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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
魔物の大量発生 ~肉と卵が欲しかっただけなのに編~

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麦の種植え

「ライト、シャイン。一切抵抗したらダメだからね」


「え?」×ライト、シャイン。


 ――ベスパ、二人を上空八八八八メートルに連れて行って。そのまますぐに落下させて無事に地上まで下ろしてきて。


「了解です!」


「じゃあ、ライト、シャイン。上空で大声を出して心を入れ替えてきてね」


「ま、まさか。うわっ!」×ライト、シャイン。


 ライトとシャインはビーとベスパによって遥か上空に持ち上げられ、スカイダイビングの要領で自由落下させる。ほんの四〇秒くらいの間だけど、人生観を変えるほどの衝撃があるのだから、心が解放されて気分転換になるはずだ。


「うわあああああああああああっ!」×ライト、シャイン。


 上空から二人の叫び声が聞こえてくる。何も抵抗しないようにと言っていたからか、魔法の類は一切使っていないようだ。


 二分後、地上に向ってゆっくりと降りてきた二人は叫び疲れたのか、汗だくだった。でも、良い表情になっており、憎悪は消えていた。


「あ、ありがとうお姉ちゃん。気分転換になったよ……」


「う、うん……。気分がスッキリした。さっきの僕は頭が悪かったよ」


 シャインとライトは長袖で額の汗をぬぐい、笑顔になった。


「うん。いい笑顔だね。それじゃあ、皆で畑仕事と行こうか!」


「お~!」×ライト、シャイン、デイジー、ガンマ、キララ、ベスパ。


 私とレクーは種まきを行う場所まで荷台を引きながら移動する。子供達は荷台に乗って話し合いをしていた。デイジーちゃんのお母さんである、イーリスさんとデイジーちゃんの弟君も一緒だ。


 広大な畑は私の畑と同じ要領で作り、最高の状態となっている。


 私はイーリスさんの畑に移動し、荷台の前座席から降りた。オメちゃんの頭が出ており、私に気付くと近寄ってくる。


「キララちゃん。土の状態は最高よ~。この土なら、どんな食材だって育てられるわ~」


 おじさん声なのに、お姉さん口調のオメちゃんは私に説明してくれた。ここの土は、水はけがよく、たくさんの栄養を含んでいると。それならば、私達が作ろうとしている食材に相性がいい。


「じゃあ、オメちゃん。今から種まき作業をするから、森に移動してくれる。今までありがとうね」


「いえいえ、とても美味しかったから全然苦じゃなかったわ。また呼んでね~」


「はい、また助けてくるとありがたいです」


 オメちゃんは地面に戻り、地中を移動していった。


「よし、皆。今から麦の種を植えます。深さは二から三センチメートルくらいで浅め。少し土をかぶせる作業も忘れずに。一平方メートル当たりに二五〇粒ほどを撒くように意識してくださいね。ま、あまり深く植えず、さささっと植えていきましょう。とんでもなく広いので、疲れた時は私が全て請け負うので、出来る限りやってみましょうね~」


「は~い!」×子供達。


 私は地域の子供達と触れ合う番組のようなまったりした空気を感じながら、微笑む。


「イーリスさん。麦の種はしっかりとありますか?」


「は、はい。大きさと張りがいい種をなるべく選びました。荷台に大量に積んであるので、それを使ってください」


 レクーは私の持ってきた荷台以外に、麦の種が大量に含まれた袋が入った荷台を引いていた。


 以前、ネード村が瘴気に犯され、住むのすら困難になっていたころ、食べ物もほぼ無く、どうしようもなかったようだが、プロテスタントの人達が正教会に訴え、賠償金をしっかりと得ていた。


 ネード村が死滅しそうになったのは教会側の不手際のせいだと言うのが少なからず認められたらしい。その時の賠償金で村は持ち返した。麦の種も購入できるようになり、ネード村が生き返っていると実感できる。


「じゃあ、ライト。種に「クリア」を掛けてくれる」


「わかった」


 ライトは荷台の下に魔法陣を展開し、光の柱を発生させる。すると、荷台がキラキラと光り、殺菌された。


 荷台の中に入っている麦の種もしっかりと殺菌されている。


 穀物を育てる時、一番怖いのは病気だ。もちろん虫や自然災害も怖いが、一番は細菌による全滅。これだけは何が何でも避けなければならない。定期的にライトの「クリア」で殺菌していけば麦が病気になる心配はないはずだが、用心に越したことはない。


「じゃあ、皆、種を持って土に植えていきましょう!」


「お~!」×子供達。


 ――ベスパ達は反対方向から、一平方メートルに二五〇粒ずつ植えて行ってくれる。私達の速度は限りなく遅いからさ、ビー達頼りなんだよね。今日中に終われると助かるから、よろしく頼むよ。


「了解です!」


 私達がバケツに種を入れ、数粒ずつ土に植えていく中。ベスパ達は物凄い流れ作業で種を植えていく。ビー達が働き者すぎて、怖い。


「うわぁ。土がフカフカだ。姉さん、こうやって植えていけばいいの?」


 ライトは種を撒いて、指で押し込んでいた。


「えっと、指で入れる場所を決めてから植えた方が綺麗に植えられるよ」


 私は指の第一関節ほどを土に入れ、二粒ほど植えた後、優しく土をかぶせる。この工程を永遠と繰り返していく。日本なら機械を使って終わらせるのだが、今、便利な機械はない。まぁ、機械より楽なビーに任せるという方法をとっているのだけど……。


 ――にしても、手作業で植えていくの大変すぎるな。こんなの常人じゃ一日経っても終えられないよ。まぁ、ここにいるのは私とイーリスさん、デイジーちゃんの弟君意外は化け物だからな。終わらせちゃうのかも。


「一平方メートルに二五〇粒浮かせて『押し込み(スタンプ)』」


 ライトは魔法で一平方メートルに均等に二五〇粒を並べ、地面に一気に植えた。判子注射をした後のように地面が穴だらけになり、ライトが地面を撫でる動作をすれば穴が土で埋まる。もう既に簡単な方法で植えようとしている……。


「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ!!」


「はいはいはいはいはいはいはいはいはい!!」


 シャインとガンマ君は持ち前の体力と運動神経から、残像が見えるほど……は流石に言い過ぎだが、それくらい速く動き、種まきをしていた。


「ふふん、ふふん~、ふふん、ふふん~」


 デイジーちゃんは自分の速度を守り、楽しそうに種を撒いていた。それだけで絵になるほど可愛らしい。一枚の絵画で種を撒く少女と言う題名で売られていてもおかしくないくらいだ。ときおり、弟君と一緒に植えたり、イーリスさんと話ながら植えたりしており、とても生活を楽しんでいる感がにじみ出ている。


 これが普通なんだ……と思いながら、周りを見渡せば普通じゃない状況が広がっていた。


「ブブブブブブブブブブブブブブブブブブ~」


 ビー達が広大な畑の上を飛び交い、光る個体に支持されながら休みなく働いている。もう半分を終わらせたのかと思うと怖気が走った。なんせ、五〇〇メートル四方もあるのに……。まだ、三〇分も経っていない。


 ベスパの光かたからして、もの凄く遅い。多分、私達の方を見て速度を調節しているのだろう。ビー達なら、種まきを一瞬で終えられるはずだ。一平方メートルで二五〇粒なら、その五〇〇倍すればいい。つまり、一二五〇〇〇粒植える計算だが、ビー達が同じ数いれば、一秒で種まきが終了する。


 ま、まぁ。一二万匹も現れたらさすがに村人が恐怖するから、しないけど……、やろうと思えば出来ちゃうんだろうな。


 私には下僕のように、社畜のように働くビー達がいる。その分、給料の魔力は大量に与えているが、私の魔力回復と他の虫たちから戻ってくる魔力で帳消しになる。


 スキルにはデメリットが存在し、何かしら悪い点があるはずなのだ。


 勇者、剣聖、賢者、聖女の四つのスキルはデメリットがない。加えて強い。


 私は使役スキルに加え、最も弱いと言われているビーを従えている。だからか、デメリットがほぼない。あるとすれば、私がビーのことが嫌いなのと、火属性魔法に弱い。と言う点だ。戦闘でビー本体を使うことはあまりできないがベスパなら、戦うことが出来る。

 体に魔力を溜め、自身の燃焼と共に爆発するという、妙な攻撃によってね。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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