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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
『風の悪魔』が笑えば街が吹き飛ぶ ~大雨の中でも仕事する編~

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誕生日の一日前。

 日は過ぎ、私の誕生日がやってくる。八月七日、誕生日一日前。その日は朝から色々と忙しかった。


「はぁ、はぁ、はぁ~。キララさん。帰ってこれましたぁ~」


 ルドラさんはルークス王国の王都から牧場の倉庫前に戻って来た。


「ちょ、ルドラさん。抱き着かないでくださいよ」


「もう、死ぬかと思いましたよ。道が大荒れで、何度吹き飛ばされそうになったか……」


 商人のルドラさんは悪魔、テュフォーンの影響をがっつり受けていた。荷台は壊れていないが所々変形しているのを見ると何度か横転したみたいだ。荷台が軽すぎたのかもしれない。


 私に抱き着いていたルドラさんはさっと離れ、話し始める。


「ほんと、あんな強風は生まれて初めての経験でした。いきなりすぎて私のスキルに大切な物を全部突っ込んでやり過ごしましたけど、冷蔵車と私の荷台がボロボロに……」


 ルドラさんは、自分の仕事道具が壊れてしまい、相当悲しいみたいだ。


――仕方がない、情けで直してあげよう。なんせ、金貨五○枚の冷蔵車の製造費はほぼゼロなのだ。年間保証くらいついている。


「ルドラさん。安心してください。冷蔵車と荷台はちゃんと直しますから、すぐに使えるようになりますよ」


「ほ、本当ですか!」


 ルドラさんの表情がパーッと明るくなり、私に何度も頭を下げて感謝してきた。


「あと、車輪に魔法陣の付与をしておきますから、雨風の強い時は魔力を注いでください。走りやすくなるように魔法が援護してくれます」


「そ、そんな魔法、どうやって……」


 私は自分の使っている荷台に描いた魔法陣を魔力で写し、冷蔵車の車輪に付与した。車輪の全てに魔法陣を押印(スタンプ)のように付与していき、修理はベスパに任せる。


――ベスパは冷蔵車と荷台の点検及び修理をお願い。ネアちゃんは、ベスパを手伝ってあげて。あと車輪に糸を巻き付けておいて。


「了解です!」


「わかりました!」


 ベスパとネアちゃんは他のビー達と共に冷蔵車と荷台の修繕に取り掛かる。その間、私はルドラさんとお金の話をしていた。


「キララさん。牛乳パック一〇○本が完売しました。といっても、一〇店の菓子職人に渡してきただけですけどね。今回も一〇本で金貨一〇枚なので金貨一〇○枚の売り上げです。そのうちの二割は私が貰いますから、八○枚がキララさんの牧場に入るわけですね」


「ありがとうございます。危険な状況でもちゃんと帰って来てくれてよかったです」


「キララさんの牛乳を運ばせてもらっている身ですからね。何が何でもやり遂げる執念が違いますよ。この村は税金も掛からないですし、私の懐も温かくなる一方です」


「はは……。そんなこと言って王都で脱税したら捕まりますよ」


「商業ギルドに税金はもっていかれますから、脱税は出来ませんよ。まぁ、商業ギルドを介さない闇市とかなら、脱税は出来ますが私は捕まるのが嫌なので危険な取引はしません」


「その方がいいですよ。まぁ、王都がどういった場所かまだ知りませんけど、犯罪はしない方がいいにきまっています」


「もちろんですよ。犯罪なんてしたら、商人なんて一瞬で終わりです。どん底の者達が人生を変えるために犯罪をするならまだわかりますが、私のような成功している商人は犯罪を滅多に起こしません」


――ルドラさんは自分で成功していると思っているんだ。まぁ、ドラグニティ魔法学園を卒業しているわけだから、成功するのも必然なのかもしれない。


「じゃあ、キララさん。今回の報酬を渡しますね」


 ルドラさんは胸元から、大きな革袋を取り出し、地面に置いた。


「こちらが金貨八○枚入った袋になります」


「ありがとうございます」


 私はベスパを一度呼び戻し、お金の確認をお願いする。


――ベスパ、袋の中身を確かめてくれる。


「了解です」


 ベスパは地面に置かれた袋を持ち、重さから金貨の枚数を計算した。


「はい、確かに金貨八○枚入っています」


――ありがとう、じゃあ、家の中にある転移魔法陣から地下金庫に送ってくれる。


「了解です」


 ベスパは飛んで行き、家の中にある転移魔法陣に革袋を置いて魔力を流した。すると、金貨だけ消えて革袋がテーブルの上に残った。


 ベスパは私のもとに戻ってきて貯金が完了したことを伝えると荷台の修理に戻っていった。


「ルドラさん、少し聞きたいんですけど、風の影響でルークス王国の王都がどうなったか知りませんか?」


「さぁ……。私が暴風雨と衝突したのは街と王都の丁度中間くらいの場所ですから、王都がどうなったかはわかりません」


「そうですか……」


 ベスパは、王都が無事だといっていたので安心していいと思うのだが、少しだけ不安になってしまうのはどうしてだろう。


――あ~ダメダメ、お節介の性格がすぐに出ちゃう。今は仕事、今は仕事っと。


「ルドラさん。もう一つお聞きしたいんですけど、いいですか?」


「はい、何でしょうか?」


「ルドラさんはルークス王国の王城で商売した経験がありますか?」


「いえ、ないですね。でも、私の夢の一つですよ。国王と取引が出来る商人なんてほんの一握りなんです。もし、出来たら、私は飛んで喜びますよ」


 ルドラさんは夢を語った。ああ、どうやらもう夢が叶ってしまうようだ。これが言霊の効果か……。


「じゃあ、頼まれてくれますね」


「はい?」


 私はルドラさんにルークス国の国王への献上品認定書を見せた。


「な、な、ななな……。どうなっているんですか……」


 ルドラさんは私の持っている認定書を受け取り、眼を見開いて驚いている。


「王様が私達の作っている牛乳をどうやら気に入ってくれたらしくて献上してほしいそうなんです。でも、一〇〇〇も献上できないので初めは一〇〇は本ほど献上します。その際、牛乳は貴重な品なのでいきなり一〇〇〇本の献上は無理です。でも、献上する本数は少しずつ増やしていきますと王様に説明してほしいんです」


「え、ちょ。キララさん……。私が王都に行って国王を交渉する商人ということですか?」


 ルドラさんは苦笑いをしながら私の眼を見る。


「私はルドラさん以外に商人さんを知りませんし、ルドラさんなら快く受け入れてくれると思ったんですけど駄目ですかね?」


 ルドラさんは両手に持っているメークル皮紙を震わせ、にやけているにも拘らず、泣きそうな目をしている。いったいどういう感情なのだろうか。


――夢がいきなり叶って嬉しすぎるのかな? はたまた、現実味が無さすぎて困惑しているのかも。


 ルドラさんは感情の起伏が激しく、八分ほど困惑しきった後、気持ちが最高潮に達したのか笑った。


「わ、私が王城で仕事できる日が来るなんて……。思ってもみませんでした」


「今回の件で王様と仲を結んでおけばルドラさんのこれからの仕事の発展と貴族の躍進につながるのではないでしょうか?」


「は、はい。それはもう、大変名誉なことです。ありがたく受けさせてもらいます」


 ルドラさんは頭を深々と下げた。


「よかったです。あと、牛乳の販売が王都で可能になったので、牛乳を使ったお菓子をお店に出してもらっても構わないと菓子職人さん達に伝えてください」


「わ、わかりました。菓子職人達に言っておきます。えっと、販売の許可が下りたということは、次からは私の手腕で牛乳を売ってもいいと言うことですよね?」


「はい。牛乳をルドラさんに渡します。最低価格は牛乳瓶一本銀貨一枚にしておきますけど、ルドラさんの考えで割高で売ってもらっても構いません。ただ、相手の納得する値段で売ってくださいね」


「わかりました。もう、全身全霊で売りまくってきます。でも、そうなると確実に大金が舞い込んでくるのでキララさん宅の金庫が満杯になってしまうかもしれませんよ」


「安心してください。私達の金庫はどれだけでも増やせますから」


「そうなんですか。でも、高額になって売れてくると盗賊にも狙われやすくなりますから、護衛が必要ですね」


「その点は心配ありません。なんせ、護衛にはあの二人を使えばいいんです」


「もしかしてフロックとカイリですか?」


「はい。今はこの村に滞在しているので行きは守ってくれます。帰りはわかりませんが、一ヶ月単位で行き来してもらったほうがルドラさん達も楽になると思うので、全速力で帰ってこずに、王都でしっかりと仕事してから帰って来てください。その分、沢山の牛乳を渡しておきます」


「なるほど、今まで死に物狂いで移動していましたけど、一ヶ月毎なら余裕が少し出来ますね。交渉やら商談やら王都でのお金稼ぎが行えるようになるのは大きいです。ありがとうございます」


 ルドラさんは頭を先ほどよりも深く下げた。


「いえいえ、毎回遠い所から村に来てもらって嬉しい限りなので、他の場所にも向かってあげてください。私ばかりルドラさんを独占するのは少々悪いですからね」


 私は他の村の発展がルドラさんという有能な商人さんを差し押さえていることで遅れていると思い、彼を少し自由にさせる方針に変えた。


 ルドラさんは三○日単位で村と王都を行き来する話になった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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