お駄賃
「ライト、シャイン、よく頑張ってくれたね。臨時収入があったから、二人にお駄賃をあげます!」
ライトとシャインは目を合わせ、いきなり私の方を向いた。
「ほんと!」
「やった!」
ライトとシャインはは満面の笑みを浮かべ、輝く瞳で見つめてくる。
その瞳は子供らしからぬ顔ではなく、普通の少年少女そのものだ。
――この前はお金なんていらないって言ってたのに……。やっぱり二人はまだまだ子供だな~。そりゃあ、地球ならまだ小学生の低学年だもんね。
私はライトとシャインに銀貨を一枚ずつ手渡した。
「ありがとう、姉さん。何を買おうかな……」
「やった~、ありがとうお姉ちゃん。私、初めてお金を稼いだよ!」
――そうか、二人とも初めてのお駄賃か。私が初めて仕事をした時の月給はたった一万円しかなかったけど嬉しかったな。底辺のアイドルの頃から応援してくれていたファンたちは元気かな……。
「お姉ちゃん、私はもっとお手伝いする! それでお駄賃をいっぱい貰って、真剣を買うの!」
シャインは木剣を振りながら元気よく話した。
「ぼ、僕も、魔法杖が欲しいんだ……。だから、もっと働かせて!」
ライトも物欲が湧いていた。
「おっ! 二人とも、欲しい物が見つかったんだね。それなら、もっと頑張らないと。明日からも凄く大変だから覚悟しておいてよ!」
「うん!」
ライトとシャインは大きく頷く。
その日から私たち家族の生活はだいぶ変わっていった。というか、私が変えちゃったというか。
お父さんは仕事をきっぱりと辞めて、私たちを手伝ってくれるようになった。
お母さんも私たちを援助してくれるようになった。
そのおかげですごく楽に色々な仕事が出来るようになっていった。
お爺ちゃんもお父さんが牧場で働くことを了承してくれた。後継者ができてうれしがっていたけど、お父さんがちょっと可哀そう。お爺ちゃんは動物たちのことになると人が変わっちゃうから、扱かれるだろうなと優に想像できる。
牧場で働き始めた頃は不安で仕方がなかったが、今は数年前に比べて生活の質がすごく上がっていた。
昔は料理が黒パンとスープばかり、一時、ビーの子を食べて生活していたけど、それでもやはり栄養が偏ってしまっていた。
最近では山菜や川魚などを買えるくらい、生活が安定している。
そのおかげか、お父さんやお母さんはどちらも顔色が良いのが見て取れた。双子の成長も促進されみるみる大きくなっている。私の身長なんてすぐに追い抜かれてしまうだろう。
「お姉ちゃん、牛乳パックが入った木箱は荷台に乗せれば良いの?」
シャインは大きな木箱を持ち、軽々と運んでいた。
「うん、あとで村に配達しに行くから、準備しておいて!」
「は~い!」
シャインはすたこらと走り、木箱を運んで行く。
私たちの仕事は順調に進んでいた。牛乳の販売が成功し、勢いがついてきたころ、挫折を何度も繰り返してきたもう一方の練習が正念場を迎えていた。
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