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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
全くいらない”蜂と仲良くなれる”スキル『虫使い「ビー」』を貰いました。 ~10歳偏~
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ボロボロになり帰宅

「ただいま!」


 私は家を朝早く出て、夜遅く帰ってくるという生活を送っている。牧場の仕事が忙しいので教会の仕事は最近行っていない。


 私が神父に向ってやりたいことが出来たと言ったら、神父は喜んで応援してくれた。


「キララ、お帰り。今日も遅かったわね。て……服がボロボロじゃない、どうしたらそんなふうになるの?」


 私はお母さんにバートンに乗る練習をしていると教えていない。そんなこと言ったら絶対反対されるから。


「ちょっと、盛大にこけちゃった!」


 笑って誤魔化す。


「キララは怪我しやすいんだから、気を付けなさいよ。ほら、夕食の準備ができてるから。一緒に食べましょ」


「うん!」


 ――お母さんは私に何も訊かず、いつも通りに接してくれる。それだけで私はとてもありがたい。


「お姉ちゃん! 見てて、ほら。燃えた」


 目を輝かせているライトが私に魔法を見せてくれた。ただ、私が使う魔法と全く違う。手の平から火の塊がいきなり現れたのだ。


「え……。今のファイアだよね……。でも詠唱はどうしたの?」


「ふふっ! 詠唱無しで出来るようになったんだ! どう、凄い?」


 ライトは胸を張り、大きな声で言う。


「すごいすごい! 私、無詠唱なんてできないもん。ライト、頑張ったんだね!」


 ――ライトはまだ七歳だというのに、詠唱無しで魔法が使えるようになるなんて……。もしかして私の弟、天才なのでは。


「んんっ! お姉ちゃん! 私の方も見てて!」


 ライトとそっくりだが、髪を伸ばしているシャインは机の上に木材を乗せる。そのまま、少し離れたところに移動し、木剣を構えた。


「ふ~……!」


 シャインが木剣を私の眼で追うことのできない速さで振ると机の上に置かれた木材が真っ二つに切れた。


「え……。切れた……。どういう原理……」


 私は理解できず、困惑する。


「えへへ! 私、少し先にあるものも切れるようになったの! どう、すごい?」


 シャインは褒めてほしそうに私に訊いてきた。


「い……、いや、凄いも何も、私は剣で木すら切れないから、シャインはすごいよ。本当にすごい!」


「ふっ!」


 シャインは勝ち誇った顔でライトを見る。


「ぐぐぐ! お姉ちゃん! 今度はもっとすごい魔法を見せるから!」


 ライトは悔しそうに手を握りしめ、私に宣言する。


「い、いやいや! どっちもすごかったよ!」


 私はライトとシャインが喧嘩しないよう配慮した。


「ライト! お姉ちゃんの反応を見ると、私の方が凄かったみたいよ」


「シャイン、今日は負けを認めるよ……。でも、次は僕が勝つ!」


 二人の間で視線がぶつかり合い、火花が散っている。


「あわわわわ……」


 ――どうしよう、二人とも凄いのに喧嘩しちゃってる。私の感覚だと、どちらも天才としか言いようがない。と言うかこの二人、どうしてこんなふうに育ったんだろう……。このままだと私の存在がどんどん薄くなっていってる気がする。まぁ、いいか。双子が元気に育っているってことだし、別に私は二人と張り合っているわけでもないし。


「二人とも、今のままでも十分凄いよ! さすが私の妹弟だね! 明日からも練習頑張って。お姉ちゃんはいつまでも応援してる!」


 私はライトとシャインを抱き寄せ、力いっぱいに抱きしめる。


 ライトとシャインはもごもごと蠢くが、嬉しそうに笑っていた。


「うん……、僕、もっと頑張るよ」


「私だって負けないんだから」


「それじゃあ、明日も一緒に練習頑張ろう、シャイン」


「こっちこそ、ライトの魔法があったから私は頑張れた」


 ライトとシャインは握手を交わす。


「うんうん、双子なのに好敵手(ライバル)。そして友情……。青春だ。あ……」


 私はライトとシャインの後方に立ち、負の雰囲気を放っているお母さんを見る。


「え?」


 ライトとシャインの頭の上にお母さんが手を置くと、「くいっ」と一点を見せる。


「あなた達、この部屋をちゃんと片付けなさいよ……」


 お母さんが見せたのはライトとシャインが言い合いになっている間にめちゃくちゃになった居間だった。


「は……、はい」


 ライトとシャインはお母さんには向かうことが出来ず、顔を青くしながら動き出す。


「ふふふ……」


 ――やっぱり、ライトとシャインはまだまだ子供だ。


「キララ……。笑ってないであなたもよ。二人を止めなかった責任を取りなさい!」


 お母さんの鋭い視線が私に突き刺さる。


「は、はい……」


 私はお母さんに逆らえず、頭を縦に動かした。


「ふふふ……。キララ様もまだまだ子供ですね!」


 ベスパは部屋の中を飛びながら、笑っていた。


「あら? こんなところにビーが。『ファイア!』」


 お母さんはベスパがただのビーに見えているらしく『ファイア』を躊躇なく放った。


「ぎゃああああああああ~! 本日二回目!」


 ベスパは炎に包まれ、塵になった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


もし少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


毎日更新できるように頑張っていきます。


よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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