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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
キララの誕生日公演会(ライブ) ~誕生日前なのにトラウマが再来する編~

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兄、弟妹、一人っ子……。

 私は魔力を練り込み、空に指先を向ける。指先に残り魔力をすべて込めて特大の『ファイア』を作り出す。加えて転移魔法陣の入り口を一つ。


 ――ベスパ。残りの魔力は転移魔法陣に変えて。


「なるほど、魔法の威力を一気に分散させてしまうんですね。了解です」


 頭上にある巨大なファイアの大きさは運動会で使う大玉転がしの玉くらい。さらに大きくなっていき、気球のようになってしまった。私の魔力が多いせいで一割りの魔力でもこれほど大きな『ファイア』を作りだせてしまう。


「ではキララ様、転移魔法陣を一〇○個に分散しましたので巨大な『ファイア』を空に向かって放ってください」


 ――わかった。周りの森に被害が出ないように配慮してよ。


「もちろんです」


 一キロメートル先の空に転移魔法陣が一〇○個並び、全てに魔力が流れると、一列の光の帯になった。


「ファイア!」


 私の指先に展開されている魔法陣から大きな大きな『ファイア』が生まれ、それを一枚の転移魔法陣に打ち込む。すると転移魔法陣が『ファイア』を飲み込み、空の光の帯に転送された。


「ボッツ!」×一〇○回


「おぉ……。凄い、一〇○個のファイアが出来た。これで、ファイアをいちいち一〇○回言わなくてもよくなった。まぁ、なんか思っていた感じと違うけど……。うぐっつ!」


 魔力枯渇症の影響が出て頭痛が酷い。あまりの痛さに両膝を地面につけて額を砂利にこすりつける。両手は心臓に持っていき、押し込むような体勢になっていた。もう、心筋梗塞と脳卒中を同時に受けている感覚。どちらもなった覚えはないが、死んでもおかしくないと悟った。


「キララ様、今から魔力を二割戻します」


 私が苦しんでいると心臓と頭の痛みが消えた。体の熱がスーっと引いていく感じだ。


「はぁ、はぁ、はぁ……。こ、これは……。きつすぎる。こんなこと何回も繰り返していたら死んじゃうよ……」


「ですがキララ様。確実に強くなりましたよ。体が悲鳴を上げているのは強くなっている証拠です。これからもっともっと厳しい鍛錬が待っているかもしれないじゃないですか。今から辛い鍛錬に慣れておきましょう」


 ――な、何それ……。恐怖を恐怖で塗りつぶすみたいな練習法。まぁでも、死ぬよりはましか。でも、ちょっと休憩……。


「キララ様……」


 ベスパは眼を細め、私を見てくる。


 ――きゅ、休憩も大事だからさ。


 私は休憩がてら、ライトとシャイン、デイジーちゃん、ガンマ君の練習過程を観察する。


 ライトはデイジーちゃんに魔法を教え、ガンマ君は魔法がほぼ使えないシャインに教えていた。


 ――あのプライドが高いシャインがガンマ君になら教えてもらえるなんて……。


「じゃあ、僕の手を握ってください。シャインさんにも魔力を感じ取ってもらえると思います」


「え、て、手を握るの……。ま、まぁ、いいけど」


 シャインはガンマ君の手を握り、モジモジとしている。


 ――うん、可愛い。ツンデレのシャインも可愛いよ。


 ガンマ君はシャインの手をギュッと握り、魔力を込める。


 シャインの魔力は質が高いから感じるのが相当難しいと思われる。扱いにくいのに加え、シャインが魔力操作が苦手という二重苦に陥り、魔法が嫌いになってしまったのだ。


 私は五年かけてようやく魔法がそこそこ出来るようになったので、シャインは諦めるのが早いなとは思った。でも彼女のプライドが高いが故の逃走だったのだろう。剣が使えたら魔法など必要ないと考えてしまったのかもしれない。


 まあ、双子の弟に魔法の天才がいるのだから、諦めたくなるのもわかる。シャインはライトより上に行けないとわかった時点で、魔法を切り捨てていた。でも、ガンマ君のおかげでもう一度頑張ってみようという気になっているらしい。


 私は姉としてシャインの成長をいつまでも見守り続ける。その点を言えばライトも同じだ。剣の鍛錬なんて絶対にしなかったのに、最近はちょっとだけやり始めた。シャインに感化されてしまったと思われる。その二人を見ていたら私の方だって頑張らなければと考えたのだ。


 姉、妹弟の相乗効果、切磋琢磨、まぁ、ライバル関係とでもいうのか、いい刺激になり合っているようだ。


「が、ガンマ君……。て、手の平だけじゃ。わからないかな……」


 シャインは上目遣いでガンマ君に言う。


「そうですか? なら、全身で感じてみてください」


 ガンマ君はシャインにギュッと抱き着く。


「きゃっ……。が、ガンマ君……いきなりすぎるよ」


 シャインはいきなりすぎて息を詰まらせ、眼を丸くしていた。加えて顔がどんどん赤くなっていく。


 ――ま、まぁ、子供同士の抱き合いだし、別に何ら問題はないと思うんだけど、シャインの顔がちょ~っと乙女すぎてお姉ちゃんは興奮が止まりません!


「キララ様、鍛錬に早く戻られた方がいいのでは?」


 ベスパは私の頭上に飛び、急かしてくる。だが、こんな面白い場面を見逃すわけにはいかない。かくなるうえはベスパを燃やしてでも……。


「どうですか、シャインさん。これで魔力をちょっとは感じられますかね」


「う、うん……。す、すごく暖かいよ……。なんかいい匂いもするし……、ドキドキする……」


「ん……。シャインさん、胸に布でもいれてるんですか? やけに柔らかい気がするんですけど……」


「はっ……、ガンマ君は感じちゃ、駄目!」


「え……、へでぶっつ!」


 シャインの渾身の平手打ちがガンマ君の顔に当たり、男子が二○メートルくらい弾き飛んだ。普通の人間なら死んでいるであろう威力だったが、ガンマ君の耐久力は常人を遥かに超えているがゆえに無事だった。だが、気絶はしている。


「はぁ、はぁ、はぁ……。も、もぅ。ガンマ君の馬鹿……」


 シャインは自分の胸が大きくなっていることをガンマ君に知られたくないようだ。まぁ、ガンマ君が貧乳好きって言ってたし、シャインの胸はもう貧乳の域を超えてしまっている。隠し通せる秘密じゃないと思うが、温かく見守ろうではないか。


 私は魔力枯渇症の症状によって鼻から血が出ていた。うん、魔力枯渇症の症状に違いない。


「えへへ、眼福眼福~。おっと、まだ症状が収まらないようだ。魔力が早く戻ってこないかな~」


「キララ様、鼻血はキララ様が興奮した影響で鼻腔の血管が切れてしまっただけですよ」


 ――ち、違うわい。私だけ遠く離れて魔法の鍛錬をしているし、四人が私の鼻血を見ている訳ではない。それなら別にどれだけ流そうが関係ないのだ。


「いや、脳への傷になりうるので控えた方がよろしいかと」


 ――正論ばかり言わないでよ~。もう。


 私はシャインの乙女の顔を目にしかと焼き付けた後、ライトとデイジーちゃんの魔法の鍛錬を見る。すでにデイジーちゃんはライトから魔法の(ロット)を貰っている。魔法の杖を使ったほうが魔法は扱いやすいのだ。


「ファイアボール。ウォーターボール」


 デイジーちゃんの持っている杖の先端に二種類の玉が生まれており、火と水の中級魔法を発動していた。


 ――二種類の魔法を一気に扱えるようになっているなんて、デイジーちゃん、魔法の才能まであるのかな。いや、ライトの渾身の指導のおかげか。


「デイジーさん、そのまま上空に放ち、同じ位置で衝突させてください」


「わかった!」

 

 デイジーちゃんは上空に二種類の玉を発射し、地上から一〇メートルくらいの位置で衝突させる。


 デイジーちゃんの放った二種類の玉は互いに衝突し合い、水蒸気爆発が起こった。威力は爆風で木が大きく撓るくらい。直撃を食らったら無傷では済まなそうだ。


「うわ~い。うわ~い。ありがとう、ライト君。初めて成功したよ~」


「そ、そうですね。よかったよかった……」


 デイジーちゃんはライトにギュッと抱き着き、ピョンピョンと跳ねる。子供が喜んでいる仕草そのもので微笑ましい。


 だがライトの方は気が気ではないようで、もの凄くてんぱっている。そりゃあ、好きな女の子に抱き着かれて感謝されたら誰だって赤面し、緊張するだろう。


 ライトは自分も抱き着こうか、何もしないでいようか迷っており、手を震わせていた。ここでギュッと行くのが男だろと私は思ったが、ヘタレな弟はピタリと止まり、何もできずに立ちつくしている。


 ――あぁ、ライト。そのまま抱き着けばいいのに……もったいない。手に入れたいなら自分から行動しないと駄目だって、私が言わなかったかな。


「ガンマ君、ガンマ君~! 私ね、二種類の魔法を一気に使えたんだよ~」


 デイジーちゃんはライトから離れ、ガンマ君の方に走っていき、自分が出来た魔法を得意げに話していた。


「ええ! 二つの魔法を一気に発動できるんですか。すごいですね。僕はまだ一種類の魔法しか発動できませんよ」


「えへへ~、すごいでしょ~。いっぱいナデナデしてもいいよ~」


「デイジーさん、よく頑張りましたね。本当にすごいです」


 ガンマ君はデイジーちゃんの頭をなでる。


「えへへ……、ありがとう、ガンマ君……」


 デイジーちゃんはまんざらでもない表情を浮かべ、俯きながら赤面していた。


 ――が、ガンマ君の兄力が強すぎる……。あの四人は本当に同じ年齢なのだろうか。兄、弟妹、一人っ子……。それぞれの性格がもろに出ている気がする。


「ふふ~、ふふふ~、楽しいなぁ、楽しいなぁ~。あぁ~、早く大きくならないかな~」


 私は茂みに隠れ、四人の行動を見守っていた。すると、ベスパが地面からぬぅ~っと現れ、私に言う。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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