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『ゴミ』スキルだと思われている『虫使い(蜂)』が結構使えるんですけど!<異世界冒険食べ物学園ダークファンタジー(仮)>  作者: コヨコヨ
天才の弟と復興の街 ~弟は街に行ってもやっぱり天才だった編~
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ライトと一緒にお見舞いに行く

――ベスパ、その籠は邪魔にならないよう、保管しておいて。いつか使うかもしれないから。


「了解しました」


 ベスパはビー球をどこかへ運んで行く。数秒で戻ってきた。どうやら他のビーに運ばせたようだ。


「さてと、昼食は得たし、次はどこに行こうかな」


――ベスパ、ショウさんとオリーザさんのお店の人込みはどんな感じ?


「どちらもにぎわっていますのでまだ行くのは難しいかと思われます」


――そう。なら、病院に行ってお見舞いでもしてくるか。まだフロックさんとカイリさんは入院しているの?


「はい、二人とも怪我が酷かったですから今も入院中です」


――それなら、お見舞いに行ってあげないと可哀そうだね。


「じゃあ、ライト、今から病院に向うんだけど、お見舞いの品を買いに行くから市場に行くよ」


「分かった」


 私達はレクーのもとに戻り、荷台の前座席に座る。


「姉さん、何を買うかもう、決まっているの?」


「まぁ、だいたい決まっているよ。果物を持っていけば喜ばれるでしょ」


「果物……、そうか。街には果物が売っているんだ。いいな。村の方にも売りに来てくれないかな」


「ライトは果物を食べた覚えがないの?」


「うん、記憶にない。まぁ、レモネは果物だと思うけどあれは美味しくないからさ」


「まぁ、レモネは酸っぱすぎるよね。でも、柑橘系の果物には変わりないよ。シトラスとかはレモネがもう少し甘くなった感じかな。今から買いに行くから、一個買って食べてみるといいよ」


「そうだね。お金は持って来ているから普通に買えると思う」


「ライトも稼いでるから好きな物は自分で買ってね」


「分かった」


「レクー市場に向ってくれる」


「分かりました」


 レクーは進み始め、私達は市場に向う。市場は昼時なので多少人で混雑していたが朝や夕方ほど人は多くない。


――ベスパ、バスケットを作って持って来てくれる?


「了解しました」


 ベスパは持ち場を離れ、空に向って飛んで行く。少ししてから、少し大きめのバスケットを持ってきた。


――少し大きいけど、問題ないか。さて、ゴンリとシトラス辺りをバスケットに詰めて持っていけば、いいよね。


 私は屋台でゴンリを買い、バスケットに入れていく。個数は四個。フロックさんとカイリさんで二個計算だ。リンゴ農家を訪れた際、美味しいリンゴの見分け方を聞いていた私は色つやが良く、綺麗なゴンリを選んだ。


 ベスパが食べたそうにしていたので、一個余計に買い、空中に投げる。ビー達が貪り食って一瞬でなくなった。


 ライトもゴンリを一個買い、まじまじと眺めている。


「凄い。ゴンリってこんなに赤いんだね。どんな味がするのかな……」


「食べてみれば分かるよ」


「そうだね」


 ライトはゴンリを齧り、噛み締めて食べる。隣にいる私の耳にライトが咀嚼するたび、心地よい音がシャキシャキと聞こえる。触感はよさそうだ。あとは味。無味無臭では味気ない。ライトにはゴンリの味がどう感じたかな。


「うん。美味しいよ。ほのかに感じる、酸味とその奥にちょっとだけ幸せな気持ちになる味がした。今の味が果物の甘さか。凄い、初めての感覚だよ」


「そう、経験が出来て良かったね」


 私はミカンやオレンジにそっくりなシトラス。バナナのようなナナバという果物とメロンのようなメンロという果物を買い、バスケットに入れる。この時点で結構重いため、私では持てなくなっていた。


「ふぅー。買ったなー。これでお見舞いに行ける」


「姉さんがお土産を持っていくなんて、いったい誰が入院しているの?」


「私の命の恩人だよ。今回の騒動の発端になった巨大なブラックベアーを倒し、少し前になるけど、瘴気に満ちたブラックベアーも倒してくれた人だよ。ライトもあっていると思うけど、覚えてないの?」


「ん~~。僕はネ―ド村に現れた巨大なブラックベアーに大量の魔力を持っていかれて気絶していたからその人、見てないかも……」


「そうだったっけ? じゃあ、挨拶しておいて損はないかな。私、その人に三回も命を助けてもらったんだよね。だから、ちゃんとお礼をしないといけないなって思ってさ」


「姉さんを三回も助けたって、凄い人なんだね。というか、姉さんは三回も死にかけてたの!」


 ライトは大きな声を張り上げた。


「うん。ここ半年で三回死にかけた。もうないことを祈るけど、人生には何が起こるか分からないから、用心しているんだ。ライトもいつ何が起こるか分からないから、日頃からの鍛錬は怠らないようにね」


「わ、分かったよ」


 私達はバスケットを一杯にして、リーズさんの病院に向った。


 レクーを厩舎に入れて、荷台を病院の土地の端に置いておく。


「よし、じゃあ行こうか」


「う、うん。はぁ~、なんか緊張してきちゃった。どんな人なんだろう」


 ライトは胸に手を当てて深呼吸し、緊張をほぐしていた。


「あんまり期待しない方がいいよ。多分、想像と違うから」


「え? そうなの。あの巨大なブラックベアーを倒せるくらい強い人なんだから、きっと筋骨隆々で凄く強そうな人なんでしょ」


「ん~~、筋肉はあったかな。ま、会えば分かるよ」


――ベスパ、バスケットをお願い。


「了解です」


 私達は病院の入り口に向い歩いて行く。壊れていた病院の壁はまたもや新しく作り直されていた。


 私達は扉を引き、中に入る。


「さてと、確かこっちだったかな」


「懐かしい。六年くらい前に来た病院だ。あの頃の記憶は全然ないけど、ここに来たのは何となく覚えているよ」


 ライトは病院の中に入るや否や辺りを見回していた。


「へぇ。ライトは当時二歳くらいだったもんね。覚えてないのは仕方ないんじゃないかな」


「そうだね。でも、姉さんが来てくれたのは覚えてるよ」


「何か嬉しいな。覚えててくれたんだ」


「嬉しかったからね」


 ライトは輝かしい笑顔を作る。私は眩しくて直視できなかった。


「さ、懐かしむのもいいけど、今はお見舞いに来たんだから、早く行くよ」


「は~い」


 私達はフロックさんとカイリさんのいる病室の前に来た。


『コンコンコン』


「キララです、お見舞いに着ました。開けてもいいですか?」


 私は扉を数回叩く。そのまま、名前を言い、中からの返事を待った。


「はい。どうぞ」


「失礼しまーす」


 私は返事を貰い、病室の扉を横に滑らせて開けた。


「カイリさん。包帯の数が減りましたね」


「おかげさまでね。でも、治るのに時間が掛かってしまって申し訳ないと思っているよ。フロックなんて動きたすぎてベッドの上でも鍛錬をし始めるんだから困っちゃうよね」


 カイリさんは七日前、全身包帯人間だった。今は胸のあたりだけ包帯が巻かれている。


「そのフロックさんがいませんけど、どこに行ったんですか?」


「俺ならここにいるぞ」


 フロックさんの声がしたが、いったいどこからしているのか分からない。


 私は天井を見上げると、フロックさんが張り付いていた。


「な、何でそんな所にくっ付いているんですか?」


「魔力操作の鍛錬だ。手足に魔力を溜めて壁に張り付く。細かい魔力操作がいるから結構難しいんだぜ」


「そ、そうなんですか。というか、フロックさんも大怪我しているんですからちゃんと休んでくださいよ」


「もう、休みすぎて体がなまっているんだ。早く動きたいのにリーズさんが動くなってしつこくてな」


 フロックさんは天井から離れ、ベッドに落ちて来た。そのまま寝そべり、足を組む。


「姉さん、この人が姉さんの命を三回も助けた人?」


「そうだよ。ね、想像と全然違うでしょ」


「う、うん……。僕よりは大きいけど思っていたよりも小さい方だったよ」


「フロックさんの身長は何センチメートル何ですか?」


「な、そんなもんどうでもいいだろ。デカかろうが小さかろうが、強ければ関係ない」


「なら、教えてくれてもいいじゃないですか。ちなみに私は一三八センチメートルくらいです」


「お、俺の身長なんて……聞いてどうするんだよ」


 フロックさんは完全に動揺している。


――焦っているフロックさんを見るの……なんか面白いな……。


「いえ、この世界の平均身長はどれくらいなのかと思いまして。フロックさんはどのくらいなのかなーって思ったんですよ」


「男の平均身長は……一七○センチメートルだ。お、俺は……一六○センチメートルだけどな」


「へぇー。見た目に寄らず、一六○センチメートルはあるんですね」


 隣を見ると、カイリさんが笑っていた。どうやら、サバを読んでいるらしい。


「えっと、本当は?」


「一五五……」


 フロックさんは視線をそらして小声で言う。


「へぇー、私でも抜かせちゃうかもしれないですね」


「うるせ。キララに抜かれたからって何も思わねえよ。冒険者をやっている女子は俺より身長がだいたい高いやつが多い。もう言われ慣れてる」


 フロックさんは頬を膨らませて拗ねてしまった。男性の身長を弄るのは、やはり法度(タブー)だったみたいだ。

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― 新着の感想 ―
180超えがゴロゴロいる割に平均身長低いな? やっぱり栄養失調で育ってない人が多いからだろうか。
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