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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
流行病と聖典式 ~街で公演ライブ編~

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ダイエット

 巨乳のメリーさんとシャイン、貧乳の私とセチアさんの対局が起こるのは必然だった。おっぱいおっきい方がいい論争とおっぱい小さい方がいい論争が長い間繰り広げられる。


「どう考えても大きい方がいいですよ! その方が可愛いですし、女性っぽく見られます! 私とセチアさんは男装をしても絶対にバレませんよ」


「そうだそうだ~!」


 私とセチアさんはメリーさんに物申す。


「女性っぽいと言っても限度があるでしょ。あと、キララちゃんはそのままでも十分可愛いじゃん。今以上に可愛くなっても大して変わらないよ。セチアちゃんだってとてもハンサムで女の子に人気ありそう。もちろん男の子にもね」


「そうだそうだ~」


 メリーさんの返しは私達を黙らせ、シャインの無駄に覇気のない掛け声が腹立たしい。


「で、でもでも。男の子は皆、胸が大きい方が好きじゃないですか。あの胸を夢見る男達が何人いると思っているんですか。その分、多くの人と知り合いになって結婚出来る確率も上がるわけですよ」


「好きじゃない人に好かれても意味ないでしょ」


 メリーさんはじわりじわりと歩いてくる。


「う……、そ、そうですけど……」


「お姉さんは~、胸の大きさが全てじゃないと思うけどな~」


 メリーさんは豊満な胸で私の顔を包む。窒息するかと思うくらい肉厚で物凄い柔らかい……。このまま昇天してもいいかもと思えるほどの楽園がここにあった……。


「き、キララちゃん! 頑張って、ここで落とされたら終わりだよ」


 セチアさんの声が部屋に響く。


「もがが……。そ、そうでした。危ない危ない……。おっぱいで頭がいっぱいになるところだった……」


 私はメリーさんから距離を取り、論争を続ける。だが、私達の攻撃はメリーさんに全ていなされる。胸の大きな人の幻想はどんどんと現実となっていき、別に胸が小さくてもいいか……と言うところまで来てしまった。


「はぁ、はぁ、はぁ……。うぅ……、ここまで攻撃しても倒れないなんて……、流石長い間、おっぱいと向き合ってきただけはありますね……」


「向き合ってきたというか、勝手についてきたというか……」


 メリーさんは余裕すぎて、あきれ顔になっている。私もさすがに幼稚すぎたなと反省し、引き分けで手を打った。え? 全敗? してないしてない。何なら、全勝だから。


 心の中で悲しい負け惜しみをしながら、ベスパとネアちゃんが直してくれたドレスを手に取る。胸もとが先ほどよりも大きくなっており……。これなら入るなと確信した。


「じゃあ、メリーさん。もう一度着てください」


「わ、わかった……」


 メリーさんはドレスを再度着てくれた。私は肩甲骨辺りの紐を引っ張り、縛る。今度は難なく縛れた。続いて腰辺りの紐……。


「うぐぐ……。く、苦しい……」


「ん? あれ……、メリーさん、なんかむちってしすぎじゃないですか?」


 私が腰辺りの紐を引っ張ると腰の肉に谷間が出来ていた。


 ――数ヶ月前はすらっとしていたはずなのに……。


 私は少々気になり、メリーさんのお腹周りを触る。


 モニモニだった……。


 私の脳内に電撃が走り、腰から下を触っていく。お尻も前よりふかふかのモニモニ……。どおりで歩くだけで跳ねる訳だ。太ももは、うわ、すべすべで柔らかいけどフニフニしすぎ……。


 ――こりゃあどう考えても……。


「メリーさん、太りましたね」


「うぎゅぅ……」


 メリーさんの冷や汗だらだらな表情が物凄く可愛い。焦りまくって、手汗もびしょびしょ……。どうやら、ただの牛ではなく霜降り肉の高級牛だったようだ。


 ――勝った……。


「キララ様、顔が悪いですよ」


 ――おっと、つい……。笑顔笑顔。


「メリーさん、これ、だいぶ太りましたね~。どうしてこんなに太っちゃっているんでしょうね~。何か買って食べているんですか?」


「べ、べべ……、べつに、チーズとかバターとか買って食べてるわけじゃないよ。パンに挟んで齧り付いてたりしないよ……」


 メリーさんは間食で推定一〇〇〇キロカロリー以上の食事を続けているそうだ。健康を考えるのなら女性は平均で一日二二〇〇キロカロリーくらいが目安だ。でも、メリーさんの食べている間食があまりにもカロリーが高い。そりゃあ太るなと簡単に想像できる。なんせ、白パンにバターとチーズを挟んでいる訳だから、ほぼ油パンだよ。


「メリーさん。痩せないと、とんだわがまま体型で聖典式に出ないといけなくなりますよ。あと、ドレスも綺麗に着られなくなります」


「そ、そんな……。あんな美味しいものが食べられなくなっちゃうなんて嫌だよ……。でも、ぷよぷよの体を見られるのも嫌……。うぅ……、どうしたらいいの~」


 メリーさんは自分のぜい肉を摘まみ、泣きそうになっている。


「痩せましょう。ここにどんな人でも確実に痩せさせる女の子がいますから、安心してください」


 私は胸に手を置いて、ない胸を張る。


 何を隠そう、私は元アイドル。


 体型が変わっただけで多くのファンに叩かれる業界だ。


 「顔が丸くなりましたね、デブ!」とか「足太すぎだろ、大根かよ」とか、ほんと五ミリメートルでも気づく人は気づくのだ。

 アイドルが普通に生活していたら確実に太る。

 加えてモデルや女優も頑張って細い体になるような生活を送っている。女性はもとから太りやすい体をしているから、三食取ったら確実にふくよかになる。まぁ、健康を考えたら、バランスが良い食事は必須なんだけどね。

 そこで私だ。無理なダイエットをしなくとも「キララって食事の番組に滅茶苦茶出てるけど全然体型変わらねえよな」とグラサンプロデューサーに言わしめるほど体を保つのが上手いのだ。

 無理なく、好きな物を食べて健康を考えたダイエットをしていけばメリーさんも簡単にとはいかないが、痩せられるはずだ。


「メリーさん。今から、言うことを守ってください」


「え……。何かを禁止にするとかなら、難しいよ……」


「いえ、禁止にはしません。痩せるための天敵はストレスです」


「ストレス?」


「ん~っと、嫌だな~。辛いな~。もうしたくないな~と言う気持ちが起こる状況をストレスと言います」


「あぁ、なるほど……」


「このストレスが健康によくないので、なるべく避けたいんです。なので、私の言う通りに生活してください」


「わ、分かった。キララちゃんの言う通りにしてみる」


 メリーさんは痩せると決めたのか、両手を握りしめ、決意を固めている。


「では、言います。まず、間食は午後二時から三時くらいに食べてください。これ以外の時には食べないようにお願いします」


「えぇ……。午後二時から三時は仕事中だよ。仕事終わりの疲れ切った体にこそ染み渡るのに……」


「そのせいで体に油が貯まっているんですよ。その生活を続けていたらお腹周りがぶよぶよになって不格好な見かけになります。家で作って持ってくるか、牧場で作って食べるか、どちらかにしてください」


「うぅ……。わかった……」


「次、食事を得る少し前に水をコップ一から二杯ほど飲んでください」


「え、食事中じゃなくて食事前に飲むの?」


「はい。食事の少し前に水を飲んでもらえればいいです」


「わ、わかった。そうしてみる」


「最後に夜は早めに寝てください。夜更かしは絶対に駄目です。あと、夜の間食も絶対にやめてください」


「えぇ……。夜のひそかな楽しみなのに……」


 ――この人、案外だらしない女なのか?


「メリーさん、生活を改善しないと早死にしますよ」


「うぅ……。こ、怖いこと言わないでよ。今まで辛い思いをして来たんだから、これくらい……」


「今まで辛い思いをして来たとか関係ありません。健康でいてこその幸せな生活ですよ。健康を損なったら辛いだけです。だから、生活習慣は改善してください。何も、バターチーズ挟みパンを食べたらいけないとは言っていません。時間を限定しているだけです」


「わ、わかった……。でも、運動とかはしなくてもいいの?」


「運動は朝の牛乳配達や牧場の仕事だけで十分です。重労働ですし、体もたくさん動かします。運動をするより、生活をしている方が体の脂肪を燃やしてくれるんです。もう、時間がありませんけど、出来る限りのことをしましょう」


「う、うん。私、頑張るよ」


 メリーさんのダイエット生活が始まる。


 私はメリーさんが痩せる前に抱き着いておいた。モニモニでとても気持ちいい。

 

 ――こりゃあ、抱き枕として最高だな……。


 シャインとセチアさんもメリーさんに抱き着き、気持ちよさそうな表情をしていた。


 メリーさんだけは赤面しとても恥ずかしそうだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
ふくよかになるのは質の悪い油と甘いものの摂りすぎなだけだよ〜 一般的な量の健康的な三食を食べて太ることはほぼない
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