士が正門に立っていた。危険人物が学園内に入らないよう、監視がされていた。ベスパは余裕で突破していたので、警備方法を見直した方がいいと思う。


「お、おぉ……。これは何とも大きなバートン……。このようなバートンに乗られる方がいらっしゃると聞いていないのですが……」


 騎士は私が乗っているレクーを見て、たじろいだ。


「えっと、学内を見学したいんですけど可能ですか?」


「見学ですか? なら、書類をお渡しいたしますので必要事項の記入をお願いします」


「わかりました」


 私はレクーを降りて騎士の一人についていき、建物の中に入って椅子に座らされた。その場で書類を書かされる。


「では、こちらに質問などが書いてありますから、しっかりと読んで記入してください。出来る限り記入漏れが無いようお願いします」


「わ、わかりました」


 私は騎士からメークル皮紙を受け取り、質問を呼んで回答していく。


 名前、年齢、性別、などは難なく書ける。ただ、住所を書く欄があり、ちょっと焦る。

 私が住んでいる村の場所は特に名前がついている訳ではないのだ。もう、田舎すぎて困る。名前が無いなら特に記入する必要もないので、空欄にしておく。


 なぜエルツ工魔学園に見学に来たのかという欄には、他の学園との違いをしっかりと理解し、雰囲気を味わってみたかったと記入しておいた。


「なにか持っている資格があればご記入くださいか……。じゃあ、テイマーっと」


 私は埋められるだけ記入し、書き終える。


「出来ました」


「ありがとうございます。確認いたします」


 騎士はメークル皮紙を手に取り、目を通していく。


「一一歳なのにテイマーの資格を持っているなんて中々優秀な方なんですね。住所が空欄ですが、土地名が無い場所にお住まいですか?」


「は、はい。そうです」


「なるほど。テイマーの資格を持っていると言うことは犯罪経歴もないと思われますし、学園内に入っても問題ないでしょう。では、こちらの資料は学園長のもとに届けても構いませんね?」


「はい、別に構いません」


「ありがとうございます。では、学園内を案内いたしますね」


 どうやら騎士の方が私に付いて学園内を案内してくれるそうだ。私一人のために一人の騎士が着くなんて……。


「あ、あの。お金とか払っていませんけど、見学は無料なんですか?」


「はい。見て回っていただくだけなので無料ですよ。丁度お昼時ですし、お金を持っているのなら学食を購入されるのをお勧めします。一流の料理人が作った本格料理から、さっと食べたいときに作ってくれる賄い料理まで幅広くありますからね。学生のための食事なので、もちろん一般よりおやすくなっております」


「じゅるり……」


 私は学食という響きに涎が出てきてしまった。


「では、付いてきてください」


「は、はい」


 私はレクーを厩舎に移動させ、騎士の後ろをついていく。大きな正門を通り、塗装された地面を歩く。


「先ほどの用紙からお名前を拝見しましたが、ラッキーさんとお呼びすればいいですか?」


「は、はい」


「では、ラッキーさん、真正面に見えますのが、本学園の校舎になります。真下にある玄関から中に入ることが可能です」


 騎士は手を校舎の方に向け、わかりやすく話した。建物の見た目は結構新しく、罅割れや色剥げなどが起こっていない。


「エルツ工魔学園は八八年前ほど前に創立した、学園になります。現在の学園長の御父上様が創立なされました」


「へぇ……。そうなんですか」


「では、中に入って見学しましょう」


 騎士は歩き、校舎の玄関に向って歩く。中に入ると下駄箱などは特になく、土足で上がれるようだ。多くの学生が行きかいしており、大量の資料を持って走っている。


「えっと、彼らは何をしているんですか?」


「学生らは、講義ごとに教室が変わります。その都度、必要な資料を持って全力で走るんです。そうしないと間に合わないくらい建物が広いですから、体力が少々必要かもしれません。まあ、どこの学園も同じようなものですけどね」


「なるほど……」


 ――にしても、資料が多いな。何講義分あるんだろうか。前が見えないでしょ。


 私は学生たちの邪魔にならないよう、壁際を歩く。生徒の大半が男で女は今のところ見当たらない。


「すれ違うのは男の学生ばかりですね」


「在学する学生の九割から八割が男ですからね。でも、女子も時おり見受けられますよ。父親が魔道具技師だったりすると、女子でも入学される方が多い気がしますね」


「親の職業だからですか……」


 私の親は牧場で働いているので魔法や工学など、全く精通していない。私が学ぶ必要も無いか。


 私が歩いていると、教室の中で小さな道具を手もとで弄っている学生たちを見つけた。


「学生たちは何をしているんですか?」


「彼らは魔道具の仕組みを理解し、修復、又は新たな道具を作り出すための技術を学んでいます。魔法に加え、工学の高い知識が無ければ魔道具を作ることは不可能。ですが、魔道具がもたらす利益を彼らは知っているのです!」


 騎士さんは熱く語っていた。どうも、オタクっぽい……、親近感がわいてしまうよ。


「へぇ……」


 ――どうしよう、機械に全くと言っていいほど興味が無い。逆にライトは好きそうだな。


 私は騎士さんの後ろを歩き、別の教室に移動した。


「うわぁっ!」


 とある学生が実験に失敗したのか、爆発に巻き込まれ、全身が真っ黒になってしまった。皆は笑い、先生は注意している。どうも、温かい学園生活の風景に見える。


「学生たちの仲は良さそうですね」


「ええ、平民、貴族と関係なく興味がある分野に精通し、知識を高め合うことでお互いの壁は無くなり、いつしか学友として共に成長していくことができる。それが、エルツ工魔学園の醍醐味と言えるでしょう」


「むむむ……」


 ――いいな、こういうの。同じ目標を持つ者が集まり、高め合っている感じ。


 私が綺麗な校舎内を歩いていると、鐘がなった。どうやら、講義が終わった合図のようだ。


 ドドドドっという地響きのような振動が私の体に伝わり、学生が広めの通路を走る。


「な、何が起こっているんですか……」


「彼らは、食堂に走っています。人気の料理はすぐになくなってしまうので、毎日戦場なんですよ」


「はぇ……」


 ――ザッ学園って感じだな。購買で総菜パン争奪戦をするようなものか。


 私は騎士に連れられて食堂にやって来た。物凄く広い。学校の体育館かと思うほどで、テーブル席がほぼ埋まっている。


 入口に品書きが張り出されており、日替わり定食の文字が見えた。一食銀貨一枚。王都で銀貨を使える場所があるんだと勝手に思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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これからもどうぞよろしくお願いします。

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