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ブラックベアー対冒険者

私は、目を背けたい気持ちとどんな戦いをするのか気になる気持ちが混ざり合い、目を覆う手の指と指の間から半目を開き…垣間見る。


「それでは、最終戦!ブラックベアー開放します!」


魔法によって浮いていた檻の下部分が段々と薄くなっていく。


すると、ブラックベアーの巨体により、檻の下部分が解かれ、大きな体が地面に落ちた…。


『ズトン!!』


と地面を押しつぶす勢いで落下した事によりブラックベアーの着地音が闘技場に響く。


「グアオオオオオオオオオ!!!!!!!!」


地面に着地した瞬間…その巨体を持ち上げ、雄叫びを放つ。


「グ…す、すごい雄たけび…」


「食わせろ…食わせろ…食わせろ…食わせろ…食わせろ…食わせろ…食わせろ食わせろ食わせろぁやあぁあああ!!!!!!!!!」


ブラックベアーの声が脳裏に響く。


「嫌だあああぁぁあ!!ブラックベアーの声が聞こえる!べ、ベスパ!今すぐ!聴覚共有を解いて!!!」


「は、はい!今すぐ解除します!」


頭の中で響いた音がずっと反響し脳内でなり続ける…。


トラウマが蘇り、何も考えられない。


解除してもらってから、次第に落ち着きを取り戻し…呼吸が出来るようになった。


「はぁはぁはぁ…何あの声…絶対ダメだよ、あんなの…あの人が殺されちゃう」


ブラックベアーは物凄い涎をたらしながら、ノルドを見る…。


「中々に大きな体格じゃないか…俺の剣の錆にしてやる」


ノルドは剣を構え、ブラックベアーの様子を見る。


先ほどの歓声は消え失せ、今は時間が止まっているような静けさだけが会場を包みこんだ。


「ぐあぁぁあ!!!」


先に動いたのはブラックベアーだった。


馬鹿正直にノルド目掛けて直進する。


ノルドはブラックベアーを紙一重でかわし、流れるように右前腕を切りつけた。


しかし、強靭な皮膚によりノルドの剣で与えた傷は浅く、右腕が負傷しているとはいいがたい。


ブラックベアーは攻撃を受けさらに、興奮状態に入ってしまう。


全身の毛が逆立ち、体格が先ほどの1.5倍に膨れ上がったような気さえする。


「やはり…ただの攻撃では傷を与える事さえ難しいか…ならば、これならどうだ!」


ノルドは剣のグリップを両手で強く握り剣先をブラックベアーに向ける。


「スキル発動!『斬撃強化!』さらに、付与魔法『風の刃』を剣に付与!」


ノルドの剣身が光を放ち、さらに風が剣身の周りを旋回しながら、辺り一帯の空気を巻き込んでいく様子が見える。


「あんな感じでスキルと魔法を使うことが出来るんだ…すごい…」


私は、このように2つの違う効果を混ぜて扱う場面を今まで見たことが無かったのだ。


「さぁ、今度はこっちから行くぞ!」


ノルドは、ブラックベアーに向って、走り出した。


「オラアァ!オラアァ!オラアァ!」


ノルドは走りながら、3回剣を振るった。


すると、剣身の周りを旋回していた風が、刃となってブラックベアーに向っていく。


3つの風刃がブラックベアーの体に直撃し、皮膚から大量の血が噴き出した。


「すごい!ブラックベアーは魔法耐性が高いのに!風を使った刃がブラックベアーに傷を付けた!」


「まだまだ!ここから!」


大量の血を流し、その場で意気消沈しているブラックベアーの頭部目掛けてノルドは跳躍し自身の持っている剣を振りかざす。


しかし、一瞬でブラックベアーが意識を取り戻し、地面が陥没するほど踏み込み…空間の空いたノルドの腹目掛けては、突進を繰り出す。


「ぐ、バカな!!」


すぐに意識を取り戻すとは思っていなかったノルドは反応するのが遅れ、回避することが出来なかった。


「ぐは!!!!!!!」


口から大量の血を吐き、観覧席の最上段まで吹き飛ばされる。


「へ………」


「中止だ!今すぐブラックベアーを拘束しろ!被害者が出るぞ!!」


観覧席にいた人たちは恐怖の声を漏らしながら、その場を一気に離れていく…。


これほど多くの人が一気に逃げられるはずもなく…出口が詰まってしまう。


誰よりも先に逃げようと、押し合いになってしまい結局誰も逃げ出せなくなってしまったのだ。


その為多くの人が、闘技場内に取り残されてしまった。


「クソ!こいつ早いぞ!どうやってこいつを拘束したんだ!」


ステージでは数人の魔導士、冒険者らしき人がブラックベアーを何とか抑え込もうとしている。


しかし、そのブラックベアーのスピードは尋常ではなく、いったいなぜその巨体でそこまで動けるのか謎だった。


『バインド!』


1人の魔導士が拘束魔法らしき呪文を唱えるが、ブラックベアーは容易くその拘束を破る。


「1人の『バインド』じゃダメ!複数人の『バインド』が必要だと判断するわ!他に拘束魔法を使える人!」


「俺は使えるぞ!」


「私も!」


「3人か…よし!私の合図で一気に3つバインドをブラックベアーに向けて放つ!」


「了解!」×2


「他の冒険者と魔導士はブラックベアーの注意を引いて!」


「了解!」×数人


剣士、武闘家、槍士、の魔法攻撃ではなく物理攻撃が得意そうな人たちが、ブラックベアーに攻撃を仕掛ける。


しかし…ブラックベアーの速度はさらに加速していく。


地面を掛ける姿はもう既に戦車に見えてきた…。


戦車が車レベルのスピードで移動してくるのだ。


恐怖以外の何物でもない…。


「グァ!!!」


1人の武闘家がブラックベアーの攻撃を受け石壁に叩きつけられてしまった。


ブラックベアーの攻撃を受ければ人などただの木偶人形も同然…。


羽虫のように吹き飛ばされ、戦闘不能になる。


武闘家は壁にめり込んだままで…全く動かない…意識を失ってしまったみたいだ…。


そしてブラックベアーは容赦もなく意識を失った人目掛けて一直線に走り出す。


「ブラックベアーの足を止めるのよ!さもないと、彼が食われる!」


未だに半分以上が闘技場を避難できていない。


「ストーンショット!!」


魔導士が魔法を放ちブラックベアーの足もとに大きな石が放たれ、進行の軌道を変えることが出来た。


だが、ブラックベアーはスピードは落とさずそのまま、石壁を上り始める。


指と手足が石壁に突き刺さり、安定して上る。


熊は木登りが得意だと聞いたことがあるけど…ブラックベアーは石壁をも上るらしい…


「いけない!このまま行ったら市民に被害が出てしまう!」


冒険者の1人が叫ぶが、既にブラックベアーは石壁の3分の2以上を上っている。


そのんなことになっているなんて、つゆ知らず…私は今、吹き飛ばされた、ノルドの手当てに来ていた。


しかし…すでにひどい状態だった。


「…これじゃあもう…手当てしても間に合わないかもしれない…」


昔の知識があったとしても、私は医者でもなければ看護師でも何でもないただのアイドルだった。


そんな私に出来ることなんてただ、出血箇所を抑えて止血する圧迫止血法くらいしか知らないし、それしか出来ない。


だが…ノルドの腹はブラックベアーに突進され、あばら骨も骨折し…きっと内臓も破裂してる…。


唇は震え…鼓動がどんどん小さくなっていった。


「キララ様!リーズさんならばまだ助けられるかもしれません!ここから病院までの位置は既に記憶済みです!」


「そうか!リーズさんの回復魔法なら、何とかなるかもしれない!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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