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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
流行病と聖典式 ~街で公演ライブ編~

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王都に向かう準備

「なに? 私が怖がりじゃないと思ってたの?」


「い、いやぁ……。ビーに対しては過剰に怖がっているな~とは思っていたけど、普通に怖がりだったの?」


「そうだよ。私は怖がりなの。何も感じない木偶人形じゃない。だから、何をするにしても怖い。仕事だって上手くいくかわからなくて怖いし、身震いしそうなときもある。でも、一歩踏み出して怖さを打ち消してるの。だから、ライトから見たら、私は怖がりじゃないと映るかもね」


「そんなこと言ったら、皆、怖がりだよ。僕だって怖いことは沢山ある。でも、姉さんみたく堂々と突き進んでやろうと思ったら怖くなくなる。でも、よかった。姉さんも普通の人間だったんだね」


「当たり前でしょ。私はどこからどう見ても人間だよ。それでね……。さっきの話なんだけど……」


「姉さんが王都に行っている間、僕が仕事を請け負えばいいんだね」


「え、すごいね。私のお願いを先読みしたの?」


「姉さんが毎日毎日何か言いたそうな表情をしているのは知ってた」


「そ、そうなんだ。はは……。なら、もっと早くにお願いしておけばよかったな」


「姉さんが辛いと感じている時に、僕を頼ってくれないかな~ってずっと思ってた。だから、僕は姉さんの力になるよ。一ヶ月くらい、姉さんの代わりをしてみせるさ」


 ライトは泣いていた表情からは想像もできないほどカッコいい顏をする。そんな表情をデイジーちゃんに見せればイチコロなのにな~、なんて姉目線で見ているわけだけど……、ほんとありがたいな。


 私はライトに抱き着く。


「ありがとう、ライト。私、人に頼るのが苦手だからさ、全部自分の力で請け負おうとしちゃうの。でも、たまにはこうやって力を貸してもらうのも悪くないよね……」


「うん。姉さんなら、どんなところに行っても、人の力を借りられる。皆姉さんが大好きだからね」


 私はライトにお願いし、四月の間、仕事を変わってもらうことになった。ほんと、よくできた弟だよ。


 私は家に到着しだい、出発の準備をした。


 私が聖典式の宴の後、ぶっ倒れて夢で見た駄女神を信じるならば、今、正教会の力は分散している。


 ルークス王国の王都のみならず、多くの街や村で流行病が増えたおかげで聖職者の出張が相次いでいるのだ。

 それだけで、私への視線も少なくなる。


 ドリミア教会の方は音沙汰がなく、話にも上がらない。ブラックベアー事件の熱が冷めるまで黙りこくるつもりだろう。なら、表立って行動してこないはずだ。私が王都を訪問できる好機は今しかない。そう思い、準備をすぐに始めたのだ。


 私は革製のボンサックに下着や服を詰め込んでいた。魔法を使えば大量の服は必要ないことに気づき、必要最低限の品だけ持っていく。


「ベスパ、荷台って必要かな?」


「そうですね。荷台があれば便利だと思いますよ。宿替わりにしたり、物を運んだりできます。盗賊に狙われる可能性は上がりますけどね」


 ベスパは盗賊のような悪い顔をする。


「まぁ、宿はベスパに作ってもらえるし、物も転移魔法陣に入れれば持ち運べる。無駄に盗賊に出くわすのは避けたいな。今回は荷台を持って行く必要はないか。万が一必要ならベスパに作ってもらえばいいし」


「ま、王都で数日滞在するだけですし、無駄な物はなるべく置いて行った方が得策でしょう。あと、レクーさんで行くのは少し怖いですね」


「あぁ……、大きいし真っ白だし、そんなバートンはほぼいないから目立つもんね。なら、どうするの?」


「一番いい方法はルドラさんに連れて行ってもらうことです。ルドラさんの弟子とか、助手とか言っておけば、王都内に難なく入れます」


「なるほど……。ルドラさんの弟子か。悪くないね。そうなると、女の子の格好は不自然だ。男装しないといけないな」


「キララ様の男装なら、全く違和感がありませんからね」


 ベスパは私の胸を見て言ってきた。


「悪かったね。貧相な体で。でもまぁ、私も男装は似合うと自負してるから、怒らないよ」


 私は長い茶髪を束ね、後頭部の下あたりで結び、ポニーテールにする。これだけで、顔がしゅっとして、男の子ぽくなった。ライトに顔が似ているので、もうイケメンだ。


 私はチノパンのような脚が細い長ズボンを履き、長袖の白いシャツを着て上着代わりのローブを羽織る。すると、もう男の子だ。

 服装を整えれば声変わり前の男子にしか見えなかった。

 これで、股間を触られない限り、きっと誰にも女の子だとは気づかれないだろう。


 私は鏡の前で笑顔をする。一気に女の子になってしまった。笑顔をするだけで、少々可愛すぎるのが問題になるとは……。


「この格好で、何もおかしくないか、シャインに見てもらおうかな~」


 私は隣の部屋にいるシャインに今の服装を見てもらおうと思った。シャインの部屋の扉を叩き、中に入る。


「へ……、だ、誰……? 超カッコいいんですけど……」


 シャインは私の姿をみて眼を丸くしていた。実の妹に誰かわからないくらい変装が完璧に出来ているようだ。


「誰? じゃないよ。私、私だって。ほら、私だよ」


 ――おれおれ詐欺みたいになってるな。今の私。


「もしかしてお姉ちゃん……」


「そう。シャインのお姉ちゃんだよ」


「う、嘘……」


 シャインは私に近づいてきて体の周りを見て回った。最後に、私の胸に手を当てて驚く。


「お、お姉ちゃんは、本当にお姉ちゃんなの……?」


「どういう意味……」


 シャインは本気で疑っていた。どうやら、私の変装が完璧すぎて性別すら奪われてしまったらしい。


「やあ、麗しき、お嬢さん。今夜は私と一緒に踊りませんか」


 私はシャインの手を取って肩を持つ。


「きゃっ……。そ、そんな……。お姉ちゃんなのに超カッコいい……」


 シャインは珍しく乙女の表情を浮かべていた。


 ――男勝りのシャインがイケメンに動揺した表情を浮かべちゃってる。お姉ちゃん、ドキドキしちゃうよ。


 私は男装に少しはまりそうになり、いかんいかんと頭を振ってシャインから離れる。


「んんっ、では、お嬢さん。今日はありがとうございました」


 私はシャインに頭を下げて部屋を出ようとする。


「も、もうちょっと一緒にいて……ほしいな」


 シャインはブラジャーを着けていないのか、薄手の内着を着た状態で私に抱き着いてきた。首回りから見える、谷間が八歳児とは思えない。体にくっ付いているムニムニな脂肪はまさしく凶器。私の心臓を容赦なくえぐり取って来た。


「しゃ、シャイン……。また一段と大きくなったんじゃない……」


「うぅ……、そ、そんなこと言わないでよ……。気にしてるんだから」


 シャインは私から離れ、自身の胸に手を当てて下乳から持ち上げたり、揉んだりしていた。どうも違和感があるらしく、自分の胸とは思えないそう。


「はぁ……、ナイトブラしないと……」


 シャインは億劫だな……と言いたそうに俯き、上着を脱いで吐出した胸部を私に見せる。もちろん自分から見せようとはせず、両手で少し隠そうとしながらしゃがみ、胸の綺麗な形を保つためのナイトブラを付ける。ベスパに作らせているので、とても馴染むはずなのだが、億劫になると言うことは辛いのだろうか。


「シャイン、ブラジャーの大きさが合わないのなら、気にせずに言ってね。ストレスは体に悪いから、なるべくあった下着を付けないとしっかりと眠れないよ」


「そうなの? じゃあ、もう少し大きなナイトブラが欲しい。最近、寝苦しくて辛かったの」


「わかった」


 ――ベスパ。今のシャインに合った下着を作ってきて。


「了解です」


 ベスパはシャインの胸の為だけに作った黒っぽい下着を持ってきた。


「はい、シャイン。こっちのほうが寝苦しくないと思う。一度つけてみて」


「う、うん……。ありがとう、お姉ちゃん」


 シャインは下着を着け、少し笑った。どうやら、相当楽になったようだ。


「やっぱりすごい……。胸が一気に軽くなったよ。全然痛くないし、すごく快適」


 シャインの胸部には立派な谷間が生まれており、子どもの顔と体型に似合わない。まぁ、体が追って成長すると言うことかな。私の成長期は始まっているはずなのに、未だ男と間違われそうなほどの絶壁……。


「シャイン、体が女でも男みたいに生きてもいいからね。世間がどう言おうが、私は気にしない。ありのままのシャインでいた方が、絶対に楽しい人生になる」


「わ、私は別に男みたいに生きたいとは思ってないよ。結婚だってしたいし、赤ちゃんだって育ててみたい。スカートとか、フリフリの服を着るのも毎回じゃなければ楽しいなって思う。まぁ、男に負けるって言うのが一番悔しいから、張り合っているだけなんだけど……、頑張っている私は誇らしいから好き」


「はは、良いね。私もシャインの男らしい所、大好きだよ」


 私はシャインとギュッと抱き合って日々のストレスを少々解消した。やっぱりおっぱいは良い。女の私でもストレスが解かされている気がする……。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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