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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
王都の学園 ~学園の雰囲気を味わいに行っただけなのに編~

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応接室

 ――はは……、皆、喜んでるね。でも、本当にビーはいろんなところに住んでいるんだね。


「街中で緑がある場所にはビーがいると思って頂いて構いません。何なら、地面がある場所でも同じです」


 ベスパは草と地面に指先を向ける。


 ――地面のある場所って、そんなのどこでもじゃ~ん。


 私はビー達から絶対に逃げられないと悟る。なんせ、地中にも生息すると言うのだ。最悪、水の中に逃げるしかないが、私の潜水時間は頑張って二分。魔法で空気を発生させながらならずっと潜水できると思うが、そうなるとビー達もついてくるに違いない。


 ――はぁ……。結局私はどこに行ってもビーに纏わりつかれるのか。人気者は辛いね。


「キララ様の場合は女王だからだと思いますが、普通に多くの虫に好かれているので、人気ものと言うのは変わりありませんね」


 ベスパは辺りを見渡し、花咲爺さんのようにキラキラ光る魔力を庭に住む生き物たちに分け与えていた。

 花が満開になるわけではなく、大量の翅音が空気を揺らす。最悪の歓迎だ。


「まだ夏は遠いのに、もの凄い合唱ですね……。今年の気温が高いからでしょうか」


 ルドラさんは虫たちの翅音を合唱と評するほど聞き入っていた。私からしたら騒音でしかないが、彼からしたら鈴虫の音色程度にしか感じていない。


「はは……。が、合唱なんていいものじゃないですよ」


「わ~! キララ女王様万歳! キララ女王様万歳っ!」


 大量の虫達は私に向って叫ぶ。


「キララ女王様のためにせっせと働け!」


 多くの虫が声を合わせて叫ぶ。


「せっせっせっと、働け働け働け働け!」


 虫の声に合わせるように、別の虫が何匹も叫ぶ。

 

 どこの独裁国家だと言うくらい女王のために死力を尽くして虫達が働いていた。


「うんうん、いい心がけです。さすがキララ様の魔力。皆さんを一瞬にして社畜に変えてしまいましたね」


 ベスパは両手を組み、虫たちの働きっぷりをしっかりと見ていた。


 ――私、社畜にするような魔力をあげた覚えがないんだけど。


「彼らにとって働けると言うことは何よりもうれしいことなのですよ。魔力がある限り寿命が尽きるまで働き続けられるなんて、彼らにとっては本望です。多くの同種を残し、キララ様のために魔力に変わる。何とも素晴らしい一生ではありませんか!」


 ベスパは両手を広げて翅をブンブンと動かす。もう、働いている者が人間だったら独裁政治と言って弾圧されるのが目に見えている政策だが、相手は虫。どれだけ働いても働いても文句の一つも言わず、死ぬまで働く。

 それが彼らの一生なのだ。私がいようといまいと変わらない。だから、文句なんて言う訳が無い。


 ――はぁ、少しくらい休みも入れてあげないと駄目だよ。


「おお、何と……。キララ様から直々に一日休んでもいいと言うお許しが出ました。一生に一度の休みをどのように過ごすのか、あなた達でしっかりと考えなさい」


 ベスパは庭にいる虫たちに魔力で伝える。すると、砂嵐かと思うくらいの虫達が舞い上がり、喜んだ。

 

 この場にいた多くの者達が驚き、鼻と耳を塞ぐ。そうしないと虫たちが入ってくる可能性があったのだろう。


「本当に異常な数の虫でしたね……。ビーばかりでしたが、ビー柱が出来る時期でもないですよ」


「はは……、すみません」


 私はルドラさんに一応謝っておきく。


 私たちは長い道を移動し、大きな屋敷の前に到着した。もう、学校の校舎かよと思うくらい大きい。さすが商人の貴族。お金持ちだ。


 家の扉の前に立っていたのは二名のメイドさん。もう、人形かと思うほど止まっていた。


 ルドラさんがバートン車を止めると、メイドたちが階段を降りてやってくる。すると、どこにいたのか、他の仕事をしていたメイドさん達も集まって来た。


「お帰りなさいませ、ルドラ様」


 白と黒を基調としたよく見るメイド服を着た方達がルドラさんに向って綺麗に整列し、頭を下げる。軍隊かよと思ったが、これだけのメイドさんを従えられているのも凄い……。


「ただいま。えっと、まず、この子は丁重におもてなししてあげてね」


 ルドラさんは私に手を差し向け、メイドさんにお願いする。


「かしこまりました。では、お客様。こちらにお越しください」


 一人のメイドさんが、私の両脇に手を入れて荷台からおろしてくれた。そのまま、私の前を歩いていつの間にか開いている扉に向かう。


「じゃあ、ラッキー君。少しの間、家の中で待っていてくれるかな」


 ルドラさんの話口調がため口になり、私の名前がラッキー君になっていた。

 きっと貴族として自分の方が位が上だと言いたいのだろう。ま、実家で下手に出ていたら何を思われるかわからない。ルドラさんの意図にしっかりと乗っていく。


「は、はい。わかりました!」


 私は美青年っぽい声を出し、某歌劇団の男役顔負けの演技を目指す。


 ――レクー、出来るだけ大人しく、周りの人の話を聞いてね。


「わかりました」


 私はレクーに念話で伝え、ルドラさんと共に移動させた。

 その後、メイドさんを追って一八段ほどある低い階段を上り、入口に向かう。建物は白が基調で、ホワイトハウスとまではいかないが、西洋の屋敷と言った感じ。映画のセットでしか見た覚えが無く、触った感じ、全て大理石だろうか。


「お客様。現在、王都にて流行病が蔓延しておりますゆえ、綺麗な水で手洗いとうがいの方をよろしくお願いしたい致します」


 メイドの方が、銀製の桶と水差し、ガラスのコップを持って玄関に立っていた。どれもこれも高そう。ガラスなんて見た覚えがないくらい透明で、クリアガラスに間違いない。専門の職人が作っているのだろう。形もワイングラスのようで綺麗だった。


 私はまず、石鹸を受け取り、泡立てる。その後、銀の容器に入っている水で綺麗に洗い落した。そのまま、グラスを持ち、うがいをして銀の桶に口から水を出す。


「ん? 固形石鹸……。なんか、この石鹸、真っ白で珍しいですね。こんな綺麗な石鹸は久々に見た気がします」


「マドロフ商会の商品にございます。今回の流行病に伴い、多くの街や村に普及しましたゆえ、目新しいかもしれませんね」


 ――マドロフ商会。ルドラさんの家名か。ということは、ルドラさんの親会社。でも、魔法が主体の世界で石鹸なんて売ったら正教会が黙っていないんじゃ……。


「えっと、よく石鹸なんて普及出来ましたね。正教会の方達が黙っていなかったでしょう」


「ええ、大変揉めたと伺っております。ただ、あまりの感染者の数に歯止めが利かず、国王自ら判断いたしました。手洗いうがいなど、一般に普及していませんでしたが、とある街医者の考案で全面的に行われるようになったそうですよ。そのおかげで少しずつではありますが、流行病の終息が近づいております」


 ――ひぇ、街医者って絶対リーズさんだよ。というか王様じきじきに広げろって、さすが石鹸、化学の結晶だね。この世界では錬金術って言うのかな。そこらへんは良くわからん。


「では、隣の者がお客様を応接室にご案内いたします」


 道具を持ったメイドさんは頭を下げ、広い家の中に消えていく。


「では、お客様。私についてきてください」


 家の中でも土足でいいらしいが、綺麗な絨毯が敷いてあり土を付けるのが心苦しいので、ベスパにお願いしてうち履きを作ってもらった。靴を履き替えてメイドさんの後ろを歩く。


 ――ひやぁ……。ひろぉ~。なにここ、トンネルかよってくらい通路の空間が広いんだけど。どこもかしこも、いろんな品が飾ってあるし、絶対に高いよね。絵に、ツボに、ガラス細工。こんなところ、普通に歩けないよ。


 私はガチガチになりながら歩いてく。五〇メートルほど移動してメイドさんが立ち止まった。どうやら、応接室に到着したらしい。


「こちらが応接室になります。すぐ、他のメイドがお茶をお持ちいたしますので、部屋の中でおくつろぎください」


 メイドさんはペコリとお辞儀をする。すると、扉が内側から開き、メイドさんが私を部屋に運び入れた。


 ――いや! いったい何人のメイドさんがいるんだよ! 多すぎだろ! もう、八人以上のメイドさんがいることがわかった。月収が金貨一〇〇くらいあると考えてすでに金貨八〇〇枚。メイドさんを雇うだけでもお金かかりすぎる。それをまかなえてしまうだけの財力、これで小貴族なのか……。でも、商人の家系だからって言うのもあるか。


 私は頭の中で突っ込み、自分で回収する。一人乗り突っ込み。相手がいないと悲しいな。


 私が通された部屋にあったのは金の淵と赤っぽい布地のソファーがローテーブルを挟んで二台あり、高級感がすごい。

 花瓶に生けてある花もしおれておらず、今朝開花しましたと言わんばかりに凛としていた。

 扉からは外の庭園が見え、とても綺麗な景色になっており日当たりも良好。壁はざらざらとした材質の塗料を使用しており、黄ばんだ汚れ一つない。


「はひょ~、とんでもない部屋だべ……」


 私は田舎者を演出するため、ちょっと語尾を変えてみたが、何の笑いも生まれず、メイドさんは氷のような表情をしている。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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