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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
流行病と聖典式 ~街で公演ライブ編~

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勉強と同じくらい大切な分野

「ふわぁ~。今日は寝過ぎちゃったよ~」


 あのシャインですら、今日は遅起きで、あくびをしながら居間にやって来た。お父さんとお母さんもついさっき起きたようで、新年のまったりした空気感にさらされて家族皆、気が緩んでいるようだ。


 皆で朝食をとるのも久々な気がする……。いつも、誰かがいないから、何カ月ぶりの全員が揃った朝食かな。


 一月一日の朝食もいつもと変わらず、パンとスープだ。ビーの子が入っていようがもう、恐怖心を抱かなくなった。

 明日の仕事を考えずに朝食が取れるなんて初めての感覚で、すごく新鮮な気持ちだ。仕事を気にしないだけで朝食がいつもの二倍、三倍に美味しく感じる。


 朝食を得終わった私達はそれぞれ好きなことをした。


 お母さんは編み物や裁縫をして、お昼過ぎに家にやって来たメリーさんとセチアさんに髪飾りの作り方を教えていた。


 お父さんはお爺ちゃんの手伝いをするために牧場に向った。こんな時にも仕事を覚えようとする精神は素晴らしいが、根を詰めすぎないようにしてもらいたい。


 シャインはガンマ君と一緒に教会に行って新年のあいさつと祈りを捧げ、鍛錬に勤しんでいる。


 ライトはデイジーちゃんがいるネード村に向った。


 私は……。


「二度寝だけど何か? いや~、仕事以外にやることが思いつかなくててさ~。勉強? 運動? 鍛錬? 何それ~? 私、そんな面倒臭いこと知らな~い」


 私はぬくぬくの羽毛布団に包まれながら、窓を全開にしている。部屋はひんやりと冷たいのに、布団の中は温かい。この差があまりにも心地よくて安眠効果を発揮してくれる。


「って! また寝そうになった! 危ない危ない……。寝ていたら一月八日でした~、なんて悪夢を見そうだったよ」


 私は布団から出て、寒い空気が入ってくる窓を閉める。


「はぁ……。寝たいのはやまやまだけど、勉強するか……」


 私は重い脚を動かして椅子に座り、机に齧りつくようにして勉強した。


 勉強はやり始めるまでが大変で、問題を解き始めたり、文字を書いていたりしているとしだいにやる気が出てくる。


 人はやる気なんて力を初めから出せない生き物だ。出すためにはやり始めないといけない。やり始めてしまえば集中力が続く限り、勉強できる。

 例え集中していた時間が一分や二分だったとしても、ぐ~たら眠っていたら短時間の勉強もできなかったわけだから、ちょっと勉強出来たら自分を大いに褒めてあげよう。


「お~よしよし。私、勉強してて偉いぞ~。休みの日に勉強が出来るなんて私くらいだよ~。ん~、勉強している私、可愛い~。才色兼備も夢じゃないね~」


 自分を褒めるときはとことん褒めた方がいい。その方が、脳が自分ってすごいのかもと勘違いをしてくれる。この勘違いがやる気のもととなり「あれ、私って勉強できるんじゃね。ちょっと楽しくなってきた」と言う具合に自分をだませたら勝ちだ。


「グぬぬ……。ここの問題、難しい……。日本の高校を卒業している私でも、結構解けない問題があるんだな……。出来れば簡単に入らせてほしいんだけどな……」


 私が解いていた問題は魔法学と言う日本になかった学問だ。

 魔法の原理や発生理由などを魔法陣の呪文から読み取ると言った感じの問題が多数出されている。どことなく化学に近い……。やはりこの世界は化学よりも魔法が発展した世界なのだろう。


「あ~、無理だ~。ライトが返ってくるまで別の問題をしよう」


 私は簡単に解ける算数と国語をスラスラと解き、やる気を再度出させる。外国語の問題はビースト語を選び、ウンウン唸りながら解いていく。

 この歳になるまでこの世界で勉強なんてほぼしてこなかった。

 なんせ、小学校や寺小屋、図書館なんて言う教育機関はこんなちんけな村にはなく、大きな街や王都にしかないのだ。

 ただ、教育機関に入るのは義務ではなく、お金を持っている家が良い学園に通わせたいがための場所のようなもので、小学校入試とか、エスカレーター式の学園と考えたら早い。

 私はそのような場所に通っているガキンチョ達と入学試験で戦わないといけないのだ。


「ふ、ふ、ふっ、日本の教育機関を舐めるなよ……。これでも頭は良い方だったんだから」


 私の頭脳は二〇歳を超えている。だが、脳は一一歳の若々しい状態だ。だからか、難しい問題でも、勉強すればスラスラと解けるようになっていく。何だろう、料理を作る工程にすごく似ている。


 私はすでに料理の作り方を知っているから、どんな食材がやって来ようとも答えと言う料理を作り出せる。もし、料理の作り方を知らなかったら、何倍も学習する時間が伸びていただろう。

 日本の教育機関の方が圧倒的に優秀なのは、勉強していてわかった。だが、この世界の中で勉強と共に重視される分野がある。私はその分野に限りなく苦戦した。


 私は河川敷に移動し、汗水を垂らしていた。


「はあっ! とりゃあっ!」


「もう! お姉ちゃん、腰が引けてるよ! 『身体強化』の魔法が使えないんだから、基礎をガチガチに固めて体力をつけるしかないんだってわかってるよね」


「はぁ、はぁ、はぁ……。頭では理解していても……、体が付いていかない……」


 勉強に疲れた私はシャインとガンマ君のもとに向かい、木剣を振っていた。


 勉強や魔法と同じくらい大切な分野、それは武術だ。多分、体育とかと同じ枠組みに入るのかな……。


 武器は何でもいい。剣や槍、弓、ナイフ、などなど。


 魔法は頭脳系の攻撃方法だとするなら、武術は肉体系の攻撃方法だ。

 今、私は根っからの文系なのにマラソンを嫌々走らされている状態と同じ状況を味わっている。


 私は、運動はそこそこ出来る文系だが、武器を使う武道は行ってこなかった。合気道や柔道には精通しているものの、剣道や弓道と言った武道はしてこなかった。やっておけばよかったなと後悔しても遅い。ベスパがいれば弓を使えるが……、あまりにも危険なので、保留にしてある。


「はあっ! おらああっ!」


 槍やナイフ、斧、大剣、など、使ってみたい武器は沢山あったが、一番近くにいるシャインに教えてもらえる剣が結局普通で学びやすいと気づき、稽古に参加していた。


 私が持って真面に振れる剣は木剣のみ。鉄を使った剣や剣身が長い物は重すぎて振れないのだ。レイピアでもいいのかと思ったが、フェンシングの心得もない。泣く泣く木剣で我慢している。


「はっ! ふっ! おらああっ!」


「お姉ちゃん、威勢はいいけど、隙だらけだよ。今なら八回は切れる」


 シャインは木剣を目で追えないくらいの速度で振るう。


「つまり、八回殺されていると……」


「うん。お姉ちゃん、やっぱり剣は向いてないよ。もう一度考えなおしたら?」


「考え直すと言っても……。私が弓を使うとさ……」


 私は左手に魔力を使って具現化した弓に、具現化した矢を掛け、弦と矢をゆっくりと引っ張る。


 すると、なぜかビーが矢の先端にやってきて、お尻を突き出しながら止まった。


 私は怖いので、さっさと右手を放し、矢を放つ。


 すると、魔力で出来た矢は空気抵抗を極限まで無くし、弦が戻るさいの勢いをそのまま載せて飛んで行く。川の上を通ると、風圧で川が一瞬割れ、洪水になった。

 そんなことはお構いなしに、矢は木々を貫通しながら進み続け、地面に衝突してようやく止まる。


 貫通した木々には穴がデカデカと開いており、矢の突き刺さっている地面が見える。


「ね? こんなの、試合で使えないでしょ」


「そ、そうだね……。威力がぶっ飛んでるもんね……」


 シャインは苦笑いを浮かべながら、木剣を振って洪水を川に戻す。


「もう、次元が違い過ぎるよ……、この二人……」


 ガンマ君が苦笑いを通り越して、真顔になって呟いた。


「私だって普通に弓が使えたらいいな~とは思うけど、こうなっちゃうんだもん。当てられるかは別として、もし当たったらただじゃすまないよ。私が人殺しになっちゃう」


「はぁ、姉さんはやっぱりこれなんじゃない?」


 シャインは刃渡り一五センチメートルほどの木製ナイフを渡してきた。


「ナイフか……。まぁ、使えなくはないけど地味過ぎない?」


「入学出来れば何でも一緒でしょ。地味とか気にしなくていいの。ほら、お姉ちゃん。やり合おうよ」


 シャインは木剣を構え、私との試合を申し込んできた。シャインの持っている木剣の剣身の長さは約一メートル。攻撃範囲はどう考えてもシャインの方が上だ。


「仕方ないな……。じゃあ、ちょっとだけだからね」


 私はナイフを逆手に持ち、構える。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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