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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
天才の弟と復興の街 ~弟は街に行ってもやっぱり天才だった編~
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シャインの気持ち

「え……、ライト、時計を作る気なの?」


「うん。魔法を作るのも面白いけど今の知識じゃ同じような物しか作れないと思ってさ。魔法以外に何かないかなーって思ったら、機械が有ったって考え付いたんだよ」


「機械って……、あんまり普及してないじゃん。完全に魔法の方に偏ってるよ。この世界」


「だから面白いんじゃん。機械の中でも一番複雑な時計さえ作れてしまえば大抵の機械の構造を理解できるでしょ。だから僕は時計を作るんだ。そうなると、錬金術も必要になってるくなー。ふふふー、楽しくなってきたー!」


――や、ヤバイよこの子。どうしよう。世界が変わっちゃう。そんな気がする。


「キララ様考えすぎですよ。ライトさんがどんなに天才だとしても、世界を変えるまで飛躍するとは思いません。いや、なってほしくありません」


 ベスパは苦笑いしながら、願望を言う。


――ま、まぁ、そうだよね。今のところいい方に向って言ってくれているからいいけど、悪い方に行ったら引き戻させないといけない。ライトが敵になるなんて考えただけで恐ろしい。それだけは何としてでも阻止しないと。


「姉さん、どうしたの?」


「いや、何でもないよ。えっと、ライトの目標は何?」


「そうだなー。まだ決まってないけど、たくさんの人を笑顔にするって言う目標にしようかなって思ってる。まぁ、姉さんと同じかな」


 ライトは照れくさそうに笑って家の扉に手懸けた。


「ライト……。お姉ちゃん泣きそう……」


「姉さん、なに言ってるの。もう、夜遅いんだから家の中に早く……」


『バンッツ!!』


「遅いよ! お姉ちゃん、ライト」


「しゃ、シャイン……。ただいま……。あと、玄関の扉はもう少し優しく開けようね」


「え? あ、ごめん、ライト」


「うぅ…………」


 ライトはシャインによって扉に挟まれ、気絶していた。


☆☆☆☆


 私とライトは家の中に入り、家族でテーブルを囲って椅子に座っていた。


「もぅ、酷い眼にあったよ……。シャインの馬鹿力……」


 ライトは両頬に包帯を貼り、両手でスリスリと摩っている。


「ライトがどんくさいだけでしょ。私は全然力ないし」


「そんな訳ない……」×父、母、ライト、キララ。


「皆して……。ま、まぁ、多少力持ちかもしれないけど、私だって女の子だし、そう言うのにちょっと気にするというか……」


 シャインはモジモジとして女の子っぽく振舞う。


「シャインが女の子……」×父、母、ライト、キララ。


「もう! 皆して何なの。私はどう見ても女子でしょ!」


「いや、シャインが女の子だと自覚してたんだと思って……」


 ライトは本音をこぼす。


「何、ライト。私を馬鹿にしてるの?」


 シャインの瞳が少々黒くなり、ライトを威圧する。


「してない、してない。そうだよね、シャインは女の子だよね。うんうん。これでいい?」


「何か、腹立つけど……。まぁ、私は皆にどう見られているのか何となく分かった気がするよ」


 シャインはふさぎ込んでしまった。


「シャイン、何でそんなにふさぎ込んでるの? いいじゃん力持ち。カッコいいよ。剣だって力が強い方が有利なんだから」


 私はそこはかとなくシャインを慰める。


「そうだけど……。村に来た子供達を見てたら、私、おかしいのかもって思ってきたの。女の子なのに運動出来るし、力強いし、体力もある。私の体、変なのかな……」


 シャインは自分の掌を見つめ、開いたり閉じたりした。


――あぁ、自分と周りの違いに違和感を持ち始めたのか。まぁ、全然違うよね。多分、この世界で見ても数少ない人種だと思う。でも、それも個性だから全然いいと思うけど、本人が塞ぎこんでるから問題なんだよな。このままだとシャインが自分の才能を潰しかねない。


「シャイン。なんで皆と違ったらそんなに悲しがるの?」


「え、だって……、何か仲間外れみたいだし……。皆、私を怖がるし……」


「それは皆がシャインをちゃんと知らないからだよ。シャインをよく知るガンマ君はシャインをちゃんと見てくれてるでしょ」


「そうなのかな……。はぁ、だとしたら私が年下と話すのが苦手なのかも……」


「シャイン、苦手か苦手じゃないかはそんな簡単に決まらないよ。シャインは他の女性と違うだけ。別に他の人と同じじゃなくていいんだよ。私だって違うし、メリーさんも違う、セチアさんも違うでしょ。シャインはシャインでいいの。そんな落ち込んだ顔してたらせっかくの美少女がもったいないよ」


「美少女って……、私、顔とかよく分からないよ。整ってるって意味で良いの?」


「うん。私くらい可愛い。何なら、世界で一番可愛いよ。可愛くて強いなんて最高じゃん。自分に自信をもって進んでいれば他の人の見方も変わってくるよ。私はシャインが大好き。きっとどんな風になっても大好き。だから、自分の生きたいように生きて。私は一生、シャインの味方だよ」


「うぅ、お姉ちゃん……」


――シャインには今まで私以外に指標が無かった。可愛い私を見すぎて自分の顔が可愛いのか分からなくなっていたみたいだ。加えて、歳が近いたくさんの子達と出会い、自分との差を知った。良くも悪くもシャインは成長したのだ。


 ここで大切になってくるのは味方の存在。誰か一人でも大きな味方がいたら心強いものだ。


 会社の社長が『安心しろ、お前の失敗は俺が担いでやる』なんて言ってきたら心強いはずだ。だから私はシャインの後ろ盾になろう。偉大な姉が後ろに居れば怖いものは無い。自分の好きなように生きれるはずだ。


「でも、図太いシャインが落ち込むなんて珍しいよね」


「テリアちゃんに言われたの……、シャインさんって男子みたいって……」


「あぁ……」


――まぁ、子供は正直だからなぁ。思ったことを口にしちゃったのかも。でも、シャインが女の子に目覚めたのなら、私は万々歳。あのまま男らしく成長するのもよかったけど、やっぱり可愛らしい見た目をしているのなら、女の子らしく着飾ってみたいと思うのかな。


「シャインは男の子っぽく見られるのが嫌なの?」


「嫌というか……、複雑な気持ち……。確かに剣を振ったり、牛乳を一杯積んだ荷台を人力で運んだり、する女の子はいないかもしれない。だから、自分でも自分がよく分からなくなっちゃって……」


「シャイン、何も悩む必要はないよ。自分の生きやすいように生きればいいの。そうすれば自ずと周りが付いてくるから。もちろん人に悪いことをしたら嫌われちゃうけど、助けてあげたり、皆のことを思って行動したりすれば、何も心配しなくていい。シャインの剣さばきに憧れているガンマ君はいい例だよ」


「ガンマ君……、テリアちゃんにばかり構うの。私にも構ってほしいのに恐れ多いから無理だって……」


 シャインは少々頬を赤らめて言った。


――それが原因か! あのシスコン野郎、シャインをほったらかすなんて! となりそうだけど、まだ八歳だし……。成長過程なんだからぐっと我慢して見守るのも大事か。私が色々やると子供達の感受性を壊しそう。刺激的な日常の中で時の流れと共に成長していってほしい。私が介入したら子供の道を作る親みたいになってしまう。それこそ、昔のお母さんと同じだ。


「シャイン。いっぱい話して、いっぱい遊んで、仲良くなればいいんだよ。今まで遊ばなかった分、たくさんたくさん遊べばいい。もちろん、剣の練習も大事だけど、他の子達と遊ぶ時間も剣と同じくらい大事だよ。そうすれば剣だけでは見えなかった何かが見えるようになるかもしれない。加えて剣に繋がる何かが見えるかも」


「剣以外に私、何も取り柄がないんだけど……」


「一つのことをやり続けていたらどうしても視野は狭くなる。たくさんの経験は人の心を豊かにしてくれる。ライトにも言ったけど、失敗を恐れたら駄目。日常は失敗の連続で出来てるの。楽な方に流れたら待っているのは普通の日常だけだよ」


「お姉ちゃんは怖くないの? 失敗したら笑われるかもしれないし、馬鹿にされるかもしれないんだよ」


「お姉ちゃんはね、失敗するのなんて怖くないの。何なら、笑われるの大好きだよ。だって、それだけ挑戦したって証明になるんだから。笑われた数だけ挑戦した数。挑戦しなかったら笑われすらしないよ。失敗しても失う物なんて無い。何もしなかったら一番大切な時間だけが過ぎていく。お姉ちゃんはそれが一番嫌いなの。時間は大切なんだよ。まだ分からないかもしれないけど、絶対に戻ってこないの。だから、時間を大切にして生きてほしい」


 私はシャインを抱きしめて思いのまま伝えた。取り繕う言葉もない。ただ、思ったことだけを紡ぎ、シャインに届ける。


 受け取り方は人それぞれ。でも、私の気持ちに変わりはない。ただ、いいように受け取ってくれると嬉しい。そう言った軽い考えで私はシャインを励ました。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


 シャインはライトとキララがいない中、仕事を一生懸命頑張っていた。頑張っていたがゆえに、人並外れた働きっぷりを見せ、子供達から引かれてしまったのだ。子供達は決してシャインを嫌っているわけではない。シャインの方が子供達をしっかりと見れていなかったのが原因で落ち込んでいる。

 

 

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