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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
流行病と聖典式 ~街で公演ライブ編~

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牽制動作が出来たなら

 ――懐かしい。自衛隊体験とか言う企画で痴漢や不審者からの防御方法を教えてもらったな……。筋がいいとか言われて楽しかったっけ。


「キララさん、本当にナイフで戦うんですか? 相手はシャインさんですよ」


 ガンマ君はおどおどして聞いてきた。そりゃあ、シャインの剣戟を間近で見ているガンマ君なら、シャインの強さをよく知っているだろう。私だって、ナイフ一本でシャインに勝てるとは思わない。


「まぁ、ナイフだけを使う訳じゃないから。安心してよ」


「そ、そうですか……」


「よ~し、お姉ちゃんから一本取るぞ~!」


 シャインは剣を構え、土砂が後方に爆ぜるような踏み込みで迫ってくる。まだ開始の合図を出していないのに勝手に始められた。

 もう目の前まで迫っている。やはりとんでもなく早い。


 でも、シャインの弱点を知っていれば……。


「ほっ!」


 私はシャインの踏み出しと共に、右手の平をタイミングよく前に押し出していた。すると突き出していた手の平にシャインの顎が当たった。


「くっ!」


 体の重心を変えられたシャインの体は脚が浮く。どんなに力が強い生き物でも、空中での移動は不可能。でも相手はシャインだから、起点を利かせてくるのはわかっていた。


「おらああっ!」


 シャインは木剣を地面に突き刺して力点を無理やり作った。そのおかげで空中でも体を動かすことができ、私から距離を取る。


「シャイン、加速するときに相手との距離を一気に詰めすぎる癖が直ってないね。今、ナイフを持っていたら喉に突き刺さってるよ」


「ほんと、優しいお姉ちゃん……。そんな大切なことを敵に教えてくれるんだもん」


 シャインは稲妻の如く、ジグザクに距離を詰めてくる。私の言った助言が効いているようだ。


 ――狙ってくるのは正面か、後方か、はたまた死角か……。でも、攻撃が来るとわかっているのなら、あわてず騒がず、じっと待つ。体に触れさえすれば投げられる。


「ふっ!」


 シャインは私との間合いを詰め、真正面で剣を振り上げた。


「よっ!」


 私はナイフの刃で剣の軌道を少しだけ変える。すると剣が空中を切った。ざっば~んと言う大きな水音がして、川の水がまたもやしぶいたのだとわかる。

 振り切られたシャインの手首を掴み、くるっと回すと彼女の体は反転する。


「うわっ!」


 私はシャインを地面に叩きつけ、ナイフを首筋にあてた。


「うぅ……。参りました……」


「ふふ~。まだまだ負けんよ~。対人ならそこそこ動けるんだからね~」


「す、すごい……。あのシャインさんをササっと……倒した」


 ガンマ君は目を輝かせながら、私を見る。そんな目で見られても困るのだけど……。


「はぁ~。やっぱりお姉ちゃんはナイフを使ったほうが良いよ。その方が無駄な隙を作らないし、私が攻撃してもカウンターで全部防がれちゃう。私を知っているお姉ちゃんだからこそ、勝てない」


「逆だよ。シャイン。私はシャインを知っているから、どういう作戦で戦えば勝てるのかって想像できるの。そんな落ち込まないで」


「でも……、私の攻撃、全部読まれちゃった」


「シャインは一回目に挑発された。その後、すぐに指摘を反映させて攻撃してきた。すでに素直すぎる攻撃だよね。だから無駄なフェイントはしてこないと思ったし、剣に頼り過ぎている感も強い。だから手を封じられた時にすぐに蹴り出せばよかったし、私の手を振り払ってもよかった。ガチガチになりすぎだよ。この前のフロックさんとの戦いみたく緊張が抜けていればもっといい動きが出来るのにもったいないよ」


「お姉ちゃんには剣で勝ちたいなと思って……。と言うか、お姉ちゃんに殴り掛かっても受け流されちゃうし、逆に私の方が痛いんだもん」


「はは……、それはシャインの攻撃力が高いのも原因の一つだよ。あと、シャインは頭をもっと使わないとね」


「うぐぐ……。一番苦手なのに……」


 シャインは両手で頭を抱えた。


「脳筋だと頭の良い人に負けちゃうよ。力で全てを乗り切れるのは本当に一握りだけだと思う。シャインなら大概の相手には出来ると思うけど、その人握りになったうえで頭が使えたらもう、誰も手が付けられなくなる。ガンマ君は頭を使う剣士だから、シャインも勉強になるでしょ」


 私はガンマ君の方を向きながら言う。


「う、うん……。最近、私、ガンマ君に一本が取れなくなってきたの。私の狙ってくるところがわかるって……」


「シャインさんの剣筋がすごく綺麗だから、わかってしまうんです。もう、ここに来ると予言しているようなものですよ。だから、牽制動作(フェイント)を入れた方がいいと思うんですけど……」


 ガンマ君は私達の方に歩いて来て、口をつぐむ。


「無理やりフェイントを入れようとするとね」


 シャインは木剣の柄を振り、フェイントをする。上から切りかけると見せかけての下からの切り上げ。だが、完遂する前に剣の柄がぼきりと折れた。


 振り上げられた木剣の剣身はざっと八〇〇メートル上空を浮遊し、川の上に落下。水面に浮き、せせらぎに流される。


「木剣の方が耐えられないから、フェイントが出来ないの」


 シャインは柄を私に見せながら言った。


「武器の問題だったんだね……。でも、シャインがフェイントできる武器を手に入れたらどうなるんだろう……」


「多分、八つ裂きにされます……」


 ガンマ君はフェイントが使えるシャインを想像し、冷や汗を流していた。


「ガンマ君、たまには真剣で打ち合いをやってみる?」


 シャインは怖い提案をガンマ君に投げかけた。


「ぼ、僕の体、みじん切りにされてしまいますよ……」


 ガンマ君は真剣で戦った時の結果を想像し絶望していた。


 なかなかガンマ君ほど絶望できる子もいないと思う。なんせ、シャインが真剣を使ったら並大抵の敵では歯が立たないのだ。


「もう、みじん切りなんて野蛮なことしないよ~。綺麗にスパッと切るから簡単にあの世に行っちゃうと思うけどね。はぁ~、私も真剣が欲しいな~」


「しゃ、シャインは普通の木剣でも十分強いんだから、真剣を持つ必要ないよ……。と言うか、シャイン自身にも危険が及びそうだから、私は出来るだけ刃物をもって欲しくない」


「なんで、なんで~。私もフロックさんみたいな大剣とか、切れ味抜群の剣が欲しいよ~。お金を貯めて、私が学園に入学するときに買おうかな~って思ってたのに」


「シャイン、包丁で何度指を切ったの?」


「うぐ……、そ、それは……、数えきれないな~」


 シャインは私から視線をそらした。そう、シャインは料理音痴なのだ。

 包丁を使うことはできるが、いかんせん威力が強いので不意に生まれた空気圧で指の肌がスパッと切れる。もう、どういう仕組みかわからないが、シャインには特段切れにくい木の包丁で丁度いい。

 逆に何で切れるのか疑問だが、鋼で出来た包丁なんて持たせたらどうなるか……。恐ろしくて刃物を持たせられないよ。


 私達は午後三時頃まで鍛錬をした。もう、ヘトヘトだ。手に持っている木製のナイフのグリップは汗を吸いまくって周りと色が変わっており、ニスを塗ったようにテカっていた。


「はぁ、疲れたぁ……。今から子供達のお年玉の準備でもするか……」


 私は寒い季節なのに汗を大量に掻き、家に帰宅する。玄関を開けると温かい空気がもわっと迫って来た。空気が悪い。


「ちょ、換気換気! 早く換気して!」


「あ、ああ。ごめんごめん。すぐに窓を開けるよ」


 お母さんに裁縫を教わっていたセチアさんが椅子から立ち上がり、窓を開ける。もわもわした悪い空気が居間から抜け、新鮮な冷たい空気が入って来た。息を吸うととても軽い。


「よし。もう、窓を閉めていいですよ」


「わかった」


 セチアさんは窓をバタンと閉じて椅子に戻る。


 私は手洗いうがいをしてから椅子に着席した。


 テーブルの上にはお母さんが作ったのであろう髪飾りが置かれており、とても可愛い。なんて言うんだろう。超高級なかんざしについている飾りとでもいうのだろうか。まるで本物の花のようで、甘いにおいが香ってきそうなほどよくできている。


 花の形はバラや牡丹に似ている。色は様々で布切れで作ったようだ。


「お母さん、やっぱりすごいね……。こんな造形品が作れるなんて……」


「昔からやって来たからよ。これくらい、キララでもできるようになるわ」


「む、無理無理……」


 私に裁縫の才能はない。どう考えても同じ品を作るのに八年は費やしそうだ。その間に私の指は針に刺されすぎて無くなっていそうだけど……。


「えっと、こっちの形が整っているほうがセチアさんの品で、不格好な方がメリーさんの品ですか?」


 セチアさんとメリーさんは頷く。


 セチアさんはボーイッシュな見かけによらず、手先が器用なようだ。そりゃあ、盗みなんて手先が器用じゃないとできないから妥当かな。


 逆に母性溢れるメリーさんが、裁縫が苦手なんて以外だ。


「セチアさんは問題なさそうですけど、メリーさんは大変ですね……」


「うぅ……、難しいよぉ~。指に何回も針が刺さって痛いし……、全然作れないよぉ~」


 メリーさんは大きな乳をテーブルにのせ、肩を軽くしていた。


「もう、メリーちゃん。何弱音を吐いているの。時間はまだまだあるんだから、諦めずに頑張りなさい」


 お母さんはメリーさんに厳しく言う。


「リーナさん、キララちゃんと一緒で手厳しいよぉー」


 お母さんはメリーさんに母親のような態度で接していた。メリーさんの本当の親ではないが、風貌がよく似ているので私よりも親子っぽい。胸が原因だろうか……。


 メリーさんとセチアさんはお母さんの扱きを受け、ぐんぐんと成長していく。


 作っては直し作っては直しの繰り返しで、テーブルの上が髪飾りで埋まっていた。その間、私は子供達のお年玉の準備をしていく。三〇袋の小袋に金貨一枚ずつ入れて準備完了。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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