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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
天才の弟と復興の街 ~弟は街に行ってもやっぱり天才だった編~
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フロックさんの婚約相手

「男っぽい」×フロック、カイリ。


「は、はは……。そうですかー、ありがとうございます。理由とか聞いてもいいですか?」


「理由か。そうだな~、自信がある感じがするからだろうな」


 フロックさんは淡々と言った。


「筋が真っ直ぐしているので、女の子というよりかは男の子という方が近しいと思うね。でも、レディーは美しい少女に変わりないから、気にしないでください」


――なるほど。自信と筋が真っ直ぐしているか。確かに、言われてみれば男の子っぽいか。昔のおしとやかにとか、水に流されて生きてきたとか、あれの方が女の子っぽいのかな。じゃあつまるところ、私は男っぽい性格ということなのか。まぁ、そう言う感じなら悪くない。


「ありがとうございます。くよくよしてる自分が情けないので、もう吹っ切れました。私は男っぽく生きて行きます!」


「何でそうなるんだよ。お前は可愛いんだから、女性っぽく生きても悪くねえだろ」


 フロックさんは恥ずかしい言葉を淡々と漏らす。


「よくもまぁ、恥ずかしい言葉をそんな簡単に言えますね。私が可愛いのは事実ですが、女性っぽく生きると言うのは抽象的過ぎてよく分かりません」


「簡単に言えば、結婚して普通に暮らすことだよ。キララみたいにせっせと働いている女の方が少ないだろ。だいたいの女は家庭を持って家事をして子供を育てて、そう言った人生もお前には悪くないんじゃないかと思っただけだ。相手がいるかは知らないがな」


「いい話をするかと思ったらいきなり失礼な発言をするんですね。どうして私が余ると思うんですか?」


「だってよ、キララは普通の男より強いだろ。男勝りな娘を欲しがる男は少ないと思うぜ」


「うぅ……確かに……」


「ま、俺は嫌いじゃないがな。自分の意思を持っている感じがして好感が持てる。キララが同年代だったら気になる相手になってたかもな」


「うぐぅ……」


――く、悔しい。歳の差が大きすぎるか。せめて五歳だったら……。さすがに一〇年はデカいな。


「ま、将来でキララが一人身だったら、いいやつでも紹介してやるよ」


 フロックさんは歳上目線で話を進めてくる。


「フロックさんは貴族なんですよね。なのに、二○歳で浮いた話が一つもないのはなぜですか?」


「グフっ!」


 隣のベッドで話を聞いていたカイリさんが吹いた。


「お、俺はモテモテなんでな、今すぐにでも結婚できるが、あえてしない道を選び、冒険者になっている訳だ。決して誰とも婚約していない訳じゃない。俺の好みに合わないだけだ」


 フロックさんは白々しく私から視線をそらして、眼を泳がせていた。


「カイリさんにはもう婚約相手がいそうですね」


「私はルークス王国、第三王女との婚約が決まってるよ」


「はは……私が想像してたよりも凄い人と婚約してた……」


「ち~っとばかし身長が高くて頭がよくてカッコいいくらいで調子に乗りやがって……」


 フロックさんは眼を細め、睨みつけるようにカイリさんを見る。


「フロックさん、どれだけ嫉妬してるんですか……」


「これっぽっちもしてない。そりゃあもう、学園祭の時に俺の隣にいるフロックのところに女子が集まっていくにも拘わらず『あまり集まられても困るんだけどね』とどや顔で俺の方を向いた時はぶっ潰してやろうかと思ったくらいだ」


「うん、凄い嫉妬してる。フロックさんって人気ないんですね。そ~なんだ、へ~、ふ~ん。可愛そうですね」


「言ってろ。俺は女なんてどうでもいいんだ。ブラックベアーさえぶっ殺せればな」


「なら、フロックさんが余ってたら私がもらってあげますよ」


「はは、抜かせ。それを言うなら俺がキララを貰ってやるだろ。ガキンチョが」


「まぁ、出会いのほぼない冒険者で精々頑張ってくださいよ。私は学園に行くんです。有名な貴族や優良物件がいくつもあるんですから、私なんて引く手あまたですよ。どっちが残るかなんて明らかです」


 私は無い胸を張って上から目線になる。


「田舎の娘が王都の学園に行って普通に生活できると思うな。だがまぁ、お前なら余裕で生きて行けそうだな。生命力が強そうだ」


「何かその言い方はイラつきますけど、私は環境に適応するのは得意ですから」


「はぁ、何で俺は一〇歳のガキンチョとあほくさい言い合いをしてるんだか……」


 フロックさんは正気にいきなり戻り、落ち込んでいた。


「私も何でこんなバカげた話をしているのか分からなくなってきました。ま、互いに頑張りましょう」


「ああ、そうだな。だがまぁ、その幸せの前に死なねえようにしないとな。俺もお前も」


「ですね。道半ばでは死ねませんから。私は三回も助けてもらいました。その恩は忘れていませんよ。何なら尊敬しているくらいです」


「そうか。つい最近再会したと思ったらどんどん強くなるもんだから、俺も焦ってきた。だが、簡単に追い抜かれるような情けない男にはならねえよ。また何回でも守ってやる」


「そ、そんなふうに言っても、私は靡きませんよ。べ、別に守ってもらわなくても私一人で何とかできますから!」


「姉さん顔赤いよ。熱でもあるの?」


 ライトは私の額に手を置いてくる。


「あれ、熱はないのかな?」


「いや、ライト、これは熱じゃなくて、その……燃えてると言うか、熱くなっているというか。メラメラと闘志がわき上がってきているんだよ。フロックさんに引けを取らないよう頑張らないとってね」


「そうなんだ。よかった。風邪じゃないなら安心したよ。じゃあ、姉さんはフロックさんが気になるの?」


「え、な、何でそうなるの?」


「だって、熱もないのに顔が赤くなるなんてそうそうないよ。姉さん年上が好みなんでしょ?」


「へぇー、お前って年上が好みなのか。子供にしては珍しいな」


 フロックさんはニヤつきながら私の方を見ている。


「と、年上と言っても一〇歳はないですから。ありえないですから。もう、天地がひっくり返ってもあり得ないですからね」


「俺はまだ何も言っていないんだが……」


「とにかく、フロックさんとカイリさんは早く怪我を治してください。Aランク冒険者何ですからそれ相応の仕事がありますよね」


「いや、俺達はもうAランク冒険者じゃないぞ」


「え? ということは……」


「お、察しがいいな。そう、俺達は七日前の功績で一ランク昇格だ」


「じゃあ、Sランクということですか!」


「ああ、俺達のパーティーはSランクに昇格した。Sランクは今、ルークス王国で三組しかいないんだぜ。しかも最速だ。二○歳でSランクは異例なんだぜ。な、カイリ」


「ああ。まさか、こんなに速く到達できるとは思っていなかったよ。ま、私の功績の方が大きいみたいだけどね」


「お前は日頃のちまちまとした依頼で点数を持ってるだけだろ。俺はどかどかと点を取っているんだよ。俺の方が実力的には上だ」


「えっと、ランクを上げるには何か条件とかってあるんですか?」


「まぁ、依頼を何度もこなすとか、長い間冒険者パーティーをしているとかだな。高ランクの魔物を倒しても冒険者ランクは上がるぞ」


「へぇー。じゃあ、フロックさん達は何度も依頼をこなしてランクを上げてきたんですね」


「そうだ。キララと初めて会った五年前はまだDランクくらいだったが、今ではSランクだ。でもまぁ、その分、圧力を感じるみたいだがな」


「圧力。そりゃそうですよね。三組しかいない冒険者パーティーなんですから期待は大きいですよね」


「Sランクになるのは大体古参の冒険者だからな。圧力にはめっぽう強い。俺らは潰されないよう耐えるしかない。だが、俺はてっきり『聖者の騎士』という冒険者パーティーが先にSランクになると思ってたんだが、俺は憧れの存在をとうとう越しちまったみたいだな!」


「『聖者の騎士』聞いた覚えがあるようなないような……」


「キララ、知らないのかよ。ルークス王国では有名な冒険者パーティーなんだ。お前のよく知る人も元メンバーなんだぜ」


「私のよく知る人……。私が知っている人でパーティーに入っていた人……」


 私はお父さんが言っていた言葉を思い出す。


――そう言えば、お父さんとこの病院に始めて来た時、リーズさんについて話してた。冒険者を止めて病院を作ったって。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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