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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
流行病と聖典式 ~街で公演ライブ編~

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キラキラ・キララ。野外ライブ。聖典式公演

 私は丁度誰もいない教会の中で歌と振り付けの再確認をする。


 子供の体で一時間もライブが出来るだろうか……。ダンスしながら歌っていたら、ずっと全力疾走をしている状態に近い。

 体力は増えたけど、辛いのは変わりない。でも、だからこそやるんだ。途中が辛くても周りが笑顔になれば全部吹っ飛ぶ。


「ベスパ、衣装の方は大丈夫?」


「はい。ばっちりです。大きさや数、着付け、全て完璧に近いです。あとはキララ様の気持ちしだいかと」


 ベスパは凛々しい表情を浮かべながら言う。


「ふぅ……。気持ちなんてとっくの昔にできてるよ」


 私は教会を出て舞台の方に向かう。


 時刻は午後三時三〇分。舞台前の雰囲気は最高潮を過ぎたころあい。

 少し静かになり、何か起爆剤を欲している時間帯、そんな雰囲気が醸し出されており、ころあいだと思った。ただ、問題が派生した。


「キララ様、アレス王子の奥さんとお子さんが騎士団の基地を出ました。女騎士達も共に移動しています。バートン車の移動経路からして目的地は教会かと……」


 ベスパは私の脳内に話しかけてくる。


「えぇ……。この時間帯でアレス王子の奥さんと子供が来るの……。困るな」


「どうやら、娘がぐずり、暇つぶしにくるそうです。変装もしているので他の人には見わけが付かないかと思われます」


「お忍びか。ま、それなら問題ないのかな。奥さんと子供も観客だと思えばいいか」


 私は舞台裏に移動していた。すでに出て行けるのだが……、どうせならアレス王子の奥さんと子供が到着したあとに公演を開始しよう。


「ベスパ、全員にビー通信」


「了解です」


 ベスパの指示によってビー達がライトやシャイン、お父さん、お母さん、子供達と言った知り合いに向って行く。


「あーあー、聞こえますか~?」


「聞こえるよ、姉さん。どうしたの?」


 私はライトからの応答を得た。


「もう少しでルークス王国の第一王子の奥さんとお子さんが会場内に入られます。失礼のないように対応してくださ~い」


「は!」


 全員の声が反響し、耳が痛くなった。


「ちょ! 姉さん、どういう意味!」


 ライトは大声で私に聞いてくる。他の人も全員が口早に話しており、説明するのが面倒だった私は答えた。


「皆は今のまま普通にしていればいい。全員に分け隔てなく接していれば何も変に思われないよ。私が無駄な情報を与えちゃったみたいだからごめんね。あと、もうそろそろ集中するから、誰も舞台に近づかないように」


 私はビー通信を切り、全員との連絡手段を立つ。


「ふぅ……。これで皆がさぼったりはしなくなったでしょ。気を引き締めてくれるはずだから、私も集中し直さないとね」


 私は準備体操をするように体を動かして瞑想をする。その都度魔力が増えていくのは面倒だが、今から大量の魔力を使うので問題ない。


「じゃあ、ベスパ。ビー達の配置をよろしく」


「了解です。明りの担当、音声を拾う担当を私達で行います。加えて援助係の移動も私達が行いますからキララ様はなるべく予定通りに動いてください。ま、私も機転を利かせて動きますからあまり心配なさらぬように」


「うん、わかってる。はぁ~。こんな大勢の前で歌って踊るなんて……。大事になってしまったな~。でも、たった一時間だ。踊り切って見せる」


 私が準備を進めていると天幕の隙間から明らかに全身の輝きが他の人と違う人間を見つけた。魔力が違うのか、人柄が違うのか、はたまた住む世界が違うのか……。もう、遠目からでも輝きを感じ取れた。


 ――この前見たアレス王子の奥さんと娘さんだ。服装が庶民になってるけど、育ちの良さが隠しきれてないよ……。大人の人達は酔っぱらって気づいてないっぽい。でも、皆は気づいただろうな。って、今は他の人の心配をしている場合じゃない。気を引き締めろ、キララ。


 私は両手で頬をバシバシと叩き、気合いを入れる。


「ふぅ……、良い緊張感。この感覚、懐かしいな。でも、大丈夫。私なら大丈夫。出来る、絶対に出来る」


 現在の時刻は午後四時〇〇分。予定通りだ。


 私は普通の衣装というか、いつもの服装に着替えた。つぎはぎだらけの白い長そでとボロボロのオーバーオルに、革靴を履いている状態で舞台袖から舞台の中央に向って歩いていく。


「みなさ~ん、こんにちわ~!」


 私は両手を頭上に持ち上げて大きく振る。そのまま中央に到着した。ビーが私の声を受け取り、音を増幅させて会場の周りに停止している他のビー達に伝え、音を全方向から発生させる。


「………………」


 会場の皆さんは挨拶を私に返してくれなかった。ま、いきなり知らない少女が出てきて挨拶されても困るか。


 私の知り合いの人達ですら、あっけにとられて声を出せていなかった。一人くらい声を上げてくれると思ったんだけどな。でもまぁ、想定内。


「あれあれ~? 私の声が聞こえなかったのかな? もう一回言うよ~、こんにちわ~!」


 私は両手を口元に持ってきて大きな声を出す。


「こ、こんにちわ~」


 会場の人々があいさつをちらほらと返してくれた。


「う~ん、元気が足りないな~。皆、こんにちは~!」


 私の目の前は人だらけ。どこを見ても人、時おり獣族の愛らしい耳が見えるが、ほぼ人だった。なので、ルークス語で話せば絶対理解できるはずだ。


「こんにちわ~!」


 会場の人達は結構大きな声を出し、挨拶を返してくれた。


「うん! 皆、元気だね~! 初めましての方は初めまして。知り合いの方はこんにちは。私の芸名はキラキラ・キララ。よろしくね~!」


 私は以前の芸名をそのまま使うことにした。なんせ、今の私と相性が完璧だから。


「よ、よろしくね~!」


 会場の皆さんは私に乗って来た。


「ははっ! 皆、ありがとう~! 挨拶も済んだことだし、私がどんなことをするのかわからない人ばっかりだと思うけど、安心してね。す~っごく楽しい時間にしてみせるから。今日はね、皆も知っての通り、聖典式。一八〇人の新しい門出にやってきたの~。スキルを貰った皆、こんにちわ~!」


「こ、こんにちは~!」


 一八〇人の子供達は私に大きな声で挨拶を返してくれた。


「おぉ~。すごい、元気いっぱいだ~。私も、皆の元気に負けていられないね! じゃあ、早速一曲目、行っちゃうよ!」


 私が人差し指を天に突きあげると舞台の明りが消える。その間に天幕が下がってきて私の体を隠した。私はネアちゃん達によって早着替えさせられ、綺麗なアイドルの衣装を身にまとう。


 私の記憶から思い起こされている挿入歌をビー達に奏でさせる。どうやら羽を擦り合わせて近しい音を立てているようだ。


 私が小さな声で歌い始めると、天幕が上がり、舞台の明りが少しずつ明るくなっていく。天幕の下から差し込む光の量は陽光にも負けないほどで、眩しいったらありゃしない。


 歌い出しを歌い終わると、天幕が一気に上がる。


「みんな~! キララだよ~! 今日は楽しんで行ってね!」


「うわっ! 可愛いい!」


 会場の人々は私の衣装の変化に驚き、大きな声を出す。


 一曲目、楽しいリズムの曲調で会場を盛り上げる。始めのつかみとしては上々。盛上りすぎるのは少し押さえたいが、出来るなら、全員がこっちを向いてほしい。


「あ、あれが嬢ちゃんなのか……」


「お、オリーザさん、どう見てもキララちゃんですよ……」


 パン屋のオリーザさんとコロネさん夫婦は私の姿を見て眼を大きく開いていた。


「き、キララちゃん……。可愛い~! きゃー! 可愛すぎる~! こっち向いて~!」


 喫茶店を経営しているカロネさんは私の姿を見て大興奮していた。両手を振って私の方に声援を送ってくれる。


「ははっ。いえいっ!」


 私はファンサービスを忘れない。曲の合間をすり抜けて私を応援してくれる人たちに一二〇点の笑顔を見せる。


「キャああああっつ!」


 カロネさんは恐怖に似た歓喜の奇声を放ち、両手をブンブン振っていた。


 一曲目は多くの人の心をキララと言う人物にくぎ付けにさせた。もう、キララを見た者は逃がさない。全員、キララの虜にしてやんよ。


「はぁ、はぁ、はぁ……。皆~、楽しんでくれたかな~。曲名は『キララ煌めき』。皆の楽しい気持ちを更に高めるために歌ったよ~! 楽しかった人は手をあげて~!」


 一曲目は踊りよりも歌が主本なので、息切れだけで済んでいる。


「は~い!」


 会場の八割の人々が手を上げ、返事をした。


「すごいすごい~! 皆、楽しんでくれたんだ~。キララ、す~っごく嬉しい。ありがとう~! じゃあ、二曲目に行っちゃうね~」


 八色に光っていた舞台の明りがまたもや消え、天幕がおりてくる。その間に衣装を着替えた。


 二曲目は踊も結構行う。そのため、レザージャケットにホットパンツと言った少々ロックバンド感が強い衣装だ。


 私が着替え終え、天幕が上がると、赤と黄色の光が照射される。危険色、ここで多くの人を私にくぎ付けにさせるのだ。


「さぁ……。二曲目を始めようか。皆! 盛り上がって行こう!」


「おおおおおお~!」


 会場の人々は光り輝く光線を見ながら、声を上げ、私の姿に釘付けになっていた。


 後方からビー達が出している大きな音が聞こえる。そのせいで身の毛がよだつ思いだが、気持ちを引き締めるにはちょうどいい。

 早い曲調の歌を皆に聞いてもらう訳だが、歌詞の中にこの世界では知らない単語が入っている。そう言った単語はこっちの世界に合うように事前に書き換えていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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