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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
キララの誕生日公演会(ライブ) ~誕生日前なのにトラウマが再来する編~

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姫(妹)を守るのは騎士(兄)の務め

「あの、カイリさんには妹さんがいますか?」


「え、レディー。私に妹がいると、どうしてわかったんだい?」


 カイリさんは目を丸くして私を見て来た。


「いや……、何となく」


「麗しきアレキサンドライトのような瞳に、私以上の顔立ちを持つ大切な妹がいますよ」


 カイリさんは首から掛けているペンダントを持ち上げ、ぱかっと開くと肖像画が描かれていた。すっごく可愛い子がいるのだが、カイリさんとそっくりで遺伝子だなぁと、私は思ってしまう。


「この子は私の天使、いや、女神なのだけれど。今年、ドラグニティ魔法学園に入ってしまって半年も合って(会って)いないんだ。あぁ、早く合いたい(会いたい)なぁ。麗しき私の妹よ。兄は今も君の幸せを願ってるよ。もし下劣な男を釣れてきた時には相手の男をぶっ殺してやりますか……」


――いや、こわ。カイリさんもガンマ君と同じ気質なんだ。ほんと困るなぁ。というか、カイリさんの妹さん。今年入学ということは一二歳か。私がドラグニティ魔法学園に入ったら三年生の先輩になるんだ。名前くらいは聞いておいた方がいいかな。


「えっと、カイリさんの妹さんの名前は……」


「リーファ・クウォータという、森の中を流れる小川のせせらぎのような美しい音色の名前だ。何だい、レディーは妹に興味があるのかい! それなら長い時間、話してあげてもいいよ!」


 カイリさんは妹が語りが好きなのか、私の手を強く握りしめて瞳を輝かせている。


「あぁ……。別にいいです。面倒なので」


「リーファは成績優秀で才色兼備、私よりも魔法と剣の才能があって何もかも完璧な淑女なのだ……」


 カイリさんは私が頼んでもいないのに、妹の話をつらつらと語っていた。モークル達は呆れて草をむしゃむしゃと食べている。


「もう、お兄ちゃん、十分だよ。仕事が終わったあと私はカイト君とバートンに乗って遊ぶから、髪がどうせ乱れちゃうよ」


 テリアちゃんは髪を解いていたガンマ君を両手で押して離れる。


「な……、テリアはカイト君と遊ぶのか。僕じゃなくて?」


 ガンマ君は今にも泣きそうな表情をしてテリアちゃんに質問した。


「だって、お兄ちゃんと遊んでいても何か楽しくないんだもん。あ、私は仕事がまだ残ってるから、早く終わらせないと、カイト君が迎えに来ちゃう。じゃあ、お兄ちゃんも仕事を頑張ってね」


 テリアちゃんはモークルの厩舎の奥へと走って行った。


「あ……。終わった……」


 ガンマ君は魂を抜かれたように膝を地面に着ける。その傍に、カイリさんが歩いて行った。


「少年。妹というのはああいうものだ……。いつかは私たちのもとを離れていくのだよ」


「そ、そんな……。う、嘘だ……」


 ガンマ君は両手を地面につけ、悔し涙を流す。


「悲しいが、これが現実だ。だが、私達は妹を愛し、導いてやらなければならなのに変わりはない。愛する妹に悪い虫が付いた時は私達が駆除しなければならないんだ。そのためには強くなければいけない。少年も強くなれ。それが妹を守る騎士(兄)の役目だ」


「うぅ……。そうですね。僕も強くならないと……。すみません。さっきは大声で叫んでしまって……」


 ガンマ君は眼元を擦りながら、面を上げてカイリさんを見る。


「いや、いいんだ。妹を守る姿はまさに騎士だった。私は少年を誇りに思うよ」


「ありがとうございます。えっと、僕の名前はガンマ・サリンズといいます。あなたは……」


「私の名前はカイリ・クウォータ―。ガンマ君と同じ、妹を守る騎士(兄)だ」


 カイリさんはガンマ君に手を差し出す。ガンマ君はカイリさんの手を握り、立ち上がった。


 二人は意気投合し、長い間話し合っている。どうも、波長がかみ合ってしまったらしい。


――何、すっごく面倒なんだけど。過保護にもほどがあるでしょ。まぁ、犯罪は起きないと思うけど、気変わりするかもしれないし、ガンマ君にはシスコンを早く治してもらわないと。


 私は自分自身でモークル達のいる厩舎が涼しくなっているのを確認し、メークルたちのいる小屋へと向かった。


「メェー。メェー。メェー。メェー」

(はらへった~、はらへった~、草くれ~、草くれ~)


「はい、牧草だよ。いっぱい食べてね」


 小屋にはセチアさんがおり、メークルたちの餌箱に牧草を入れて食べさせていた。


「セチアさん。調子はどうですか?」


「あ、キララちゃん。調子はね、すっごく良いよ。これでもかって言うくらい体が動くの。最近はシャインちゃんの動きにも何とか食いついていけている。まぁ、ギリギリだけど……。でも、この村に来てから体つきが変わったんだよ。ほら、ちょっとは大きくなったんじゃないかな」


 セチアさんは胸をぐっと広げて見せてきた。どう見ても私と同じぺったんこなのだが、彼女には成長したように見えるらしい。


――ふっ。牛乳を飲むようになったからってそんな簡単に大きくなるわけがない。なんせ私はずっと飲んでるのに全然大きくならないのだ。たかが、一ヶ月で大きくなるなら私の苦労はいったい何なのさ。


 私は真正面からはどう見ても絶壁なので横から見ることにした。


「なっ! そんな馬鹿な! あり得ない!」


 セチアさんの胸はAAカップからAカップくらいに進化していた。


 まぁ、どっちにしろ、小さいのだが初めて見た時よりも成長している。


――いや、ちゃんとした食事をし始めて体に脂肪がついているだけだ。きっとここで成長は止まるはず……。でもセチアさんの年齢は一二歳。それならまだまだ成長する可能性を秘めているのか……。なら、私もまだまだ成長途中。絶対に大丈夫、うん。絶対に大丈夫。


「キララ様。他人と比較しても何も意味がないと思いますが……。特に胸など大きかろうが小さかろうが子に乳を与えられれば関係ないと思いますよ」


 ベスパはデリカシーのない言葉を吐いた。まぁ、極論はどちらでも構わないのだが、私は前世でぺったんこを経験しているのでどうせなら大きな方を選びたい。


 前世で肩が凝りまくった時がない。なんせ、私の胸には重りがなかったのだから……。


 私も肩が重いから~とか言ってテーブルにデカデカと乗っけてみたかった。ほんと何なんだろう。あのマウントを取ってくるグラマーなアイドル達は……。妬みか、嫉みか。ほんと、羨ましい! 


 私はその場でじだんだをふみ、セチアさんの成長を羨んだ。なんせ、私の成長が著しく遅いから。


 魔力はとんでもなく増えていくのに、身長と胸は全く以て大きくならない。


 育ち盛りの一〇歳児にしては、ほんとに成長が遅い気がする。一〇歳児なら半年で身長が五センチメートル伸びるなんてザラなのに……。私と来たら一センチメートルくらいしか伸びてない。


――まさかもう、成長期が終わりとかないよな……。このまま行ったらロリコンにしか目むきされないガキンチョ体型になってしまう。


 私は小学生のころ。身長が早く伸びないかな~、など全く思わず過ごしていた。だが、今の状況になって将来の自分の姿がどのようになるのか不安で仕方がない。


 なぜそう思うのかって? 私が元大人だからだ。


 男性は身長一七○センチメートルじゃないと人権がないなんてほざく時代を私は生きていた。前世の身長は一六五センチメートル。女子としてはそこそこ背が高い方だ。まぁ、胸はBよりのAカップ……、じゃなくて! A寄りのBカップだった。嘘じゃないよ。ほんとだから。ほんとだからね!


 今の身長は一二六センチメートル。一〇歳にしては小さいかもしれない。でもお父さんとお母さんが大きいから私も大きくなるはずだ。そう信じたい。胸は言わずもがなAAカップ。まぁ、まだ一〇歳だし。大丈夫大丈夫。明日には一一歳になるけど……。


「あぁ……」


「お~い、キララちゃ~ん。大丈夫?」


 放心状態の私にセチアさんは手を振っていた。


「うぅ、うわぁ~ん。セチアさんは大きくならないで~」


 私はまな板のセチアさんに抱き着いた。胸は硬くなく、どことなく八つ橋っぽい餅感がある。


――うぅ……、私は弟のライトに痛いとか言われるくらいのまな板なのに……。


「ちょ! キララちゃん。いきなりどうしたの」


「セチアさん、剣士に胸はいりませんよ! なので、絶対に大きくならないでくださいね!」


「なっ! そ、それはぁ……。でもなぁ。ラルフは胸が大きな人が好きだからなぁ……。私もメリーさんくらいになれば、あのおっぱいバカも振り向いてくれるかもしれないし……」


――いや、ラルフさんは多分もう、セチアさんのこと大好きだから。それ以上、大きくならなくてもセチアさんを愛してくれるよ。だから、お願い、大きくならないでぇ~。


「キララ様、ちょっと情けなさすぎますよ……」


 ベスパの小さな呟きが私の心を抉ってくる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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あら?身長138cmじゃなかった?
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