デイジーちゃんの村がおかしい・・・
「あ…分かれ道だ、私たちの村はここを左に行くんだけど…デイジーちゃんの村はどっちに曲がるの?」
「え!キララさんの住んでる場所って街の外だったんですか!すごく大きなバートンに乗ってるから街に住んでる、お金持ちの人だと思ってました」
「え、言ってなかった?私の家はここを左に曲がった先にある村だよ。そこでこのレクーたちをお世話してたの。私の夢を叶えるためにちょっと街まで用があってね…」
「そ、そうだったんですか。私の村はここを右に行った先にあります」
「右ね、分かった。レクー右に行くよ」
「了解!」
――ベスパは周りに危険な魔物がいないか警戒しておいて。
「キララ様、何故念話なのですか?」
――またデイジーちゃんに独り言してるって思われたら恥ずかしいでしょ。
「まぁ、キララ様がそういうなら別にいいのですが、魔物の警戒ですね。お任せくださいウサギ1匹見逃したりしません!」
――そう、いつにもまして頼もしいね。
「勿論です!キララ様を守るのが私の役目ですから」
ベスパの言った通り、その後動物の1匹すら見当たらなかった。いや…動物だけじゃない、虫の1匹も見当たらなかった。
――ほんとに、何もいない…ベスパやるじゃん!
「いえ…キララ様…。私は何もしていません…そもそも、この辺りに動物らしき生物が見当たりません。こんなこと…あり得ませんよ、明らかにおかしいです!」
――え…そうなの
どうやら、この状況はベスパが追い払っているわけではないらしい…。
――どうしてこんなに何もいないんだろう…デイジーちゃんの村に何かあった事と関係しているのかな…。
「あ!見えてきました。私の住んでいるネ―ド村です!」
――多くの家が建てられている…家の大きさ的に私の村と同じくらいの広さだろうか…。
村の近くまで行くと、木で作られた簡単な柵が辺りを囲っている。
「ここからじゃ入れないな…」
「キララさん、入口はあっちです」
私とレクーはデイジーちゃんが指をさす方向に向かう。
「あ…あった、でもこれは…入るかな…」
レクーがギリギリ通れるか通れないかというほどの入り口を発見した。
私はレクーから降りると、柵の入り口を見に行く。
「閉められてる…デイジーちゃんが来たときは開いていたの?」
「はい…、いつもお爺ちゃんが朝この入口を開けてくれるんです…。帰ってきた時には、いつも入口にカギが掛けられていので、朝と同じようにお爺ちゃんが開けてくれるんですけど…。今日はここに居ないみたい…何かあったのかな」
「仕方ないね…」
私は近くで拾った木の枝を持ってカギに向ける。
『ファイア!!』
「!」
カギが燃え始め、『ファイア』によって熱せられた鉄がカタカタと音を鳴らす。
「レクー後はお願いできる?」
「え?僕は何をすれば…」
「この入り口を塞いでる柵を蹴り飛ばしてほしいんだ」
「キララさんがそう言うなら…」
レクーは一度後ろを向き、思いっきり後ろ脚を蹴り上げ、入口の柵に上手く当てる。
『ドカン!』
という破壊音と共に壊された柵の入り口が宙に舞っている。
次第に地面へと衝突し、耐えきれなかったのか、それともすでに破壊されていたのかは分からないが、衝突した衝撃で木々が散乱した。
『ファイア』によって熱せられたカギが脆くなり、レクーの蹴りで簡単にぶち壊すことが出来たのだ。
「す…すごい、キララさんって魔法が使えたんですね」
「まぁ、ちょっとだけどね。よし、まずお爺ちゃんの様子を見に行こう。もしかしたら、大変なことになってるかも」
「うん、お爺ちゃんの家はあっちだよ!」
私はレクーにもう一度乗り。
デイジーちゃんの指示に従って走る。
「ここだよ!」
私はレクーから降り、デイジーちゃんもレクーから降ろす。
「お爺ちゃん!!」
デイジーちゃんはレクーから降ろしたとたんに走り出した。
「デイジーか…すまんな、動けんくなっちまって…カギを開けてやれんかった」
「ううん、大丈夫。お爺ちゃんが無事でよかった」
――このお爺ちゃん…相当弱ってる、ガリガリすぎでしょ。よくそんな体でまだ倒れないでいれるの。普通気を失っててもおかしくなさそうなのに…。
「デイジーちゃん!デイジーちゃんのお母さんと弟君は何処にいるの、早くいかないと」
「うん!お爺ちゃん、ちょっと待ってて。私、お母さんの所に行ってくる」
「ああ、気を付けて行っておいで」
――ベスパ…お皿作れる?水を入れられるようなお皿。今すぐに
「は、はい!今すぐに」
ベスパは、私の足元にいつもみたく運んでくる。
羽音的にいつもみたいな威圧感が無い…。
――『ビー』達…?あれ…なんか少ない気がする…。
『ビー』達が去って行った後、地面に残された丁度いいお皿を拾う。
「うん…これなら大丈夫そう」
私はレクーに付けられているサイドバッグから、白パンを取り出すと、今作ったお皿にちぎって入れる。
サイドバックから持って来ていた革製の水筒を取り出し、水をお皿に灌ぐ。
本当は火に掛けたかったのだが…ベスパの作ったものは火に恐ろしく弱いため、火で熱することが出来ない。
その為、ただパンを水で浸しただけの簡単なパン粥を作った。
パン粥の見た目は美味しそうと口が裂けても言えそうにないが…何も食べないよりはましだろう。
お爺さんの家にあった、木製スプーンとパン粥の入ったお皿をお爺さんに手渡す。
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