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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
キララの誕生日公演会(ライブ) ~誕生日前なのにトラウマが再来する編~

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危険な仕事を任せる

「このブラックベアー達に特効薬が効くのか試したいですけど、魔造ウトサの発症時間なども調べたいですし、子供の方は症状が出るまで放置でもいいと思いますか?」


「ん……。そうだな。実際遅効性の場合、どれだけの間で暴走するのか知っておきたい。だが、何で暴走するかわからねえぞ。いつの間にか暴走しているかもしれねえし、何が起こるかわからねえ。村にブラックベアーの子供を生け捕りにしておくなんて危険すぎる」


 フロックさんは小さいブラックベアーを見ながら話した。


「まぁ、確かに危険ですけど、せっかく掴んだ手掛かりですし、情報をもう少し集められたらいいと思いませんか?」


「まぁ……、それはそうだが……」


「丁度いい所に天才がいますし、ライトにブラックベアーの子供を預けたいと思います」


 私はライトの肩を掴みながら言う。


「ちょ! 姉さん。いきなりそんな面倒臭い仕事を押し付けないでよ」


「ライトは経験を積みたいんでしょ。なら、魔物を育てるのだって経験だよ。魔物を育てても懐かないと言われてるんだけど、研究対象として見たらライトの思考を楽しくさせてくれるかもよ。あと、魔法の練習相手にもなるし」


「おいおい、ブラックベアーを的にするつもりか。まぁ、魔法ならこいつらほぼ無傷だし、貫通力の高い魔法じゃなければ死にはしないはずだが……、弟に魔物を本当に与えていいのか? 前代未聞の姉だろ。俺の師匠でもそんなことしなかった。魔物をテイムするのは魔物に適したスキルを持つ者だけだ。ライトはテイムのスキルを持っていない。そうなると、ブラックベアーを手なずけるなんてほぼ不可能だぞ」


 フロックさんは苦笑いを顔に浮かべて話す。


「ほぼ不可能……。ふふふ、そそりますね。不可能なことを可能にすることが僕は大好きなんですよ! わかったよ、姉さん。僕は不可能を可能にしてみせる。魔物と仲良くなってみせるよ!」


 ライトの眼はいつも以上に燃えていた。頭がよく勉強が簡単に出来てしまうので大好きな難しい問題があっという間に解けてしまう。そんな苦労を抱えていた少年が不可能な課題を押し付けられた。そそられるに決まっている。加えて、本当に不可能を可能にしてしまいそうで怖い。


「いいな、いいな~。私にも何か役割を頂戴よ~」


「シャインは狂暴化したブラックベアーの相手をしてもらおうかな。どれくらい身体能力が上がるのかとか、思考がどうなるのとか。普通の人間じゃ危険すぎて頼めないけど、シャインになら頼める」


「ちょ、レディー。実の妹にブラックベアーと一対一で戦わせるなんて……。いったい何を考えているんだ!」


 シスコンのカイリさんは妹を傷付ける行為に反応したのか、ごもっともな意見を言ってきた。


「私はシャインになら頼めると思ったんです。シャインは剣術が大好きで、ブラックベアーとさっきも互角に戦っていました。闘技場のように魔物と戦う出し物をしながら楽しんでもらえるかなって。ちょっとしたお金儲けも……」


 私はシャインを信用して語っていたのだが、フロックさんが私の胸ぐらをつかんでくる。


「おい、いい加減にしろよ。遊びじゃないんだ。いつどうなるかわかって言っているのなら、お前は相当おかしい。万が一シャインが食われたらどうする。そうなってからだと遅いんだぞ」


「お、落ちついてください、フロックさん……。顔が近いです……。えっと、ライト。大岩を出してくれる。ざっと二○メートルくらいの」


「え、二○メートルでいいの? 一〇○メートルくらいじゃなくて?」


「いや、さすがに大きすぎるよ。直径二○メートルの大岩を空中に浮かばせて」


「わかった」


 ライトは地面から大量の土砂を巻き上げ魔力によって圧力をかける。地震のような振動が起りながら巨大な大岩が空中に浮かんだ。


「な……、ほんとにあんなに大きな岩が浮かんでいる……。詠唱も無しに……」


 カイリさんは口をあんぐりと開け、とんでもなく動揺していた。まぁ、詠唱も無しにやってたら驚くか。


「じゃあ、ライト。落としていいよ」


「は~い、加速度はつけなくてもいい?」


「うん。自由落下で十分。それでも私達はぺしゃんこだよ」


「お、おい……。お前ら、いったい何をする気だ……」


 フロックさんも動揺しており、大剣に手を当てていた。


「なにって……。ちょっとした遊びですよ。村には何もないので遊びは私達で作るしかないんです。これはシャインの考えた遊びで……、大岩をどれだけ木っ端みじんに出来るかって言う遊びなんですよ」


「は?」×フロック、カイリ。


「じゃあ、シャイン。いつも通り、ストレスを発散するように殴ってきて」


「わかった! 今日は木っ端みじんを目指すよ。お姉ちゃんとライトは村に飛んで行かないように破片をお願い」


「りょうか~い」×キララ、ライト。


 私とライトは知っている。私達の出番はないと。


「ふうぅ……。はっ!」


 地面がいきなり凹み、シャインの姿が消えた。


 私達は空を見上げると、大岩の目の前にシャインがいた。すでに大きく振りかぶり、狙いを定めている。


「どっこいしょっつ!!」


「なっ!!」×フロックさん、カイリさん。


 シャインは直径二○メートルの大岩を殴った。大岩ばベゴッと凹み、お椀のような形となって大岩を遥か上空に飛ばした。


 あたりには砂粒がパラパラとまい落ち、フロックさんとカイリさんの眼が点になっている。


 声も出せず、何が起こっているのか理解していない様子だった。


 そりゃあ、八歳の少女が巨大な岩を殴って遥か彼方に飛ばしたんだからおかしいとも思うだろう。私だって思っている。ライトだってそうだ。シャインが本気を出すと、私とライトが戦っても勝てない。


「ドサッツ……。ふぅ~すっきりした。でも、お姉ちゃんとライトみたく、壊せなかったなぁ……。私もバラバラにしたいのに……」


 シャインは落ち込む。はっきり言うとバラバラにするよりも巨大な岩を宇宙の方にまで飛ばす方が難しい。なのでシャインの方がはるかにすごいのだ。


「あの、フロックさん。シャインが本気を出せば山が凹みます。何なら、広大な土地が凹むかもしれません。この子がブラックベアーに負ける未来が見えないんですけど……」


「山が凹む……」×フロックさん、カイリさん。


「実際にやった覚えはないですけど、思いっきりやれば凹むと思います。ライトの計算だと山が無くなるらしいです」


 シャインは誇らしげに胸を張っていった。さらしを撒いているのに巨乳の片りんがすでに見えている。そんなことをしたら胸が大きいのバレちゃうよ。


「すまん、キララ……。シャインがまさかここまでとは思わなかった……」


 フロックさんはなぜか暗くなり、落ち込んでいた。


「そうだね。私も、ライト君がここまでとは思わなかった……」


 カイリさんもなぜか暗くなり、酷く落ち込んでいた。


「あ、あの……。二人共、そんなに落ち込まないでくださいよ。ライトとシャインはほんと規格外なんです。その、えっと、私の苦労……わかってもらえますか?」


「………………」


 カイリさんとフロックさんは互いに見つめ合ったのち、私の肩に手を置いた。頑張れの意味だろうか、ドンマイの意味だろうか。私のスキルを知ったあとの反応にしてはあからさますぎる。


――私のスキルってそんなに弱いの……。


「え、えっと……。じゃあ、ライト。シャインに魔物と戦ってもらって情報を集めてね」


「は~い」


 ライトは魔物の飼育。シャインは魔物と戦闘。どちらも危険すぎるのだが、二人が規格外なので、ビー達を見張りにつければ私が近くにいなくてもどうにかしてしまいそうだ。


「じゃあ、俺とカイリは魔造ウトサの実験がされていたと思われる場所を探す。あっちこっち回ったから、多くの場所に可能性がある。もう、多くの魔物や生き物に広がっているかもな。危険な場所があれば、特効薬とやらで一気に治療だ。こんな作戦でやってみるしかねえ。他にもあるってのに……」


 フロックさんは作成を決めた。私とカイリさんも賛成する。私は実験を纏める係として働こう。


 私達はブラックベアーのもとを去り、誕生日パーティーの会場である、牧場の広間にやってきた。花やリボンが飾られてあり、なかなかセンスがいい。


 ライトが飾りつけの途中だと言っていたので、私達で手伝っていた。そんな時、私の後方から何かもの凄い悪寒がした……。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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