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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
キララの誕生日公演会(ライブ) ~誕生日前なのにトラウマが再来する編~

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夢の中にいるようだ

「さてと贈物も渡したし、食事にしますか」


 お母さんは手を叩き、料理をテーブルに並べる。


 私達は身内、知り合い、従業員の定員約三五名で食事を行い、楽しい夜を過ごす。


「いやぁ~、キララがいつの間にかこんなに大きくなってるなんてな」


「ほんとね……。六年前はほんと死にかけてたものね。こんなに元気になってくれて……、ほんと良かった」


 お父さんとお母さんは私の記憶が戻る前の話をしていた。


 私は五歳に自分の前世について思い出したわけだが、その前の記憶が少々抜け落ちていた。


 前世を思い出す前、私は相当な高熱にうなされていたらしい。もちろん死の淵際で後遺症が残る可能性があったとリーズさんに言われたそうだ。


 土に含まれている瘴気が私の中で悪さをしていたらしく、リーズさんの回復魔法と聖水の力で瘴気を排除したそうだ。あとは私の気力しだいと言うほど衰弱していたと聞かされ、身が震える。


――一週間眠り続け、起きた時には前世の記憶を思い出し、起きたと……。まぁ、熱が前世を思い出すきっかけになってたわけか。


 そりゃあ、死の淵際に立ったらどうにかして生き残ろうとする本能が記憶を巡るってどこかの脳科学者が言っていたし、魂の記憶まで読み取っちゃったんだろうな。でも、そのお陰で私は楽しい人生を送れている訳だから、私の魂をこの世界で復活させてくれてありがとう。そう思おう。


 神様にね。


 私はお母さんの手作り料理をたらふく食べ、お腹がはち切れそうになりながらも誕生日の余韻に浸っていた。


 なんせ、来年は一二歳。もう学園の試験が迫っている時期だ。


 学園に入学するまで生活が楽しめる時間が少なくなるはずなので、今を全力で楽しんでいる。


 地球で言うところの中学受験だが、子供の内から中学受験をしたい子なんていないだろう。


 大抵は親の言う通りに進んで受験するのだ。でも私は違う。自分の意思で学園に通いたいと思っている。


――そこらへんの苦労していない貴族のボンボンに負けてたまるかってんだ。努力すればするだけ伸びるのが子供の特権。いくらでも努力する価値がある。私は努力することが嫌いじゃないんだ。つまり、どこまでも伸び続けられる。まぁ……なるべく目立たないようにしないといけない。正教会に目を着けられたら終わりだ。


「もう、夜も遅いし、そろそろお開きにしましょうか」


 お母さんは皿を片付け始める。


「そうだね。ここまで皆が準備してくれたんだし、私が片付けるから、皆は帰ってもいいよ」


「何を言っているんだ、キララ。お父さんも手伝うに決まっているだろ」


「じゃあ、男性陣は後片付けを手伝ってもらう。女性陣も掃除とか、簡単な作業をお願い」


 私は総務らしく、皆に仕事を振っていった。片付けはすぐに終了し、あれだけ華やかだった場所は殺風景な空間に戻る。


 最後にディアたちにお願いしてゴミの処理を一斉に行った。ほんと何でも食べる食べる……。彼らの胃袋が強靭すぎて燃やす必要がない。環境に優しすぎるね。


 私達はそれぞれの家に帰る。


 私はすぐさま体を綺麗にしたかったので、ライトにクリーンを掛けてもらった。体の汗や汚れが一瞬にして浄化され、肌が潤う。水がもったいない時は魔法で体を綺麗にするのが一番効率がいい。でも、水で拭いたほうが綺麗になった気はする。


 家に帰ったら口の中もクリーンで綺麗にする。歯磨きをするのが面倒な時はいつもこんな感じだ。まぁ、歯磨きと言っても布を使ってする歯磨きなのでブラシよりも楽なのだが、歯の隙間に入っている汚れは落ちにくいので魔法を使ったほうが清潔だ。


「私、大人の歯が生えそろってきたけど、歯並びが物凄く綺麗だよな……」


 私は水面に映る自分の顔を見て歯並びの良さを改めて知る。


 昔もよかったが今もいいなんて最高だ。


 歯並びで顔の印象はガラッと変わるのだから、綺麗な方がいい。こっちの世界で歯の矯正なんて出来ないと思う。綺麗に生えそろってくれているのは感謝しかない。


「ふふ~、今日の私も可愛い~。よし、自分の頭を洗脳洗脳」


 私は自分の顔を見て可愛いと再確認したあと自室に戻り、服を着替えてベッドに寝ころんだ。


「ふぅ……。ベスパ、今日もお疲れ様。色々と大変だったけど誕生日が無事終わりそうだよ」


 私は木の穴に向かうベスパに声をかけた。


「はい。本当に色々ありましたけど、キララ様が無事で良かったです」


「ネアちゃんとディアもありがとうね。ベスパ以上に頑張ってたと思う」


「私達はキララさんに魔力を貰っていますから、お返しするのは当たり前ですよ」


「そうですよ、キララ女王様。私達はキララ女王様のおかげで生活出来ているのです。私達もキララ女王様の為に働けてとても嬉しいです!」


 ネアちゃんとディアは私の両手にいて、頭をペコペコと下げている。


 私はネアちゃんを天井に張り巡らされている巣に投げ、ディアは床におろす。


「はぁ。にしても、あの光はいったい何だったんだろうね。夜なのに日と同じくらい明るい光が差し込むなんておかしいでしょ」


「そうですね。でも、あの光は他の者達には見えていなかったようですよ」


 ベスパは私の知らなかった事実を話した。


「え? そうなの……。私は皆にも見えていると思っていたんだけど……、あ、だから誰も質問してこなかったのか」


「はい。ただ、私にもあの光が何なのかはわかりません。神父さんならわかるかもしれませんけど、今の時間に聴きに行くのは吝かではありますね」


「うん……。あの光のおかげで体力が続いたから四回も歌って踊れたけど、もう、ほんとうにきついね。毎週やるのは絶対に無理」


「キララ様の信仰するアイドル神様への歌と舞は素晴らしかったです。あそこまで素晴らしいと見入ってしまいます。感性が人一倍高い私なんて終始発狂状態でしたよ」


「はは……、そうだったんだ。知らなかったよ。でも、ベスパは私を照らし続けてくれていたから、私は踊れたし歌えた。ありがとうね。あと、これからもよろしく」


「はい。もちろんです。キララ様が生きている限り、私はキララ様のもとに一生いますからね。キララ様がどれだけ嫌がろうとも、私はキララ様の後ろから翅音をブーンと鳴らしながら着いていきます」


「言い方が気持ち悪いよ。なんか犯罪臭がするし、ほんとムカつく……。まぁ、でも、ベスパがいないと私は何も出来ないし、沢山頼るよ。私の出来ないことはベスパに頼む。でも、私の出来ることはなるべく私がやるようにする。そうすれば、綺麗に役割分担できるでしょ」


「私がキララ様のお世話をすべてしたいと山々ですが、キララ様がそう言うのであれば私はしたがいますよ。なんせ、私はキララ様の魔力でありスキルですからね」


 ベスパは私に一礼し、紳士的な行動を見せる。


「じゃあ、明日は普通に仕事だから、もう寝ようか。疲れたら寝る。これが健康に一番いいよ。ふわぁ~、丁度いいくらいに眠たくなってきたし、じゃあ、ベスパ。お休み」


「お休みなさいませ、キララ様」


 ネアちゃんは天井の蜘蛛の巣ならぬアラーネアの巣で眠り、ベスパは木柱の穴、ディアは壁の隙間や天井裏で眠る。


 私は木のベッドで眠る。もう少し良いベッドが欲しいと何度も思うのに、一向に実行しないのはなぜだろう。そんなことを考えながら眠りに着く。


 私は眠っていた。凄くぐっすりと眠っていた。そのはずなのだが……。


「今いるのはどこでなのでしょうか……。ここは夢の中かな。前世のお母さんと会った場所に似てる。ほんと何年ぶりだろう、こんな夢」


 私は寝間着のような姿で何もない空間にいた。とんでもなく無垢な空間。虚無感が凄い。私の精神が崩壊しそうなほど何もなく、ただもやもやとしている雰囲気が漂う場所だ。


「足はある、死んではいないか……。何で私はこの場所にいるんだろう」


 私は夢遊病にでもかかったように歩く。重くも軽くもない足取りでどこまで続くのかもわからない夢の道を進んだ……。


 すると、視線の先に誰かがいた。


 なんかすごいオタ芸を踊っている方だ。


――いったいいつの時代のオタクだろう……。チェックガラにジーンズ、マル眼鏡に黒いリュック。いろんな色のペンライト……。平成初期かな。でもまぁ、よく見かけた量産型オタクっぽい。って、あの方は誰だよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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