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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
『風の悪魔』が笑えば街が吹き飛ぶ ~大雨の中でも仕事する編~
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ドラグニティ魔法学園

「じゃあ、今、金貨五○枚を用意するからちょっと待っていてほしいにゃ」


「わ、わかりました。今、私の方も準備をしているので急がなくてもいいですよ」


 トラスさんはカウンターの方に向かい、ギルドの奥へと入って行った。


「はぁ……。良い商品はやっぱり売れるんだなぁ。当たり前すぎるか。でも、雨具は毎回買う訳じゃないから毎週必要にはならないよな。どっちかと言うと、始めにどかっと注文が入ってどんどん落ち着いていく感じか」


 数分後、トラスさんは革製の袋を持って戻ってきた。


「じゃあ、ここに金貨五○枚を置いておくにゃ」


 トラスさんはテーブルの上に革袋を置いた。


「ありがとうございます。私の方はもう少し時間が掛かるので少し待っていてください」


「いくらでも待つのにゃ。今日はお店が休みだし、冒険者もこんな雨の中じゃやってこないのにゃ」


 トラスさんは椅子に座り、少し長めのおくれ毛を弄り始めた。


「そうですか。じゃあ、トラスさん、少し質問をしてもいいですか?」


「何をにゃ? ニャーが答えられる質問なら何でもして良いのにゃ」


 私はトラスさんの向かいの席に座り、話始める。


「私、ルークス王国の王都の学園に行こうと考えているんですけど、知り合いにギルドに小冊子(パンフレット)があると言われたので見せてほしいんです。いいですか?」


「キララちゃんは世界が亡ぶかもしれにゃいのに、学園に行こうとしているのにゃ?」


「まぁ、何も準備をしておかないよりいいじゃないですか。あと、何かしていないとよけいに怖くなってしまいますよ」


「それもそうにゃ。じゃあ、小冊子を取ってくるのにゃ。ちょっと待っててにゃ~」


 トラスさんは尻尾の先に着いた鈴を鳴らしながら歩いて行く。細長い尻尾は尾てい骨あたりから伸びており、ウネウネと揺れていた。加えて短めのスカート丈のせいで大きめのお尻が少しだけ見える。下尻がムチムチで無性にエッチい……。でも、トラスさんの雰囲気からして恐怖感を覚えているわけではなさそうだ。


――トラスさん、悪魔が怖くないのかな。私は結構怖いんだけど。はぁ、何も起こりませんように。


 私は神に祈った。私にはどうしようもない出来事なので神に安寧を祈ってもいいだろう。


「キララちゃん。小冊子を持ってきたのにゃ~」


 私が神に祈っていると、トラスさんは上半身が見えなくなるほど積まれた小冊子を持ってきた。


「え、えぇ……。い、いったい何冊あるんですか!」


「ざっと一〇○冊くらい持ってきたのにゃ。この大陸には小冊子の置き場所に困るくらい学園が沢山あるのにゃ。ルークス王国だけじゃなく、他の国にも学園はあるからにゃ~。でも、ルークス王国は他の国より大きいし、大陸一と呼び声の高い学園もあるのにゃ」


 トラスさんはテーブルの上に積まれた小冊子をドンっと置く。


「へ、へぇ……」


――私、小さな島国の中ですら有名な学校に行けていないのに……大陸一の学園に行けるのだろうか。


「えっと、これがその学園にゃ。やっぱり他の小冊子と比べても紙の質が全然違うのにゃ」


 トラスさんは革とメークル皮紙で作られた小冊子を私に渡してくれた。高級な辞書かと言うほどの厚さで全て読むにはどれほど時間が掛かるかわからない。


 表紙にドラグニティ魔法学園と書かれた小冊子ならぬ辞書を私は手に取って二キログラムほどの重さがあるのではと驚く。


 表紙は赤黒っぽく、金のインクで文様が描かれていた。その中にエンブレムとでもいうのか学園の園章なのか、一匹のドラゴンが翼を広げ丸まっている模様が描かれている。


 私は小冊子の中身をパラパラと見てみた。


 小冊子には学園の場所や入学金、学年の人数、その他もろもろ何でも書かれていた。今、読むと時間が掛かるので目をササっと通す。後ろの方に行くと去年の入学試験問題が乗っていた。律儀だ……。


 問題を見たところ、数学、語学、外国語、魔法学、実技と言った具合で試験科目が分かれていた。


 数学と言っても、小学生の算数程度。


 語学は主にルークス王国で使われているルークス語、また他国の言語を話せたり書けたりすると加点になるらしい。そうなると面接でもあるのかな……。


 外国語は読んで字のごとく、ルークス語以外の言語を使った問題だ。私には問題文すら、全く読めない。これは……勉強が必要だな。


 魔法学は魔法陣を描いたり、紙に描いてある魔法陣が何かを意味しているのかを記述すると言った問題だ。私の得意科目かもしれない。


 実技のページに書かれていたのは体力測定とよく似た具合の種目だった。武術とか言う必須科目まである。とにかく何らかの武器を使って強さを示せと言った試験だ。運動にでも力を入れている学園なのだろうか……。


 小冊子の最後のページには、一人のお爺さんが乗っており、キース・ドラグニティと書かれていた。多分ドラグニティ魔法学園の園長だろう。


 私はある程度目を通し、重すぎる小冊子を閉じる。


「えっと……、トラスさんのおすすめはこのドラグニティ魔法学園で間違いないですか?」


「まぁ、そうにゃ。でも、入学するのが馬鹿みたい難しいのにゃ。小冊子に書かれている問題を見ても全く訳がわからなくて、ニャーは眠りこくるのにゃ」


「はは……。えっと、シグマさんは学園に通っていたんですかね?」


「ギルドマスターは学園と言うよりかは冒険者専門学校に通っていたのにゃ。そっちの方が簡単で学費も安いのにゃ。ニャーも通わされたにゃ」


「へぇ、騎士専門学校があるのは知っていましたけど、冒険者にも専門学校があるんですね……」


「そうにゃ。でも、貴族の子は大概学園に行くにゃ。学園には専攻が多いから未来が広がるのにゃ。と言っても、貴族の子はだいたい親の後を継いで家業に専念するから、家業の専攻をすることが多いみたいなのにゃ」


「なるほど。家の仕事を手伝うために学園に行くんですね」


「それもあるにゃ。他には縁談相手や家の拡大のために学園に行かせる貴族もいるのにゃ。良い学園には良い家の者が集まるのが道理にゃ。だから、多くの貴族がてっぺんの学園を目指して子供のころから英才教育を施しているのにゃ。キララちゃんはそんな強敵と戦わないといけないのにゃ~」


「何とも難しそう……。今から勉強すれば間に合いますかね?」


「さぁ、ニャーは勉強が苦手だからわからないのにゃ。でも、この街からドラグニティ魔法学園に通えた子供をニャーは知らないのにゃ。まぁ、行っていた人は知っているのにゃ」


「え、誰なんですか?」


「最近冒険者ランクがSランクに上がった、フロックとカイリの二人にゃ。この二人はドラグニティ学園の出身なのにゃ」


「はぁー。まぁ、あの二人が強いのを知っていますけど、ドラグニティ学園の生徒だったんですか……。じゃあ、単独の冒険者ランク一位の人が……」


 私は小冊子を再度開き、最後のページを見る。


「この人が今、単独で冒険者ランク一位なんですね?」


 私はトラスさんにドラグニティさんの絵を見せる。


「そうにゃ。キース・ドラグニティはずっと一位でい続けている人の皮を被った化け物なのにゃ。ニャー達がSランク冒険者だった時も単独で一位でい続けていたから、もう殿堂入りで良い気がするのにゃ」


「えっと……トラスさんが冒険者を引退したのっていつなんですか?」


「そうにゃぁー、ざっと二○年くらい前かにゃ。あのころは肌がもっとピチピチで毛並みもよかったんだけどにゃ~。最近は筋肉量が落ちてきちゃったのにゃ。はぁ……」


 トラスさんは年相応の悩みを抱えているみたいだ。どう見ても容姿は一〇代なのに年齢は多分四○歳を超えている……。


――この世界の生き物というか、年齢はどうなってるの。あれかな、魔力とかが関係しているのかな。でも、トラスさんには魔力がないからそういう訳でもないのか。んー、わからん。


「じゃあ、ドラグニティ魔法学園以外の学園でいいところってないですか?」


「そうにゃぁ……。難しいところにゃ。でも、ドラグニティ魔法学園を受ける生徒が滑り止めで受験するエルツ工魔学園も人気にゃ。でも、男子生徒が多いからキララちゃんにはあまりお勧めしないのにゃ。女子が行くのはフリジア魔術学園の方かにゃ。だいたい優秀な貴族はこの三つの学園のどれかに行くのにゃ」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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