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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
天才の弟と復興の街 ~弟は街に行ってもやっぱり天才だった編~
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パンが半額

「確かに金貨五枚が入っていました。では、今日のところはここら辺で帰ります」


「来週も楽しみに待っていますね」


「はい。待っていてください。あ、そうだ。ショウさんに言っておこうと思うんですけど、私、ようやく乳油(バター)の制作に取り掛かれるようになったので、完成したら試作を持ってきますね」


「何ですって……。乳油(バター)が作れるようになった……。キララさんの牧場の乳油……」


「えっと、ショウさん? おーい。聞こえてますかー?」


 ショウさんは放心状態になっていた。ただ乳油が作れるようになったと言っただけなのだが……。


「楽しみを通り越して、お招きいたしたい所存でございます」


 ショウさんは私にお辞儀をしてくる。


「はは……。そこまでですか」


乳油(バター)は高級品ですからね。まだ、キララさんの牧場の乳油を見て食べて匂っていないので分かりませんが。この牛乳から作っているんですよね?」


「もちろんです。牛乳が十割の混じりけなし乳油ですよ」


「ぜ、絶対に買いますから! 大金叩いて買わせてもらいますよ! なのでぜひ私のお店で先行予約させてください!」


 ショウさんは眼を輝かせて私の手を強く握っていた。


「予約って……。まだ販売するかどうかは決めていないんですよ。あまりにも手間が掛かるので、商品にするほど作れるか分からないんです」


「そ、そうですか……」


 ショウさんはしゅんとしてしまった。


「でも、完成したら持ってきます。他の方にも試してもらいたいので四人分の作成出来たら皆さん一斉に配りますね」


「オリーザさん、ウロトさん、カロネさん、私の四人ですね」


「はい。ま、期待して待っていてください」


「期待して待っています。キララさんの牧場で作られた乳油がどれほどのものか想像できませんが、期待だけは大きく膨らませていようと思います」


「なら、私はショウさんの期待を上回る乳油を作ろうと思いますから。もうしばらくお待ちください」


 私達はお店を出ていく。


「ふぅ~。色々楽しかった。姉さんの夢が何となく分かった気がするよ。あの綺麗なお菓子を作って、人々を笑顔にする気なんだね」


「うん。そうだよ。だから、私は学園に行かないといけない。まぁ、それ以外の理由もあるけど、どのみち学園に行くのはもう、決まっちゃったかな」


 私は学園に行くと決めた。すでに決めていたが、さらに決意を硬くする。


――今の時刻が午後三時四五分くらいか。ここからオリーザさんのお店に行って、レイニーに魔法を教えて帰る。午後六時から七時くらいに街を出ることになるかな。今日も帰りが遅くなりそう。


「じゃあ、ライト。私達はオリーザさんのお店に行くよ。夕方になると人が空き始めるから今が狙い時だよ」


「そうなんだ。あの白いパンを作っている人に会えるんだね」


「まぁ、ゴツイおじさんだよ」


「おじさん……。あんなに綺麗で美味しいパンを作っているのがおじさんなの?」


「うん。普通に驚かなくても良いんじゃない。誰が作っていようと美味しければさ」


「そうだけど、おじさんか……。おじさんがこねたパンを食べてるんだ……。どうせならお姉さんのが良かったな……」


 ライトは普通に嫌そうな顔をしていた。


「衛生面はきちんとしているはずだよ。石鹸で手を洗ったり、部外者を調理室にむやみやたらに入れないようにしていたり。だから、お店に入った時に嫌そうな顔をするのはやめてよ。分かった?」


「は、はい。すみません……」


 ライトは頭を下げ、あやまってきた。まぁ、あやまる相手が違う気もするが、おじさんだからと言って皆が不潔な訳ではない。


 私とライトはレクーのもとに戻り、前座席に座る。私はレクーを走らせてオリーザさんのお店に向った。到着るとやはり人の数が減っており、並ばずに入店できるみたいだ。


 私達は荷台から降りてお店の中に入る。すると、二人の従業員がお店の中を回っていた。


「あ、キララ。いい時に来たな。今なら余り物のパンが半額だ。買っていけよ」


 外でパンを売っていたレイニーがお店の中で働いていた。


「パンが半額。そんなに安くしてもいいの?」


「ま、売れないよりは売れた方がいいに決まっているだろ。捨てるのはもったいないし、配るのだって時間が掛かる。なら売れるだけ売って、残ったパンは持ち帰るようにした方が皆のためになる。そう考えたんだよ」


「へぇ、いいね。じゃあ、私も何か買おうかな」


「おう。今ならまだ色々残ってるぜ」


「ライトも好きなパンを一個選んでいいよ。買ってあげるから」


「え、いいの? でも、僕もお金持ってるよ」


「いいのいいの。私が奢ってあげるって言ってるの。ありがたく受け取っておきなさい」


「わ、分かった。じゃあ、ちょっと選んでくるよ!」


 ライトは店内に残っているパンを見に向った。その時の嬉しそうな顔はとても子供っぽくて可愛かった。


「キララ様! キララ様! 私はこのパンとこのパンを食べたいです!」


 ベスパはお店の中をブンブンと飛びながら食べたいパンを指さす。


――もぅ、仕方ないな……。なになに。ゴンリパンとバチームパン。ゴンリパンは知ってるけど、バチームパンは知らないな。まぁ、半額だしいいよ。買ってあげる。仕事を頑張ってくれたご褒美ね。


「ありがとうございます!」


 私は木製のお盆とトングをレイニーから貰い、ベスパの欲しがっていた二種類のパンをお盆に乗せる。


――私はこのパンを少し貰えたらいいや。あとはライトの選んだパンを買うだけか。えっと、私の選んだパンの値段は元値が銅貨五枚。半額だから銅貨二枚と小銅貨五枚。でも二つ合わせれば銅貨五枚か。ライトがどのパンを選ぶかにもよるけど、小銭が増えるから私も何か買ったほうがよくなるかも。


 私は頭の中で値段を計算し、大体銀貨一枚で買えるようにしてほしいと願う。


「姉さん。これにするよ」


「黒パン?」


 ライトが持ってきたのは最安値の黒パンだった。


「黒パンで良いの?」


「うん。良いお店の黒パンを食べてみたいんだ。なんか見た目からして美味しそうだし」


「なるほどね。いつも食べている黒パンと比較するわけか。ま、私は知ってるから教えないけど、自分で経験するのもいいかもね」


「うん」


――黒パンの値段が銅貨一枚。つまり半額になって小銅貨五枚か。私も何か買って小銭を減らそう。

私はレイニーに訊ねる。


「レイニー。元値が銅貨五枚でお勧めのパンはある?」


「そうだな。果物を使ったパンはどれも人気があるぜ。少し甘みがあるからな。まぁ、残っているパンで人気が高いのはこれだな」


 レイニーはドーム状の大きなパンをトングで掴んだ。


「それはなんて言うパンなの?」


「メンロパンだ。形がメンロに似てるだろ。あと少しメンロも入ってる」


「メンロパン。なるほど……」


――凄い、メロンパンにそっくり。味は違うと思うけど、私の好きなメロンパンがこんなに近くで売ってたのか。よし、これにしよう。


「じゃあ、それも買うよ」


「ありがとうございます」


 レイニーはお客様接待なのか、深々とお辞儀をして私の持っている木の板にメンロパンを置いた。


――これで、銅貨八枚になった。銀貨一枚で払えばお釣りは銅貨二枚。まぁ、銀貨で払うとお釣りが増えるのは仕方ないけど、銅貨二枚ならまだいいか。


 私は木の板を持ってコロネさんがいるカウンターに向っていった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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