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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
キララの誕生日公演会(ライブ) ~誕生日前なのにトラウマが再来する編~

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ブラックベアーの名付け

「あの……、あなたの名前は何ですか?」


 母ブラックベアーは私に聞いてきた。


「私の名前ですか? 私の名前はキララ・マンダリニアと言います。逆にあなたに名前はあるんですか?」


「わ、私達は魔物なので名前はありませんよ。つがいは一生同じですし、死ぬまで他の同種族と一緒に生活することはありません。なので名前がなくともいいんですけど……。人からしたら皆同じ魔物の総称で呼ぶのでわかりにくいですよね」


「まぁ、三頭ともブラックベアーですからね……」


「キララさんが名前を付けてくれませんか。私と息子、夫に……」


「いいんですか? お三方で好きな名前を決めてもらってもいいんですけど……」


「その……、名前という概念がよくわからないというか、どうせなら助けていただいたキララさんに名付けていただきたいなと思いまして……」


「ん~~。三頭全員に名前を付けるのは難しいですね……。じゃあ、丁度役割が決まっているので一頭ずつにしてもいいですか?」


「というと?」


「私はあなたに名前を付けます。えっと、こっちの黒いローブを羽織っている子があなたの息子さんに名前を付けます。この場にはいないですけど、私の妹が夫の方に名前を付けます。どうでしょうか?」


「はい。全然かまいません」


「わかりました。ライト、ちょっといい」


 私は紙に長文を連ねているライトに話しかける。きっと文章を書くのに夢中で私の話は聞いていなかっただろう。


「ん? なに、姉さん」


「私達三人でブラックベアーの親子に名前を付けることになったから、ライトは息子君の名前を決めてくれる」


「そうなの? わかった。考えておくよ」


 ライトは息子君の方を見て少し笑ったあと、しっかりと考えたいのか時間を置くそうだ。


 ――ん~。まさかブラックベアーに名前を付ける時が来るとは……。もう、熊にそっくりだから、クマさんとか。いやいや、さすがに安直だな。女性だし、何かいい名前……。ベアコ、ベアミ、ベアちゃん。ん~、悩ましい。


「キララ様の名付けの才能は皆無なので考えても意味ないと思いますよ。パって考え付いた名前でいいんじゃないですかね」


 ベスパは私の頭上から意見を言ってきた。


 ――でも、名前って一生残るし、そんな安直に着けられないよ。そうだなぁ。何か可愛い名前がいいなぁ。黒いクマ……黒、黒蜜……。クロミ……いや、あれは違う。ん~、もう、クロクマさんでいいか。


「ほら。安直~」


 ベスパは笑い、やっぱりと言った表情をしている。ベスパの言う通り、私には名前を付ける才能がないみたいだ。


「えっと……、あなたの名前はクロクマにします。どうでしょうか?」


「クロクマ……。いいですね。私、クロクマという名前、気に入りました」


 クロクマさんは口角を上げて笑う。食べられてしまいそうで、少々おっかない。


「あ、そうなんですか……。じゃあ、クロクマさんということで。これから協力よろしくお願いします」


「はい。助けてもらった恩を返すため、私達はキララさんのお役に立てるよう精一杯の努力をさせてもらいます!」


 クロクマさんはガウガウと叫びながらやる気を見せている。


 だが、ブラックベアーに何かをさせるわけにはいかないので、ただ檻の中に入っていてもらうだけなのだが、何か仕事ができるのだろうか。


 私はブラックベアーのクロクマさんと友達になり、温厚なブラックベアーに対しては恐怖心を抱かなくなった。でも夫さんのような狂暴化しているブラックベアーにはちびりそうなくらい恐怖心が残っている。


 まぁ、動物園で見るクマと自然界で見るクマとでは怖さが違うのといっしょだ。そう考えると、私のトラウマは一生こべりついて離れないのだと悟る。


「クロクマさん。一つ気になったことがあるんですけど聞いてもいいですか?」


「はい。何でしょう?」


「クロクマさんの体を治す時に多くの切り傷があったんですけど、あれは夫さんにつけられた傷ではありませんよね。何か、刃物のようなもので掻っ切られたような跡でしたから、人に攻撃された覚えがあるんですか?」


「わ、私の体、見られちゃったんですか……。やだぁ、恥ずかしいです……」


 クロクマさんは鋭い爪の付いた大きな手で眼元を隠す。


「…………」


 クロクマさんは見かけによらず乙女だった。別にいいんだけど。


「私達は人間に何度か遭遇して攻撃されたんです。逃げたり、攻撃したりして戦いました。大体どちらかが逃げる形で終わっているんですけど、その時の傷が残ってるんですよね」


「なるほど。やっぱり人につけられた傷だったんですか」


「はい。あと、この村に来る前、何個か別の村に助けを求めたんですけど、全部追い払われてしまって……。最後の最後、この村に到着したんです」


「はぁ~。そりゃあ、普通は追い払われますよね。でも、よく人に助けを求めようと思いましたね」


「私達は大きくて他の魔物より強いですから、私たちに勝てるのは人とか知恵の高い生き物しかいないんです。まぁ、ゴブリンに負けるのは癪ですけど、数が相手だとどうしても負けてしまいますね。でも、一対一でなら、多くの魔物に負けない自信があります!」


 クロクマさんは糸で封じられた腕をグルグルと回して野球のバットを振るようなビンタを何度も繰り出している。きっとあの一撃を受けたら人の頭が簡単に吹っ飛ぶのだろう。


「ブラックベアー自体、相当賢いですよね。私とここまで会話できている時点で賢いとわかりますよ」


「はは……。まぁ、頭が大きいですから、脳みそも大きいんです。だから考えられることも多いんですよ」


「確かに、クロクマさんは体が大きいですし、脳も大きそうです。というか、脳という言葉も知っているんですね」


「生き物は頭の脳みそが濃厚で特に美味しいですからね」


 クロクマさんは真っ赤な舌を出し、唾液をジュルリと飲み込む。


「な、なんかいきなりクロクマさんが怖くなってしまったんですが……。もしかして私を食べようとしていたりしませんよね……」


「し、しませんしません。キララさんは私たちの命の恩人ですから、そんな残虐なことはしませんよ。でも、人族にとっては魔物の脳みそなんて全く必要じゃないと思いますから、食事に加えてくれると嬉しいかな~なんて……」


 クロクマさんは美食家なのか、魔物の脳が好物だという。まぁ、脳が食べられる魔物なんて知らないし、カニ味噌は脳みそじゃなくて臓器だし……。はぁ、カニ。食べたいなぁ。


 私は前世の記憶を思い出し、小さな贅沢をしたカニ尽くしを思い出す。味噌を食べまくった思い出がよみがえり、いつか見つかるといいなとひそかな楽しみにする。


「えっと、この糸、凄い丈夫ですよね。全然千切れません。私、結構力がある方なんですけど、びくともしませんよ」


 クロクマさんは手を放そうとするも糸は千切れない。


 ――いや……、私はあなた以上に力のある魔物を今のところ知らないんですよ。


「その糸は私の友達が出してくれているんです。簡単に燃えますけど、千切れはしません。力をあまり入れ過ぎると手が裂けますよ」


「え……」


 私はネアちゃんに極細の糸を出してもらい、指が切れないよう魔力で覆う。丁度枝の伸びすぎた木が近くに生えていたので、無駄な枝に極細の糸を巻き付けて両方向に引っ張る。

 

 すると、糸が枝を切り裂いた。枝が木から離され、重力によって落ちてくる。


「いて……」


 私の頭に切られた枝が落ちてきたのに加え、魔力で覆っていたのにも拘わらず、指先が少しだけ切れてしまった。


 細い糸をちょっとした武器にしようと思って考えたのだが、私の体にも傷がついてしまうのは考えようだ。


「キララさん、指を見せてください。すぐに縫い付けますね」


「う、うん……、血がドバドバ出てるよ……」


 ネアちゃんはぱっくりと切れてしまった人差し指の腹を糸でシュシュっと縫い合わせてくれた。痛みは全くなく、出血もしていない。いや……すごい。


「クロクマさんの手にはアラーネアの糸が巻き着けられています。万が一攻撃してくると危なかったので縛っていたんですが、もう、必要ないかもしれませんね」


 私はクロクマさんの手に巻き付けられているネアちゃんの糸を『ファイア』で燃やした。


「グラアアアア!」


 クロクマさんは両手をグワッと持ち上げて吠える。その姿はヒグマが敵を威嚇する姿にそっくりで、体毛が黒い分、さらに恐怖感を煽ってくる。


「きゃあっつ!」


 私は乙女のような悲鳴を上げ、地面に座りこんでしまった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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