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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
天才の弟と復興の街 ~弟は街に行ってもやっぱり天才だった編~
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ショウさんとライト

「ショウさんは菓子職人になって何が必要だと思いましたか?」


「え……。そうですね。少なからず敵と対抗する力は欲しいですかね。以前みたいな事件に巻き込まれた時に自分の身を守れないのでは生きて行くのが難しくなります。あと、いろんな仲間がいたら楽しいと思います。私の場合はほぼすべての友達が菓子職人や料理人ですから毎回話す内容が同じなんですよね。やはり視野が狭いと世界が狭く感じてしまいます。多くの人と話せば世界はいくらでも大きくなりますから、いろんな発想が思い浮かぶと思うんですよ」


「なるほどなるほど……。なら私は知見を広げること、お菓子や様々な知識を蓄えること、仲間を作ること、の三つのことが叶えられる学園を探せばいい訳ですね!」


「そうなるんですかね。でも、なかなか難しい話ですよ。一つでも叶えられたら十分な気もしますが、欲張って三つとも叶えられる場所を探してみてください。そうですね、この街でも学園の小冊子(パンフレット)がギルドや騎士団でもらえると思いますよ」


「ギルドや騎士団で、ですか?」


「はい。冒険者になるための学園や騎士専門の学園がありますから、試しに小冊子を読んでみるとおもしろいかもしれません」


「そんな小冊子があるんだ……。ちょっと読んでみようと思います」


「はい。そうした方がいいと思います。えっとキララちゃんは一〇歳でしたよね?」


「今はそうですけど、もうすぐ一一歳になります」


「なるほど、そうなると再来年に入学の時期がやってくるわけですね」


「はい。あと一年半くらいですね。長い様で短いと思いますけど、入学までにぶっ壊れスキルを持つ人たちにも渡り合えるようになりたいと思います!」


「ぶっ壊れスキル?」


「あ、えっと。超強いスキルって意味です。やっぱり王都の学園に行く人たちは強いですよね?」


「まぁ、それなりには……。低い(ランク)の学園だと魔法を使えるだけで驚かれます。高い位になると現役の大勢の騎士と渡り合える子がいるくらい差が大きいですよ」


「大勢の騎士と渡り合えるか……」


――王都の騎士はこの街の騎士より格段に強いはずだ。何たって王都には王様がいるんでしょ、その王様を守る近衛騎士達は最強に近しいはず。そんな人と渡り合えるなんてやっぱり位が高い学園は入るのが難しそうだな……。


「姉さんなら高ランクの学園に余裕で合格だね。合格おめでとう。先に祝っておくよ」


 ライトが面白半分で私に拍手してきた。


「そうやってお姉ちゃんをからかわないの。まだ一年半も間があるんだからどうなるか分からないでしょ。わざわざ高い位の学園に行くかも分からないし、ましてやどこにも通えないかもしれない。まずは小冊子を見ないと判断のしようがないよ」


「ま、そうだよね。でも姉さんなら何も迷うことなく最難関の学園を受けても受かるよ。だって僕でも受かるんだから」


「何でそんなのが分かるの?」


「いや、何となく」


「何となくって……。ライト、社会を舐めすぎだよ。ライト以上の人なんて王都にいけば沢山いるよ。多分だけど……」


「それを僕は期待しているよ。僕よりも魔法が上手い人は姉さんしか知らないからね。いつか賢者にあってみたいな。賢者のスキルを持った人が早く現れてほしいよ」


「ライトは賢者になりたいとは思わないの?」


「全く思わないよ。だって、賢者になったら王都に連れていかれるでしょ。だから僕は賢者にはなりたくない。どうせなら賢者を倒したいよ」


「うぁ……天才になると神の恩恵に勝負を挑むんだ。さすがだね」


「えっと、さっきから話を聞いているとライトさんが凄い魔法使いみたいな言い方ですけど、キララさん、ライトさんは魔法が使えるんですか?」


 ショウさんは驚いた顔で私とライトを見回した。


「使えますよ。加えて私よりも魔法の扱いが上手いですからね」


「え……。でも、まだ若いですよね」


「まぁ、ライトは天才なので魔法が使えてしまうんですよ。私もライトくらい魔法が使えたらよかったんですけど、技術ではかないません」


「よかったら何か見せてもらえますか?」


「何か? そうだな……」


 ライトは杖を取り出し、先端に炎を灯した。


「え、詠唱や呪文は?」


「え? ただ火を灯すだけに詠唱や呪文などの言葉を出す必要がありません。頭の中で唱えれば発動しますよ」


「はい?」


 ショウさんは何が起こってるのか分からないと言った顔だった。


「僕は今からどんな魔法にしようか考えてたんですけど……」


「えっと、魔法を使うには呪文が必要で、呪文を簡略化したのが詠唱ですよね。それなのに詠唱すらすっ飛ばして魔法が使えるものなんですか?」


「これって変なんですか?」


 私自身もライトが無詠唱で魔法を使えることに疑問を抱いていなかったが、どうやらショウさんの反応からするとおかしいことらしい。


「魔法の基礎しか知らない私ですから何とも言えませんけど、無詠唱なんて賢者くらいしかできないと思うんですが……。いや、超簡単な魔法なら聖騎士やSランク冒険者の方々が出来るかもしれませんけど……。ライトさんは一体どこまで無詠唱で魔法を発動できるんですか?」


「そうですね……。僕が今出来る無詠唱の限界はこれくらいですね」


 ライトは椅子から浮き、逆さまになった。


「う、浮いてる……」


「まぁいつもやっている魔法なのでほぼ詠唱無で行えるようになりました。繰り返し練習するのがコツですよ」


「えっと、キララさん、ライトさんは天才ですよね」


「天才ですよ。多分というか……、絶対。なので私も苦労しているんです。この子の姉でいないといけない訳ですからね」


「はは……。姉弟は色々と大変ですよね」


 私達は長話をしてしまい、ショウさんとの取引をまだ行っていなかった。


「ではショウさん。これが今日もってきた牛乳です」


――ベスパ、テーブルの上にクーラーボックスを置いてくれる。


「了解です」


 ベスパはテーブルの中心にクーラーボックスを置いた。


「では料金を持ってきます」


 ショウさんは椅子から立ち上がり、部屋を出て行った。


「はぁ~。学園にもいろんな場所があるんだ。というか、無詠唱ってすごい技術だったんだね。皆はなんで言ってくれなかったんだろう」


「皆も無詠唱が凄いなんて知らないんだよ。というか、詠唱するのは効率が悪いと思うんだよね。毎回思うけど」


「でも、詠唱を言うと気持ちが入るから、その分威力が増すよ」


「それは姉さんだけだと思うよ……」


「キララ様は大声を出すことで出力する魔力量を増加させているんですよ」


 ベスパは自分がいつも食らっている魔法の話なので私の魔法の威力が上がる理由を知っていた。


――へぇ、そうだったんだ。知らなかった。完全に無意識に行ってたよ。だから威力が上がるんだね。


「そうですね。ま、キララ様の魔法の火力が高いのは魔力量と質がもともと高いと言う理由もありますけどね」


 私達はショウさんが戻ってくるまで部屋でおしゃべりをしていた。取引先の人がいない間に喋り相手がいるのは結構楽しかったりする。だが、本来の仕事現場でおしゃべりをしていたら怒鳴られる可能性もあるから、推奨出来ることではない。


「お待たせしました」


 ショウさんは小袋を持って私に手渡してきた。


「確認しますね」


 私は小袋の口を開けて中を覗き見る。ショウさんがお金をちょろまかすわけないと知っているが確認しないと私も格好がつかないので、金貨の枚数を把握する。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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