バートンの遺伝子
「はい、銅貨5枚です。今日は朝早いのにどうもありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそご利用いただきありがとうございます」
「ここはどういった施設なんですか?看板にはバートン飼育場と書かれてましたけど…」
「はい、その名の通りです。ここは、この街で使用されるバートン達を飼育している施設です。ここのバートン達は大人になれば、冒険者の足となったり、騎士様の足となったり、荷物、またはバートン車を運ぶ足になったりと様々な場面で使用されます」
「へ~、そうなんですね」
「しかし…お客様のバートン、大きいですね…私も数多くのバートン達を育ててきましたが、ここまで立派に育ったバートンは初めて見ましたよ」
「えへへ、そうですか。ありがとうございます。この子は私が育てたんですよ」
「え!それは本当ですか!」
-――凄い食いつきよう…私何かまずいことを言っちゃったかな…。
「もしよろしければ、このバートンを育てた方法をお教え願えませんでしょうか!今、王室に数頭納品しなければならないのですが…中々王室に見合うバートンが育てられず…このまま行くと王室との話が無くなり私の評価まで下がってしまうのです。この通り、勿論お教えいただいた料金をお支払いいたします」
その人は子供である私にすら頭を下げている。
相当、悩んでいるのだろう…。
「え…ええっと、この子は…その遺伝子で大きくなったみたいなもので…」
「遺伝子…とは何でしょうか?」
――え…遺伝子を知らない…。そうか、この世界はまだそういった生物学的な事が分かっていないのか…。
「え~と、簡単に言えば…強いバートンと速いバートンから生まれた子供は、強くて速いバートンが生まれやすくなる…という話です」
「それは本当ですか!!!その話が本当ならば…大変なことになりますよ!!!」
――え…えっと凄い食いつきよう。普通の事のように思えるけど…。
「すぐ試してみます!!!あ!申し遅れました、私の名はイキュース・カバロウズと言います。貴方のお名前は?」
「私の名前はキララ・マンダリニアと言います。この街を出て、少し離れた村で牧場をやっているお爺ちゃんの手伝いをしてます」
「そうでしたか…。それにしても、こんな素晴らしいバートンを育てられるなんて尊敬します!」
彼の眼は私を見て輝いている。
「ええっと、私が凄いんじゃなくてお爺ちゃんが凄いというか…」
「そうなのですか。しかし、このバートンはキララさんが育てたのでしょう。この子は誇っていいバートンです!多くのバートンを見てきた私が言うのですから間違いありません」
「いや…そこまで言われると照れちゃうな…」
「では私はすぐにでも試したいのでこれくらいで失礼します。あ!料金は今出せるのが金貨20枚ですので少し待っててください!」
そう言って彼は猛スピードで走り去っていった。
「え…ちょっと待って!今…金貨20枚って言った…銀貨の間違いじゃないの」
するとすぐ彼は戻ってきた。
「はぁはぁはぁ…今ここに金貨20枚あります。そして、もし王室に評価されたバートンを納品することが出来ましたら、その時の20%分の報酬をお渡しいたします。こちらに住所をお書きくだされば、その際お知らせいたしますので」
「え…ええっと、あの、私こんなに金貨貰ってもいいんですか…そんな大した話じゃ…」
「いえ!私の勘が言っています!この話は本物だと、そしてこの話はこれほどの価値がいえ…これ以上の価値があると私に言っているのです。ですからその金貨はお受け取りください」
ものすごい圧に押され…私は仕方なく受け取っておくことにした…
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